北朝鮮きたちょうせんの大型おおがたの船ふねが浸水しんすいしてその乗組のりくみ員いんおよそ20人にんが海うみに投げ出なげだされ、現在げんざい、水産庁すいさんちょうの漁業ぎょぎょう取締とりしまり船せんが救助きゅうじょにあたっているということです。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうによりますと、衝突しょうとつした現場げんばは日本にっぽんの排他はいた的てき経済けいざい水域すいいき内ないで、衝突しょうとつした水産庁すいさんちょうの船ふねは漁業ぎょぎょう取締とりしまり船せんの「おおくに」だということです。

海上かいじょう保安庁ほあんちょうは現場げんば海域かいいきに巡視じゅんし船せんなどを向むかわせるとともに、くわしい情報じょうほうの確認かくにんを進すすめています。

現場げんばは「大和やまと堆うずたか」と呼よばれる日本にっぽん有数ゆうすうの漁場ぎょじょうで、ここ数すう年ねん、初夏しょかから冬ふゆにかけて北朝鮮きたちょうせんのイカ釣づり漁船ぎょせんによる違法いほう操業そうぎょうが繰り返くりかえされていて、海上かいじょう保安庁ほあんちょうと水産庁すいさんちょうが巡視じゅんし船せんや取締とりしまり船せんを出だして警戒けいかいを続つづけています。

ことし８月はちがつにはこの海域かいいきで警戒けいかい活動かつどうを行おこなっていた海上かいじょう保安庁ほあんちょうの巡視じゅんし船せんに対にたいして、北朝鮮きたちょうせんの海軍かいぐんのような旗はたを掲かかげた高速艇こうそくていが一時いちじ、30メートルほどの距離きょりまで接近せっきんする事態じたいが起おきました。

その際さい、巡視じゅんし船せんに対にたいして、高速艇こうそくていの乗組のりくみ員いん１いち人にんが小銃しょうじゅうを向むけて構かまえて威嚇いかくするなどしていました。

農水のうすい次官じかん「水産庁すいさんちょう側がわには けが人けがにんなし」

農林水産省のうりんすいさんしょうの末松すえまつ広行ひろゆき事務じむ次官じかんによると「午前ごぜん９きゅう時じ７なな分ふんに水産庁すいさんちょうの漁業ぎょぎょう取締とりしまり船せんと北朝鮮きたちょうせんとみられる漁船ぎょせんが接触せっしょくした。漁船ぎょせんは沈没ちんぼつしつつあるかすでに沈没ちんぼつしたかもしれない。いま救助きゅうじょを行おこなっている。場所ばしょは日本にっぽんの200海里かいり以内いないの排他はいた的てき経済けいざい水域すいいき内ないだ。水産庁すいさんちょうの側がわにはけが人けがにんはいないとみられる」ということです。

大和やまと堆うずたかでの水産庁すいさんちょうの対応たいおう

水産庁すいさんちょうは漁船ぎょせんの安全あんぜん操業そうぎょうを確保かくほするため漁業ぎょぎょう取締とりしまり船せんを日本海にほんかいの大和やまと堆うずたかの周辺しゅうへん水域すいいきから北海道ほっかいどうの沖合おきあいにかけて配備はいびし、海上かいじょう保安庁ほあんちょうと連携れんけいして違法いほうに操業そうぎょうする漁船ぎょせんに対にたいして放水ほうすいなどの措置そちをとったり、漁りょうに使つかう道具どうぐを回収かいしゅうしたりしてきました。

ことし５月ごがつ以降いこうは大和やまと堆うずたか周辺しゅうへん水域すいいきなどに派遣はけんする漁業ぎょぎょう取締とりしまり船せんを増ふやして北朝鮮きたちょうせんなどの漁船ぎょせんなどに備そなえたということです。

官邸かんていに情報じょうほう連絡れんらく室しつ

今回こんかいの衝突しょうとつを受うけて政府せいふは午前ごぜん10時じ、総理そうり大臣だいじん官邸かんていの危機きき管理かんりセンターに「情報じょうほう連絡れんらく室しつ」を設置せっちし、情報じょうほう収集しゅうしゅうなどにあたっています。

漁業ぎょぎょうに力ちから入いれる北朝鮮きたちょうせん

経済けいざい制裁せいさいが科かされている北朝鮮きたちょうせんはキム・ジョンウン（金きむ正ただし恩おん）朝鮮ちょうせん労働党ろうどうとう委員いいん長ちょうの指示しじのもと、水産すいさん部門ぶもんに力ちからを入いれていて、最近さいきんでは密漁みつりょうの疑うたがいで拿捕だほ（だほ）される漁船ぎょせんが相次あいついでいます。

北朝鮮きたちょうせんでは軍ぐんが農場のうじょうや水産すいさん事業じぎょう所しょを所有しょゆうして経済けいざい活動かつどうも行おこない、漁船ぎょせんは各かく部隊ぶたいの傘下さんかに所属しょぞくして漁りょうに出でています。

北朝鮮きたちょうせんの国営こくえいメディアはキム委員いいん長ちょうが去年きょねん12月つきに日本海にほんかい側がわにある軍ぐんの水産すいさん事業じぎょう所しょ３さんか所かしょを相次あいついで訪問ほうもんし、軍ぐんの幹部かんぶらに漁業ぎょぎょう活動かつどうに力ちからを入いれるよう指示しじを出だしたと伝つたえました。

キム委員いいん長ちょうはことしの元日がんじつの演説えんぜつでも水産すいさん部門ぶもんについて「物質ぶっしつ的てき・技術ぎじゅつ的てき土台どだいを強化きょうかして漁業ぎょぎょうを科学かがく化かし、水産すいさん業ぎょう発展はってんの新あたらしい道みちを開ひらくべきである」と強調きょうちょうしています。

こうした背景はいけいには北朝鮮きたちょうせんでは経済けいざい制裁せいさいなどにより食糧しょくりょう事情じじょうが悪化あっかしているほか、水産すいさん業ぎょうが貴重きちょうな外貨がいかの獲得かくとく手段しゅだんになっていることがあるものとみられています。

最近さいきんでは日本海にほんかいのロシアの排他はいた的てき経済けいざい水域すいいきで北朝鮮きたちょうせんの漁船ぎょせんが密漁みつりょうの疑うたがいで拿捕だほされるケースが相次あいついでいて、先月せんげつだけで合あわせて40隻せき以上いじょうの北朝鮮きたちょうせんの漁船ぎょせんがロシア当局とうきょくに拿捕だほされています。