日本新聞: コロナ感染状況首都圏の拡大顕著 “デルタ株”1.7倍に急増

新型しんがたコロナウイルス対策たいさくについて助言じょげんする厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうが、東京とうきょう都とに4回かい目めの緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされてから初はじめて開ひらかれました。

専門せんもん家か会合かいごうでは、現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうについて「東京とうきょう都とを中心ちゅうしんとする首都しゅと圏けんの感染かんせん拡大かくだいが顕著けんちょで、周辺しゅうへんや全国ぜんこくへの影響えいきょうが懸念けねんされる」と評価ひょうかしました。

またインドで見みつかった変異へんいした新型しんがたコロナウイルス「デルタ株かぶ」について、厚生こうせい労働ろうどう省しょうなどが感染かんせん者しゃの一部いちぶの検体けんたいを遺伝子いでんし解析かいせきした結果けっか、12日にちまでの1週間しゅうかんに確認かくにんされたのは前まえの週しゅうのおよそ1.7倍ばいに急増きゅうぞうしたことがわかりました。

首都しゅと圏けんの感染かんせん者しゃ数すう全国ぜんこくの約やく3分ぶんの2

地域ちいき別べつにみると、東京とうきょう都とでは、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうの増加ぞうかが続つづき、20代だいから40代だいが多おおくを占しめ、入院にゅういん者しゃ数すうの増加ぞうか傾向けいこうが継続けいぞくしているとしています。

東京とうきょう都との重症じゅうしょう者しゃ数すうは40代だいや50代だいでは前回ぜんかい、感染かんせんの第だい4波はのピーク時じと同どう水準すいじゅんになっていて、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの効果こうかが出でるまで少すくなくとも2週間しゅうかん程度ていどかかることが見込みこまれるため、感染かんせん拡大かくだいを前提ぜんていとした医療いりょう体制たいせいの確保かくほが求もとめられるとしています。

現在げんざい、首都しゅと圏けんの感染かんせん者しゃ数すうは全国ぜんこくのおよそ3分ぶんの2を占しめていて、周辺しゅうへんや全国ぜんこくに感染かんせんを拡大かくだいさせないために対策たいさくの徹底てっていが必要ひつようだとしています。

宣言せんげんが継続けいぞくしている沖縄おきなわ県けんは、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょう傾向けいこうとなっているものの、重症じゅうしょう病床びょうしょうの使用しよう率りつが厳きびしい状況じょうきょうが続つづいていて、引き続ひきつづき注視ちゅうしが必要ひつようだとしています。

さらに関西かんさいでは、今月こんげつに入はいって感染かんせん拡大かくだいが明確めいかくになっていて、大阪おおさかの夜間やかんの人出ひとでは、医療いりょうが危機きき的てきな状況じょうきょうになった感染かんせんの第だい4波はの直前ちょくぜん、3月つき半なかばと同様どうようの水準すいじゅんで、感染かんせん拡大かくだいが続つづくことが懸念けねんされるとしています。

このほか、首都しゅと圏けんや関西かんさい以外いがいでも、北海道ほっかいどう、愛知あいち、福岡ふくおかなどで、感染かんせん者しゃが増加ぞうかに転てんじる動うごきが見みられ、リバウンドが懸念けねんされるとしています。

変異へんいウイルス「デルタ株かぶ」東京とうきょう都とでは半数はんすう近ちかく

専門せんもん家か会合かいごうでは、感染かんせん力りょくが強つよいインドで確認かくにんされた変異へんいウイルス「デルタ株かぶ」のクラスターが複数ふくすう報告ほうこくされ、検査けんさで全体ぜんたいに占しめる割合わりあいは全国ぜんこくで11％程度ていどになり、今後こんご置おき換がわりが進すすむとしていて、国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょが示しめした推定すいていの資料しりょうでは、東京とうきょう都とでは半数はんすう近ちかくになっています。

このため、専門せんもん家か会合かいごうは、首都しゅと圏けんでの感染かんせん拡大かくだいを各地かくちに広ひろげないためにも今後こんご、4連休れんきゅうや夏休なつやすみ、お盆おぼん休やすみなどでも帰省きせいや旅行りょこうでの県境けんきょうを越こえる移動いどうは慎重しんちょうを期きすよう呼よびかけました。

また、大だい人数にんずうや長時間ちょうじかんでの飲食いんしょく、飲酒いんしゅを伴ともなう会食かいしょくに複数ふくすう回かい参加さんかすることで感染かんせんリスクが高たかまることが示唆しさされているほか、職場しょくばや学校がっこうなどでのクラスターの発生はっせいが見みられていてこうした場ばでの感染かんせん対策たいさくの徹底てっていが必要ひつようだと改あらためて強調きょうちょうしました。

