“災害さいがい時じの状況じょうきょうに近ちかい 医療いりょうひっ迫ひっぱく” 新型しんがたコロナ 専門せんもん家か会合かいごう

病院びょういんによりますと、女性じょせいは5日間にちかん自宅じたくで療養りょうようしていましたが、血液けつえき中ちゅうの酸素さんその値ねが下さがったため保健所ほけんじょが入院にゅういん調整ちょうせいを行おこなったということです。

しかし受け入うけいれ先さきはなく、その後そのごも救急きゅうきゅう隊員たいいんが入院にゅういん先さきを探さがしましたが断ことわられ続つづけ、救急きゅうきゅう車しゃの車内しゃないにとどまるなど6時間じかん余あまり病院びょういんは見みつからなかったということです。

そして東京とうきょう都とと埼玉さいたま県けんが調整ちょうせいし、都心としんから50キロほど離はなれたこの病院びょういんに搬送はんそうされたということです。

この病院びょういんでは連日れんじつのように入院にゅういん要請ようせいがあり、先週せんしゅうから重症じゅうしょう用ようの病床びょうしょう6床しょうがほとんど埋うまるなど病床びょうしょうは常時じょうじひっ迫ひっぱくしていますが、9日にちは患者かんじゃの退院たいいんが続つづいたため一時いちじ的てきにベッドに空あきがあり、受け入うけいれができたということです。

この患者かんじゃは入院にゅういん時じすでに酸素さんその投与とうよが必要ひつような「中等ちゅうとう症しょう2」と呼よばれる状態じょうたいでした。

第だい5波はでは、基礎きそ疾患しっかんがなく大おおきな病気びょうきにかかったこともない40代だいや50代だいの世代せだいが「中等ちゅうとう症しょう2」の状態じょうたいになるケースが相次あいつぎ、その中なかから人工じんこう呼吸こきゅう器きを装着そうちゃくしなければならない「重症じゅうしょう」にまで悪化あっかする患者かんじゃもみられるということです。

ことし4月つきには、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいで大阪おおさか府ふの医療いりょう体制たいせいがひっ迫ひっぱくしたことを受うけ、滋賀しが県けんが患者かんじゃを受け入うけいれました。

一方いっぽう、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、患者かんじゃを移送いそうすると体からだへの負担ふたんとなり、人工じんこう呼吸こきゅう器きが必要ひつような重症じゅうしょう患者かんじゃなどは容体ようだいが急変きゅうへんするおそれもあるとして、あくまで個別こべつに判断はんだんしてほしいとしています。

特とくに、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんの対象たいしょう地域ちいきから別べつの対象たいしょう地域ちいきへと搬送はんそうしたり、入院にゅういんしている人ひとの数かずが都道とどう府県ふけんが確保かくほしている病床びょうしょうの数かずを超こえていない場合ばあいは、感染かんせん状況じょうきょうを踏ふまえて慎重しんちょうに検討けんとうするよう求もとめています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは広域こういき搬送はんそうについて「感染かんせんは全国ぜんこく的てきに広ひろがっているため、どこかの自治体じちたいが一いち度どに多おおくの患者かんじゃを受け入うけいれるのは現実げんじつ的てきに難むずかしい」として限定げんてい的てきな取り組とりくみにとどまるという見解けんかいを示しめしたうえで「否定ひていはしないが、住民じゅうみんや医療いりょう機関きかんの理解りかいを得えて行いってほしい」としています。

そのうえで、都道とどう府県ふけんがそれぞれの地域ちいきで病床びょうしょうを確保かくほすることが基本きほんだとして、医療いりょう体制たいせいがひっ迫ひっぱくした地域ちいきに対にたいし医師いしや看護かんご師しの派遣はけんといった支援しえんを続つづける考かんがえを示しめしています。

