一方、鉄鋼製品などへのトランプ政権の関税措置に対しては、内容や影響を十分に精査しつつ、措置の対象からの除外を働きかけるなど、必要な対応を行っていくと説明しました。
国会では、参議院本会議で、石破総理大臣が、先週のアメリカのトランプ大統領との初めての首脳会談について報告し、それに対する各党の質疑が行われました。
この中で、石破総理大臣は「厳しく複雑な安全保障環境に関する情勢認識を共有し、日米同盟を新たな高みに引き上げていくことを確認した。同盟の抑止力・対処力を高め、地域の戦略的課題に緊密に連携して対処していくことで一致した」と成果を強調しました。
その上で「率直な意見交換を通じトランプ大統領との信頼関係構築に向けた一歩とすることができた。今回の成果を踏まえ『自由で開かれたインド太平洋』の実現に向けてアメリカと連携・協力を深めていく」と述べ、さらなる関係強化に向けた決意を示しました。
一方、石破総理大臣は、トランプ大統領が、アメリカに輸入される鉄鋼製品とアルミニウムに25%の関税を課すと表明したことについて「首脳会談の時点では議論はなかったが、措置の内容やわが国への影響を十分に精査しつつ措置の対象からの除外を働きかけるなど、必要な対応を行っていく」と説明しました。
また、日本製鉄による「USスチール」の買収計画をめぐっては「首脳会談では、どちらかが利益を得るような買収ではなく、日本の技術と資金を活用し、アメリカに大胆な投資を行うことで日米がウインウインになるものにしようという認識を共有した。具体的な計画は民間の関係者で検討や調整が進められる」と述べました。
その上で「技術流出への懸念についても、今後の投資計画の検討・調整で配慮していくことは極めて重要だ」と述べました。
また、石破総理大臣は、2027年度までの5年間の総額が43兆円となっている防衛費の取り扱いについて「円安を伴う為替レートの変動や国内外の全般的な物価上昇が生じている状況でも、いっそうの効率化や合理化を徹底し、現行の防衛力整備計画に基づいて防衛力の抜本的強化を達成すべく努める方針に変わりはない」と述べました。
日米首脳会談 閣僚から評価の声
日米首脳会談のあと最初の閣議となった12日、石破総理大臣が入室すると、閣僚が拍手を送り「お疲れさまでした」という声も上がりました。
このあとの閣僚の記者会見では日米両国の経済関係などの発展に向けて、よいスタートが切れたと評価する声が相次ぎました。
赤澤経済再生担当大臣は「100点満点だった。石破総理大臣とトランプ大統領のケミストリーが合ったということであり、個人的な信頼関係を礎に日米の経済関係をよい形で発展させたい。LNG=液化天然ガスの輸入も合理的な価格でエネルギーを確保する選択肢が広がることになる」と述べました。
平デジタル大臣は「トランプ大統領から『非常に強い男』と称されるなど非常によい会談で、信頼関係を構築するスタートがうまく切れた。サイバーセキュリティー分野の連携強化を確認できたことも大変よかった」と述べました。
城内経済安全保障担当大臣は「AIなどの重要技術の開発で世界をけん引するための協力が共同声明に盛り込まれたことは大変喜ばしく、アメリカとより強固な開発協力に取り組んでいく」と述べました。