4日の決勝では、おととしの世界選手権で優勝したキルギスのアイスルー・ティニベコワ選手と対戦しました。
前半1ポイントを先制されましたが、残り1分を切ったところで川井選手が鋭いタックルを決め2ポイントを奪って逆転しました。
後半に入っても積極的に攻め続けてポイントを重ねた川井選手は、4対3で競り勝ちました。
川井選手は初めてのオリンピックで金メダル獲得です。金メダルを獲得した川井選手は、手をたたいて笑顔を見せながら喜びを表していました。
一方、川井選手の姉、梨紗子選手は観客席で妹の試合を見守っていて、金メダルが決まると涙を流していました。女子57キロ級の川井梨紗子選手は5日の決勝進出を決めていて、東京大会で姉妹での金メダル獲得なるか注目されます。
レスリング女子62キロ級は銀メダルがキルギスのアイスルー・ティニベコワ選手、銅メダルはウクライナのイリナ・コリアデンコ選手と、ブルガリアのタイベ ムスタファ・ユセイン選手でした。
また家族に対しては「ケガをして手術をしたときからどんな時でも支えてくれた。今まで結果で示せなかったので、やっと恩返しができた」と感謝のことばを口にしました。 5日に女子57キロ級の決勝に臨む、姉の川井梨紗子選手に向けては「いい形で姉につなげられたと思うので、あしたはしっかりサポートしたい」と話していました。
そして表彰台に上ってからは観客席で見守る姉の梨紗子選手に何度も手を振り、受け取った金メダルを自分で首にかけていました。 最初は目に涙を浮かべていた川井選手ですが、最後は満面の笑みを見せ金メダルを掲げていました。
偉大な姉と肩を並べようと努力を積み重ね、周囲の予想を大きく上回る成長を見せて金メダルを獲得しました。 「自分はどんくさいし運動神経もよくないんで、人より多く練習しないと強くなれない」 大会前のこのことばが川井友香子選手の歩んできた道のりを物語っています。 5年前の前回大会のころ川井選手は国際的には全く無名の選手で、「オリンピックに出るなんて想像もつかなかった」と振り返ります。 その意識を変えたのが、金メダルを獲得した姉の川井梨紗子選手でした。世界の頂点に立った姉に対し「寂しい気持ちもあったが、いつか追いつきたいと思った」という友香子選手。強豪の至学館大学の中でも誰よりも長く居残り練習をするようになり、急成長を見せ始めました。 みずから「特徴がないレスリング」と言うとおり、特筆すべき持ち味があったわけではありません。しかし、タックルと組み手、グラウンドなど総合的なレベルは着実に上がっていき、2018年から2年連続で世界選手権での表彰台に立つなど結果を出しました。 オリンピックの延期で得られた1年の期間も「努力の人」である友香子選手にとっては「100%プラス」でした。特に伸びたのが「パワー」と「組み手」です。じっくりと筋力トレーニングに取り組んだことで一回り体が大きくなり、コーチも「組み合ってわかるほどパワーがついた」と成長を感じていました。 さらに「組み手」のうまさに定評のある姉を参考にして、組み手で有利な体勢を作る戦い方を磨いてきました。 そして、今大会に登場した友香子選手の成長ぶりは多くの関係者を驚かせました。安定した構えで相手のタックルをさばき、組み手で相手を崩してポイントを奪う隙のないレスリング。初出場の重圧を感じさせない落ち着きぶりも際立っていて、1年半ぶりの実戦で、見違えるように強くなっていました。 世界選手権で優勝経験のある強豪を次々に破り、一気に頂点へ駆け上がりました。「姉妹で金」という最大の夢へ、まず一歩、歩みを進めた友香子選手。5日に決勝に臨む梨紗子選手へ最高の形でバトンを渡しました。
川井「本当に夢のよう」
表彰台では満面の笑みに
周囲を驚かせた成長 隙のないレスリングで金