また、医療いりょうひっ迫ひっぱくの状況じょうきょうについて「都内とないを中心ちゅうしんに患者かんじゃを受け入うけいれたくても受け入うけいれられない病院びょういんが増ふえてきていて、無力むりょく感かんを感かんじている医療いりょう従事じゅうじ者しゃも出でてきている。事故じこや熱中ねっちゅう症しょう、心筋しんきん梗塞こうそくなどに自分じぶんや家族かぞくがみまわれた時ときに救急きゅうきゅう車しゃを呼よんでも病院びょういんに行いくまでに数すう時間じかんかかるような事態じたいが現実げんじつに起おき始はじめている。がんなど慢性まんせいの病気びょうきでも予定よていしていた治療ちりょうが受うけられなくなる可能かのう性せいもある。自分じぶんや周まわりの人ひとを守まもるという意味いみでも感染かんせんの拡大かくだいを防ふせぐ行動こうどうをしてほしい」と呼よびかけました。

そのうえで和田わだ教授きょうじゅは、「この段階だんかいになれば、少すこしでもほかの人ひととの接触せっしょく機会きかいを減へらすため、なるべく家いえにいてもらうということを求もとめなくてはならなくなっている。いまはお盆おぼん期間きかん中ちゅうだが、休やすみがあけて仕事しごとが始はじまれば職場しょくばなどでの接触せっしょくが増ふえてさらに感染かんせんが広ひろがる可能かのう性せいもある。いまは人ひとと極力きょくりょくあわないようにして地域ちいきの感染かんせんを抑おさえるために家いえにいてもらうことが重要じゅうようだ」と訴うったえました。

▼全国ぜんこくでは1.33倍ばいと感染かんせんの拡大かくだいが続つづいていて、

緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんが出だされている地域ちいきでは、

▼東京とうきょう都とで1.19倍ばい、

▼埼玉さいたま県けんで1.39倍ばい、

▼神奈川かながわ県けんで1.36倍ばい、

▼千葉ちば県けんで1.33倍ばい、

▼大阪おおさか府ふで1.25倍ばい、

▼沖縄おきなわ県けんで1.38倍ばいと

各地かくちで感染かんせん者しゃ数すうが過去かこ最多さいたになっている中なかでさらに拡大かくだいが続つづいています。

また、まん延まんえん防止ぼうし等とう重点じゅうてん措置そちが適用てきようされている地域ちいきでは、

▼北海道ほっかいどうで1.34倍ばい、

▼茨城いばらき県けんで1.32倍ばい、

▼栃木とちぎ県けんで1.12倍ばい、

▼群馬ぐんま県けんで1.38倍ばい、

▼静岡しずおか県けんで1.65倍ばい、

▼愛知あいち県けんで1.48倍ばい、

▼滋賀しが県けんで1.75倍ばい、

▼京都きょうと府ふで1.54倍ばい、

▼兵庫ひょうご県けんで1.37倍ばい、

▼福岡ふくおか県けんで1.58倍ばいと

▼熊本くまもと県けんで1.54倍ばいと拡大かくだいが続つづいている一方いっぽうで、

▼福島ふくしま県けんで0.99倍ばいと横よこばいに、

▼石川いしかわ県けんでは0.80倍ばいと減少げんしょうに転てんじています。

▼沖縄おきなわ県けんが247.83人にん、

▼東京とうきょう都とが200.06人にんで初はじめて200人にんを超こえるなど

これまでに国内こくないのどの地域ちいきでも経験けいけんしたことのない規模きぼの感染かんせん拡大かくだいになっているほか、

▼神奈川かながわ県けんが140.27人にん、

▼埼玉さいたま県けんが119.66人にん、

▼千葉ちば県けんが107.27人にんなどとなっていて、

▼全国ぜんこくでも77.60人にんと感染かんせん状況じょうきょうが最もっとも深刻しんこくな「ステージ4」の目安めやすの25人にんを超こえているのは31の都道とどう府県ふけんにのぼります。