「デルタ株かぶ」感染かんせん者しゃ 1.7倍ばいに急増きゅうぞう

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、全国ぜんこくの自治体じちたいに依頼いらいして新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん者しゃの一部いちぶの検体けんたいを抽出ちゅうしゅつし、PCR検査けんさより詳くわしい遺伝子いでんし解析かいせきを行おこなって変異へんいウイルスの広ひろがりを調しらべています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうが12日にちまでの1週間しゅうかんに自治体じちたいから寄よせられた報告ほうこくを集計しゅうけいした結果けっか、全国ぜんこくで合あわせて133人にんが、インドで見みつかった変異へんいウイルスの「デルタ株かぶ」に感染かんせんしていたことが分わかったということです。

前まえの1週間しゅうかんに報告ほうこくされた人数にんずうを53人にん、率りつにして66％上回うわまわっています。

▽東京とうきょう都とが最もっとも多おおく38人にん、

次ついで

▽千葉ちば県けんが28人にん、

▽大阪おおさか府ふが13人にん、

▽埼玉さいたま県けんが7人にん、

▽神奈川かながわ県けん、鹿児島かごしま県けん、沖縄おきなわ県けんで6人にん

▽鳥取とっとり県けんが5人にん、

▽茨城いばらき県けん、京都きょうと府ふ、兵庫ひょうご県けんが4人にん

▽愛知あいち県けんで3人にん、

▽山梨やまなし県けん、福岡ふくおか県けんで2人にん

▽栃木とちぎ県けん、石川いしかわ県けん、岐阜ぎふ県けん、静岡しずおか県けん、広島ひろしま県けんでそれぞれ1人にんでした。

デルタ株かぶの感染かんせんがさらに拡大かくだいしていることをうかがわせるデータもあります。

全国ぜんこくの自治体じちたいが感染かんせん者しゃについてPCR検査けんさを行おこなった結果けっか、12日にちまでの1週間しゅうかんにデルタ株かぶと同おなじ「L452R」の変異へんいを持もつ新型しんがたコロナウイルスへの感染かんせんが確認かくにんされたのは、全国ぜんこくで合あわせて2450人にんで、前まえの1週間しゅうかんと比くらべて1.7倍ばいに急増きゅうぞうしました。

新規しんき感染かんせん者しゃ増加ぞうか傾向けいこう

専門せんもん家か会合かいごうで示しめされた資料しりょうによりますと、新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは13日にちまでの1週間しゅうかんでは、前まえの週しゅうと比くらべて全国ぜんこくでは1.32倍ばいで、増加ぞうか傾向けいこうが顕著けんちょになっています。

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされている

▽東京とうきょう都とは1.31倍ばいと増加ぞうか傾向けいこうが顕著けんちょになっている一方いっぽう、

▽沖縄おきなわ県けんは0.86倍ばいと減少げんしょう傾向けいこうが続つづいています。

まん延まんえん防止ぼうし等とう重点じゅうてん措置そちが適用てきようされている地域ちいきのうち、首都しゅと圏けんでは

▼神奈川かながわ県けんが1.47倍ばい、

▼埼玉さいたま県けんが1.28倍ばい、

▼千葉ちば県けんが1.21倍ばい、

▼大阪おおさか府ふも1.41倍ばいと

それぞれ増加ぞうか傾向けいこうが顕著けんちょになっています。

現在げんざいの感染かんせん状況じょうきょうを、人口じんこう10万まん人にんあたり、13日にちまでの1週間しゅうかんの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうは、

▼東京とうきょう都とが39.75人にんと全国ぜんこくで唯一ゆいいつ、感染かんせん状況じょうきょうが最もっとも深刻しんこくな「ステージ４よん」の目安めやすの25人にんを超こえていて

▼神奈川かながわ県けんは24.07人にん、

▼沖縄おきなわ県けんは23.06人にん、

▼千葉ちば県けんは19.17人にんと「ステージ３さん」の目安めやすの15人にんを超こえています。

▼全国ぜんこくでは11.91人にんとなっています。

田村たむら厚あつし労相ろうしょう「感染かんせん再さい拡大かくだい全国ぜんこく的てきに広ひろがっている」

田村たむら厚生こうせい労働ろうどう大臣だいじんは、専門せんもん家か会合かいごうの冒頭ぼうとう「新規しんき感染かんせん者しゃ数すうの増加ぞうかは特とくに首都しゅと圏けんは顕著けんちょで、東京とうきょうだけでなく周辺しゅうへんの3県けんも増加ぞうかが続つづいている。沖縄おきなわは減少げんしょうが続つづいているが、まだ重症じゅうしょう者しゃの病床びょうしょう使用しよう率りつが厳きびしい状況じょうきょうにある。さらに、関西かんさいや北海道ほっかいどう、愛知あいち、福岡ふくおかでも感染かんせんが増加ぞうかに転てんじる動うごきが見みられ、感染かんせん再さい拡大かくだいが全国ぜんこく的てきに広ひろがっている」と指摘してきしました。

