阿部あべ詩し選手せんしゅの柔道じゅうどう人生じんせいは、兄あに、阿部あべ一いち二に三さん選手せんしゅの背中せなかを追おいかけるようにして5歳さいから始はじまりました。

「兄あにとは逆ぎゃくで、初はじめての試合しあいでもメダルをもらったり、男の子おとこのこに勝かったりした。でも優勝ゆうしょうはなくて自分じぶんでは悩なやんだ」と振り返ふりかえっています。

周囲しゅういが小学生しょうがくせいのころから一目いちもく置おくセンスと、兄あにに追おいつき、追い越おいこせという負けず嫌まけずぎらいな性格せいかくで実力じつりょくを伸のばしていった詩し選手せんしゅ。

東京とうきょうオリンピックの招致しょうちが決きまった2013年ねん、当時とうじ、まだ中学ちゅうがく1年生ねんせいだった詩し選手せんしゅは「2020年ねんは20歳さい。東京とうきょうオリンピックに出でて優勝ゆうしょうしたい」と、すでに明確めいかくな目標もくひょうになっていたと言いいます。

2017年ねん、一いち二に三さん選手せんしゅが20歳さいで世界せかい選手権せんしゅけんを制せいすと、2018年ねんには詩し選手せんしゅが18歳さいで初はつ優勝ゆうしょう。

2連覇れんぱを果はたした一いち二に三さん選手せんしゅと共とともに世界せかい選手権せんしゅけんで初はじめて”きょうだい”同時どうじに優勝ゆうしょうを成し遂なしとげました。

おととしの世界せかい選手権せんしゅけんでは、リオデジャネイロオリンピック金きんメダリスト、コソボのマリンダ・ケルメンディ選手せんしゅなど組くみ手しゅが力強ちからづよい選手せんしゅへの対策たいさくを徹底てっていし、準決勝じゅんけっしょうでそのケルメンディ選手せんしゅを破やぶって大会たいかい連覇れんぱを果はたしました。

兄あにと同おなじく両りょう袖そでを持もって相手あいてを豪華ごうかに投なげる袖そで釣り込つりこみ腰こしや内股うちまたなどの投なげ技わざに加くわえて寝技ねわざも継続けいぞく的てきに強化きょうか。さらにオリンピックが延期えんきとなったこの1年ねんは、足技あしわざで崩くずすパターンも強化きょうかしてきました。

根底こんていにあるのは「怪物かいぶつになりたい」という目標もくひょうです。

「絶対ぜったい的てきな強つよさを手てに入いれることがそう呼よばれる第一歩だいいっぽ」と話はなし、世界せかいチャンピオンになってからも常つねに究極きゅうきょくの強つよさを追い求おいもとめてきました。

迎むかえた初はじめての大だい舞台ぶたいでは、相手あいてから徹底てっていして研究けんきゅうされる中なかでも「自分じぶんの柔道じゅうどうを100％出し切だしきりたい」ということばどおりに、海外かいがいのライバルを次々つぎつぎと退しりぞけました。

女子じょしがオリンピックの正式せいしき種目しゅもくとなってから52キロ級きゅうでは、日本にっぽん選手せんしゅとして初はじめての金メダルきんめだるを獲得かくとく。この先さきも日本にっぽんの女子じょしを引っ張ひっぱる「怪物かいぶつ」として、確たしかな一いち歩ほを踏み出ふみだしました。