20日の本会議では採決を前に各会派が意見を述べ、IRの誘致に賛成の立場の自民党は「税収増で明るい未来や福祉向上が期待できる。IRのイメージが極めて悪いが、化け物か幸運をもたらすものか具体的な計画を見てから判断すべきだ」と主張しました。
同じく賛成の立場の公明党は「人口減少や超高齢社会が進む中、市民サービスの維持には多様な財源の確保が必要でIRは重要だ」としたうえで、ギャンブル依存症などへの対応を求めました。
一方、誘致に反対している立憲民主党と国民民主党などでつくる会派は「カジノ財源に依存すれば、横浜の財政そのものがギャンブル依存症になる。他人がギャンブルで負けた金で生活することを横浜市民は望んでいない」と厳しく批判しました。
同じく反対する共産党は「市民世論に耳を傾けることこそ市長が最初にすべきことだ。IRは飲食も施設内で完結し、地域活性化にはつながらない。市長は頭を冷やし再考すべきだ」と撤回を求めました。
このあと、採決が行われ、傍聴席から反対の声も飛び交う中、自民党と公明党の賛成多数で予算案は可決されました。
これを受けて、横浜市は今後、実施方針の策定や事業者の選定など誘致の準備を本格化させる方針ですが、市民の間にある根強い反対の声にどう向き合っていくのか問われることになりそうです。
誘致反対の市民 市役所取り囲み抗議
カジノを含むIR=統合型リゾート施設の誘致に向けた予算案が、横浜市議会で採決されるのを前に、誘致に反対する市民らが市役所を囲むように並んで抗議の意思を示しました。
横浜市役所には、市民団体の呼びかけで集まったおよそ400人の市民が、1周するとおよそ500メートルになる庁舎の周りに並んで取り囲みました。
そして、「横浜にカジノはいらない」とか「市民の声を聞け」などと書かれたプラカードを掲げ、抗議の意思を示しました。
参加した70代の女性は「IRの誘致が突然表明され、市民の声がないがしろにされている。市議会には市民の思いを踏まえた対応を期待したい」と話していました。
市民団体によりますと、市民からは住民投票の実施や林文子市長のリコールを求める声もあがっていて、署名活動の準備の動きもあるということです。
林市長「しっかり説明する」
市議会での可決をうけて横浜市の林文子市長は「議決をいただいたのでしっかりと市民に説明していきたい。反対意見を聞きいろんな懸念や心配があると改めて受け止めている。ギャンブル依存症対策や治安対策など責任をもってやっていきたい」と述べました。
可決で民意を得たと受け止めているか問われると、「二元代表制の中でやっていることで、可決されたことが否定されるものではない」と述べるにとどめました。