そのうえで「帰省きせいや旅行りょこうの季節きせつになってくるが、ふだん会あわない人ひとと会あうことなどには慎重しんちょうを期きしてもらいたい。また、複数ふくすう人じんでの飲酒いんしゅなどリスクの高たかい行動こうどうを徹底てってい的てきに避さけるよう、国民こくみんの皆みなさんに協力きょうりょくをお願おねがいしたい」と呼よびかけました。

脇田わきた座長ざちょう「4連休れんきゅうや五輪ごりん、夏休なつやすみなるべく外出がいしゅつ控ひかえて」

専門せんもん家か会合かいごうのあと会見かいけんした脇田わきた隆たかし字じ座長ざちょうは「65歳さい以上いじょうの高齢こうれい者しゃではワクチンの接種せっしゅが進すすんで入院にゅういんする人ひとはそれほど多おおくない状況じょうきょうになっているが、40代だい、50代だいで重症じゅうしょうになる人ひとが割合わりあい的てきに増ふえてきている。高齢こうれい者しゃ以外いがいでも重症じゅうしょう化かのリスクが無ないわけではない。感染かんせん者しゃ数すうが多おおくなれば入院にゅういんも増ふえて病床びょうしょうがひっ迫ひっぱくし、また、入院にゅういん調整ちょうせいができずに治療ちりょうが遅おくれて重症じゅうしょう化かする人ひとも出でてくる。ワクチンがさらに下したの年代ねんだいに広ひろがっていくまでしっかりと感染かんせん者しゃ数すうを抑制よくせいしていくことが大事だいじだ」と話はなしていました。

また、今後こんごについて脇田わきた座長ざちょうは「きょうの会合かいごうでは人ひと流りゅうだけでなくて人ひとと人ひととの接触せっしょくの機会きかいをなるべく減へらしていくことが重要じゅうようだという議論ぎろんがあった。変異へんいウイルスのデルタ株かぶが増ふえていることもあり、今後こんごもしばらくは感染かんせん者しゃ数すうの増加ぞうかが続つづく可能かのう性せいがある。これから4連休れんきゅうやオリンピック、それに夏休なつやすみなどもあるのでなるべく外出がいしゅつは控ひかえてほしい。オリンピックは、大勢たいせいで集あつまらずに家族かぞくなどと少しょう人数にんずうで過すごしながらテレビで観戦かんせんしてもらいたい」と話はなしていました。

“これまでの感染かんせん対策たいさくでは通用つうようしなくなっている今いまが瀬戸際せとぎわ”

東京とうきょう都とで一いち日にちに確認かくにんされた新型しんがたコロナウイルスの新規しんき感染かんせん者しゃ数すうが14日にち、1000人にんを超こえたことについて厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうのメンバーで、国際こくさい医療いりょう福祉ふくし大学だいがくの和田わだ耕治こうじ教授きょうじゅは「緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされる前まえの、自粛じしゅく疲づかれなどによる人ひと流りゅうの増加ぞうかの影響えいきょうが出でているとみられる。特とくに、企業きぎょうでの会議かいぎや会食かいしょくといった場ばや、教育きょういく現場げんばで部ぶ活動かつどうなどを通をつうじてクラスターが発生はっせいしている。ある特定とくていのエリアというよりは広ひろく日常にちじょう生活せいかつの中なかで感染かんせんが広ひろがっている印象いんしょうだ」と指摘してきしました。

そのうえで「まだワクチンを接種せっしゅしておらず基礎きそ疾患しっかんのある人ひとが多おおい40代だい、50代だいで増ふえている傾向けいこうがある。さらに、活動かつどう量りょうが多おおい20代だい、30代だいの入院にゅういん患者かんじゃ数すうが感染かんせんの第だい3波は、第だい4波はより増ふえていることに注意ちゅういが必要ひつようだ。インドで確認かくにんされた変異へんいウイルス『デルタ株かぶ』への置き換おきかわりが進すすみ、これまでの感染かんせん対策たいさくでは通用つうようしなくなっていることを意味いみしているのではないか。新型しんがたコロナの流行りゅうこうが始はじまって以来いらい、特とくに若わかい世代せだいで今いまがいちばん感染かんせんが広ひろがりやすい状況じょうきょうだ。ワクチンが広ひろく全ぜん世代せだいに行き渡いきわたるのを目めの前まえにして、感染かんせんしてしまわないよう、これまで以上いじょうに感染かんせん対策たいさくを徹底てっていすることが重要じゅうようで今いまが瀬戸際せとぎわだ」と述のべ、感染かんせん対策たいさくを徹底てっていする必要ひつよう性せいを強調きょうちょうしました。

さらに、4連休れんきゅうや夏休なつやすみ、それにオリンピックの開催かいさいが近ちかづく中なかでの注意ちゅうい点てんとして「ことしの夏なつこそはと旅行りょこうを計画けいかくしている人ひともいると思おもうが、県境けんきょうを越こえず、家族かぞくだけでの移動いどうにとどめてもらいたい。オリンピックの応援おうえんも多おおくの人ひとが集あつまる場所ばしょには行いかず、家族かぞくだけで観戦かんせんしてほしい」と呼よびかけました。