保険証や本人の証明書となるマイナンバーカードは、2016年1月に発行が始まりましたが、ことしから更新が必要となります。
さらにカードに搭載されている5年に一度の「電子証明書」の更新もあわせると、その件数は来年度には2780万件に上ると試算されるなど、手続きを行う自治体にとり、対策は急務となっています。
旧ツイッターのXでは「マイナンバーの更新期限の人が多くてもう2時間待ちの状況」など、役所の窓口が混雑して大変だという声がすでに相次いでいます。
実際に更新手続きが行われる自治体の窓口では、対策に追われています。
東京の狛江市役所では今月に入って、市民が頻繁に更新に訪れ、窓口で専用の端末に暗証番号を入力するなどして更新作業を進めていました。
手続きをした60代の男性は「意外と書くところも少なく、簡単に親切にやってもらったのですぐに終わりました」と話していました。
狛江市では予想される混雑に備えて、窓口の予約ができるシステムを導入したほか、来年度からは、担当職員を20%ほど増やして対応する予定だということです。
市民課の杉田剛課長は「今後、更新件数がどんどん増えてくるので、怖いところはあります。マイナンバーカード業務に関しては行政は年々やることが増えているので、簡素化されていけばいいと思います」と語りました。
マイナンバーカードなど、行政のデジタル化に詳しい日本総合研究所の野村敦子主任研究員は「国はマイナンバカードを普及させることに注力してきたが、自治体の負担など、全体の枠組みの検討が十分にされなかったことが、ここにきて課題になっている」と指摘します。
その上で「カード自体の普及が重要なのではなく、国民や行政職員にとって、よりよい行政サービスの基盤となることが一番重要なことだ。これから、事務がひっ迫することが予想されるのであれば、国は自治体と丁寧に対話し、必要な手当てを速やかに行う体制づくりが必要になる」と話していました。