調子ちょうしの浮き沈うきしずみで心こころが折おれそうになりながらも耐え抜たえぬいた末すえに勝ち取かちとった金メダルきんめだるです。

故郷こきょうの滋賀しがで過すごした高校こうこう時代じだいに出場しゅつじょうした全国ぜんこく高校こうこう総体そうたいでその才能さいのうを日本にっぽん代表だいひょうの平井ひらい伯はく昌あきらヘッドコーチに見みいだされ、大橋おおはし選手せんしゅは大学だいがく入学にゅうがくとともに上京じょうきょうしました。

しかし、大学だいがく1年ねんでひざの大だいけが、重度じゅうどの貧血ひんけつにも悩なやまされ2年生ねんせいの時ときに出場しゅつじょうした2015年ねんの日本にっぽん選手権せんしゅけんでは出場しゅつじょう選手せんしゅ中ちゅう、最下位さいかいという結果けっかも経験けいけんしました。

「勉強べんきょうして公務員こうむいんを目指めざし、滋賀しがに帰かえることも考かんがえた」という大橋おおはし選手せんしゅ。

一方いっぽうで平井ひらいコーチは「才能さいのうはあるけれども線せんが細ほそい。時間じかんがかかるのは最初さいしょからわかっていたので、近道ちかみちをする必要ひつようはない」とじっくりと成長せいちょうを見守みまもってきました。

その才能さいのうの芽めが開花かいかの兆きざしを見みせたのは大学だいがく4年生ねんせいになった2017年ねんのことでした。

日本にっぽん選手権せんしゅけんの女子じょし400メートル個人こじんメドレーでそれまでの日本にっぽん記録きろくを3秒びょう以上いじょう更新こうしんして初はつ優勝ゆうしょう。

初はじめて日本にっぽん代表だいひょうに選えらばれたその年としの世界せかい選手権せんしゅけんでは200メートル個人こじんメドレーで銀メダルぎんめだるを獲得かくとくし、一気いっきに注目ちゅうもくを集あつめる存在そんざいになりました。

ただ、その後そのごの成長せいちょう曲線きょくせんは右肩みぎかた上あがりではありませんでした。

好こう不調ふちょうの波なみに苦くるしみおととしの世界せかい選手権せんしゅけんの前まえには自分じぶん自身じしんの泳およぎを見失みうしない、「泳およぎたくなかったし、誰だれも知しらないところに行いきたかった」という所ところまで自分じぶんを追い込おいこむこともありました。

それでも、プールにとどまった大橋おおはし選手せんしゅはチームメートの萩野はぎの公こう介かい選手せんしゅとほぼ同おなじメニューをこなすなど長ながい手足てあしを生いかした水みずの抵抗ていこうの少すくない伸のびやかな泳およぎに磨みがきをかけてきました。

去年きょねん3月つき、調子ちょうしが悪わるいと感かんじていたにも関かかわらず、練習れんしゅうで想像そうぞう以上いじょうのタイムをマークしたとき「迷まよいながらも泳およぎ続つづけたことは無駄むだじゃなかったんだ」と気きづいたといいます。