トランプ大統領は10日、アメリカに輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課す文書にそれぞれ署名しました。
アルミニウムについては、関税率を現在の10%から25%に引き上げるとしていて、いずれも3月12日に発動する方針です。
トランプ大統領は、すべての国が対象だと強調する一方でオーストラリアとの間では、アメリカが貿易黒字になっていることを踏まえて適用の除外を検討していることを明らかにしています。
鉄鋼製品やアルミニウムへの関税措置はトランプ政権の1期目に導入されたもので、このうちメキシコやカナダ、オーストラリアなどからの鉄鋼製品については追加関税の適用が除外となったほか、バイデン前政権時の2022年には日本からの製品も関税が課されない枠が設けられるなどの対応がとられました。
今回はこうした特例措置は撤廃される方針ですが、日本を含む各国やEUなどはアメリカとの直接交渉によって適用の除外を求めていくものとみられます。
ただ、トランプ大統領はアメリカにとって不可欠な国内の鉄鋼産業と雇用を守るためには関税が効果的だという考えを繰り返し示しており、トランプ大統領の今後の判断が焦点となります。
カナダ トルドー首相“アメリカとカナダへの悪影響を強調する”
カナダのトルドー首相は11日、訪問先のフランスのパリで記者団の取材に応じ「今後数週間、アメリカの政権と話し合い、こうした受け入れがたい関税がアメリカとカナダの人々に与える悪影響を強調していく」と述べました。
そして、アメリカがカナダからの鉄鋼製品やアルミニウムに関税を課した場合、対抗措置をとるのか問われたのに対し、トルドー首相はそうしたことが起こらないよう望むとした上で「そうなった場合にはわれわれの対応は断固とした、明確なものになるだろう」と述べました。
アメリカ鉄鋼協会によりますと、アメリカが去年輸入した鉄鋼製品のうちカナダからの製品は22%あまりを占め国別で最も多くなっています。
一方、カナダの公共放送CBCは政府当局者の話としてトルドー首相がアメリカのバンス副大統領とパリで会談し、両国の間で関税措置の応酬となった場合、バンス氏の地元、中西部オハイオ州の経済にも悪影響が及ぶとけん制したと報じています。
韓国政府は…
アメリカのトランプ大統領がアメリカに輸入される鉄鋼とアルミニウムへの関税措置の導入を表明したことを受けて、韓国政府は11日、会議を開き対策を検討しました。
冒頭、大統領の職務を代行している、チェ・サンモク(崔相穆)副首相兼企画財政相は「業界の収益悪化が懸念される。被害を受ける企業に対して必要な支援策を用意していく」と強調しました。
また「トランプ政権との関係構築に総力を傾ける」と述べるとともに「似た状況にある日本やEU=ヨーロッパ連合などの動向を把握し、ともに対応を協議していく」とも述べ、日本などと連携して対応する考えを示しました。
このほか、大企業の経営者からなる「経済使節団」がアメリカを近く訪れる予定だと明らかにしました。
トランプ大統領が表明した関税措置について、韓国の通信社、連合ニュースは「中国勢との競争や需要の不振などで、不況のトンネルから抜け出せていない鉄鋼業界にとってさらなる負担が加わる」と伝えています。
EU “不当な関税に対し相応の対抗措置を発動に”
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は声明を出し「アメリカの決定は非常に遺憾だ。不当な関税に対しては、断固とした相応の対抗措置を発動することになる」として、EUの経済的な利益を守るため対抗措置をとる考えを強調しました。
アメリカ商務省によりますと、去年アメリカが輸入した鉄鋼製品のうちEUからの製品は15%近くを占めています。