期待にたがわぬ強さを見せつけて2連覇を達成するとともに日本柔道の神髄を再び世界に知らしめました。
2016年、前回のリオデジャネイロ大会を圧倒的な強さで制し金メダルを獲得した大野選手。
優勝してもすぐには喜びのしぐさを出さず、深々と礼をした姿は世界から称賛され、日本では道徳の教科書の題材にもなりました。
ここからの5年間、大野選手は「2016年のひとつ完成した大野将平がいちばん最大の最強の大きな敵。そこにいかに勝ち、超えていくか」と話し自分との戦いがテーマとなりました。
稽古では「自分で自分を倒す感覚」と例えるようにあえて自分不利の組み手を作ってからの攻めを繰り返したり、本来とは逆の左の組み手で一日中、稽古をしたりしてきました。
大野選手を徹底的に研究しまともに組もうとしない相手に対しても、いかにそこから組み手争いを制し、両手で組んで投げる日本伝統の柔道に持ちこむか。
地道な稽古をひたすら繰り返して来ました。
しかし、その大野選手も去年は新型コロナの感染拡大の影響を受け、試合から遠ざかることでモチベーションの維持に苦労しました。
海外選手と本気で組み合う機会を求めてことし5月に向かったのはロシアでした。
この国際合宿で、1つ上の階級のオリンピック、金メダリストなどと試合を想定した稽古をしました。
大野選手は「自分の戦ってきた場はなまぬるくなかった。海外の遠征をへて時が満ち、今、戦いたいと思えた」とこの合宿で再び心に火がついたと話しています。
2014年から海外選手相手にはけがによる不戦敗を除いて負けなし。
今回も圧倒的な金メダル候補として臨んだ本番で期待にたがわぬ戦いぶりを見せ、日本柔道7人目のオリンピック連覇を達成。
柔道の聖地、日本武道館で「柔道スタイル・姿勢・組手・技、すべてで差をつけて圧倒的な差をつけて勝つ」という柔道家のきょうじを世界に示しました。
これまでに2連覇を達成した6人です。 ▼斉藤仁さんは、男子100キロを超えるクラスで、1984年のロサンゼルス大会と1988年のソウル大会で金メダルを獲得し、日本柔道で初めてのオリンピック2連覇を成し遂げました。 ▼谷亮子さんは、女子48キロ級で2000年のシドニー大会と2004年のアテネ大会で金メダルを獲得。 ▼野村忠宏さんは男子60キロ級で、1996年のアトランタ大会と2000年のシドニー大会で連覇を果たし、さらに2004年のアテネ大会でも金メダルを獲得し3連覇を果たしました。日本柔道でこれまで3連覇を果たしたのは野村さんだけです。 ▼谷本歩実さんは女子63キロ級で、 ▼内柴正人さんは男子66キロ級で、 ▼上野雅恵さんは、女子70キロ級で、いずれも2004年のアテネ大会と2008年の北京大会で金メダルを獲得し2連覇を果たしました。
大野 7人目のオリンピック2連覇