アメリカと
EU=
ヨーロッパ連合の
航空機をめぐる
貿易紛争で、
WTO=
世界貿易機関は
2日、アメリカが
EUに8000
億円の
報復関税を
かけることを
認めました。
これを
受けてアメリカ政府は、
今月18
日から
EUから
輸入される
農産品などに
最大25%の
関税を
上乗せする
方針を
明らかにしました。
アメリカは、
ヨーロッパの
航空機メーカーエアバス
に対する
EUの
補助金が
自国のボーイングとの
公正な
競争を
妨げているとして
WTOに
提訴し、
去年5月、
EUが
続ける資金支援を
不当とする
最終判断が
示されました。
WTOのルールでは是正されなかった場合、訴えた側が対抗措置をとることが認められていて、アメリカはWTOに報復関税を認めるよう求めていました。
これについてWTOは2日、アメリカに年間で最大75億ドル、日本円で8000億円の対抗措置を認める決定を発表しました。
この決定を受けてアメリカ政府は、報復関税を今月18日から発動する見通しを明らかにし、EUから輸入される農産品に25%、航空機にも10%の関税を上乗せするとしています。
ただ、WTOではアメリカのボーイングに対する補助金も不当だとする最終判断が示されていることから、EUがアメリカに報復関税をかける準備を進めていて、今後、報復の応酬となるおそれも出ています。
両者の間では、アメリカ側がヨーロッパなどから輸入される自動車にも高い関税を上乗せする措置について検討を続けています。
EU「米が実施なら同じことをせざるをえない」
EUで通商政策を担当するマルムストローム委員は「WTOから対抗措置の承認を得たからといってアメリカが報復関税に踏み切るというのは短絡的で非生産的だ。EUも数か月のうちにWTOから対抗措置の承認を受けることになり、アメリカが報復関税を実施するならEUも同じことをせざるを得なくなる。報復の応酬は双方の経済活動や市民生活に打撃を与え、世界の貿易に損害となる」としてアメリカに慎重な対応を求めました。