オリンピック レスリング 川井かわい友香子ゆかこ 金メダルきんめだる 女子じょし62キロ級きゅう

そして表彰台ひょうしょうだいに上のぼってからは観客かんきゃく席せきで見守みまもる姉あねの梨なし紗子さえこ選手せんしゅに何なん度ども手てを振ふり、受け取うけとった金メダルきんめだるを自分じぶんで首くびにかけていました。

最初さいしょは目めに涙なみだを浮うかべていた川井かわい選手せんしゅですが、最後さいごは満面まんめんの笑えみを見みせ金メダルきんめだるを掲かかげていました。

偉大いだいな姉あねと肩かたを並ならべようと努力どりょくを積み重つみかさね、周囲しゅういの予想よそうを大おおきく上回うわまわる成長せいちょうを見みせて金メダルきんめだるを獲得かくとくしました。

「自分じぶんはどんくさいし運動うんどう神経しんけいもよくないんで、人ひとより多おおく練習れんしゅうしないと強つよくなれない」

大会たいかい前まえのこのことばが川井かわい友香子ゆかこ選手せんしゅの歩あゆんできた道みちのりを物語ものがたっています。

5年ねん前まえの前回ぜんかい大会たいかいのころ川井かわい選手せんしゅは国際こくさい的てきには全まったく無名むめいの選手せんしゅで、「オリンピックに出でるなんて想像そうぞうもつかなかった」と振り返ふりかえります。

その意識いしきを変かえたのが、金メダルきんめだるを獲得かくとくした姉あねの川井かわい梨なし紗子さえこ選手せんしゅでした。世界せかいの頂点ちょうてんに立たった姉あねに対にたいし「寂さびしい気持きもちもあったが、いつか追おいつきたいと思おもった」という友香子ゆかこ選手せんしゅ。強豪きょうごうの至いたり学がく館かん大学だいがくの中なかでも誰だれよりも長ながく居残いのこり練習れんしゅうをするようになり、急きゅう成長せいちょうを見みせ始はじめました。

みずから「特徴とくちょうがないレスリング」と言いうとおり、特筆とくひつすべき持ち味もちあじがあったわけではありません。しかし、タックルと組くみ手しゅ、グラウンドなど総合そうごう的てきなレベルは着実ちゃくじつに上あがっていき、2018年ねんから2年ねん連続れんぞくで世界せかい選手権せんしゅけんでの表彰台ひょうしょうだいに立たつなど結果けっかを出だしました。

オリンピックの延期えんきで得えられた1年ねんの期間きかんも「努力どりょくの人ひと」である友香子ゆかこ選手せんしゅにとっては「100％プラス」でした。特とくに伸のびたのが「パワー」と「組くみ手しゅ」です。じっくりと筋力きんりょくトレーニングに取り組とりくんだことで一いち回まわり体たいが大おおきくなり、コーチも「組み合くみあってわかるほどパワーがついた」と成長せいちょうを感かんじていました。

さらに「組くみ手しゅ」のうまさに定評ていひょうのある姉あねを参考さんこうにして、組くみ手しゅで有利ゆうりな体勢たいせいを作つくる戦たたかい方かたを磨みがいてきました。

そして、今こん大会たいかいに登場とうじょうした友香子ゆかこ選手せんしゅの成長せいちょうぶりは多おおくの関係かんけい者しゃを驚おどろかせました。安定あんていした構かまえで相手あいてのタックルをさばき、組くみ手しゅで相手あいてを崩くずしてポイントを奪うばう隙ひまのないレスリング。初はつ出場しゅつじょうの重圧じゅうあつを感かんじさせない落ち着おちつきぶりも際立きわだっていて、1年ねん半はんぶりの実戦じっせんで、見違みちがえるように強つよくなっていました。

世界せかい選手権せんしゅけんで優勝ゆうしょう経験けいけんのある強豪きょうごうを次々つぎつぎに破やぶり、一気いっきに頂点ちょうてんへ駆かけ上あがりました。「姉妹しまいで金きん」という最大さいだいの夢ゆめへ、まず一いち歩ほ、歩あゆみを進すすめた友香子ゆかこ選手せんしゅ。5日にちに決勝けっしょうに臨のぞむ梨なし紗子さえこ選手せんしゅへ最高さいこうの形かたちでバトンを渡わたしました。