また、感染かんせん力りょくの強つよい変異へんいウイルス、「デルタ株かぶ」は、首都しゅと圏けんではほぼ置き換おきかわり、関西かんさいでもすでに感染かんせん全体ぜんたいの80％以上いじょうを占しめるに至いたったと推定すいていされています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょが民間みんかんの検査けんさ会社かいしゃ7社しゃの「変異へんい株かぶスクリーニング検査けんさ」のデータを元もとにデルタ株かぶでみられる「L452R」の変異へんいが含ふくまれたウイルスがどれくらいの割合わりあいを占しめているか推定すいていした結果けっかを11日にち、厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家か会合かいごうで示しめしました。

それによりますと、東京とうきょう都とではデルタ株かぶなどがすでに95％、神奈川かながわ県けん、埼玉さいたま県けん、千葉ちば県けんを含ふくめた首都しゅと圏けんの1都と3県けんでも95％とほぼ置き換おきかわっています。

また、大阪おおさか府ふ、京都きょうと府ふ、兵庫ひょうご県けんの関西かんさいの2府ふ1県けんでは、7月つき上旬じょうじゅんまでは少すくない状態じょうたいでしたが、急速きゅうそくに広ひろがってすでに84％となっていて、今月こんげつ下旬げじゅんには関西かんさいでもほぼすべてがデルタ株かぶに置き換おきかわるとしています。

さらに、沖縄おきなわ県けんですでに96％、福岡ふくおか県けんで94％、愛知あいち県けんでも82％と各地かくちで置おき換がわりが急速きゅうそくに進すすんでいて、デルタ株かぶの感染かんせんの拡大かくだいとともに、入院にゅういん患者かんじゃが急増きゅうぞうし、医療いりょうのひっ迫ひっぱくにつながっていると指摘してきされています。

専門せんもん家か会合かいごうは、感染かんせん力りょくが強つよい変異へんいウイルス、デルタ株かぶへの置き換おきかわりが進すすむ中なか、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんなどによる人出ひとでの減少げんしょうは限定げんてい的てきで、これまでに経験けいけんしたことのない感染かんせん拡大かくだいの局面きょくめんを迎むかえているとしたうえで、医療いりょう体制たいせいの拡充かくじゅうも限界げんかいがあるため重症じゅうしょう者しゃ数すうの急速きゅうそくな増加ぞうかで「多おおくの命いのちが救すくえなくなるような危機きき的てきな状況じょうきょうさえ危惧きぐされる」と、これまでにない表現ひょうげんで強つよい危機きき感かんを示しめし、一刻いっこくも早はやく感染かんせん拡大かくだいを抑おさえることが必要ひつようだと訴うったえました。

その上うえで、専門せんもん家か会合かいごうは必要ひつような対策たいさくとして▼お盆おぼんや夏休なつやすみにも県境けんきょうを越こえる移動いどうや外出がいしゅつを控ひかえ、帰省きせいは延期えんきを検討けんとうするよう求もとめました。

また、感染かんせんが飲食いんしょくの場面ばめんだけでなく、商業しょうぎょう施設しせつや職場しょくば、学校がっこうなどでも急速きゅうそくに広ひろがっているとして、▼ワクチンを接種せっしゅした人ひとも含ふくめてマスクの着用ちゃくようや消毒しょうどく、人ひととの距離きょりの確保かくほや換気かんきなどの基本きほん的てきな対策たいさくを徹底てっていすること、それに▼職場しょくばでの会議かいぎは原則げんそくオンラインで行おこなうことやテレワークの推進すいしん、症状しょうじょうのある人ひとの出社しゅっしゃ自粛じしゅくの徹底てっていなどを求もとめています。

さらに、最近さいきん承認しょうにんされた重症じゅうしょう化かを防ふせぐ効果こうかが期待きたいされる抗体こうたい医薬いやくの活用かつようや、重症じゅうしょう化かに迅速じんそくに対応たいおうできる体制たいせいを早急そうきゅうに整備せいびして、必要ひつような医療いりょうを確保かくほする必要ひつよう性せいを指摘してきしました。

その上うえで「クラスターが起おこっている状況じょうきょうを勘案かんあんすると、今いままで感染かんせんしなかった環境かんきょうでも感染かんせんするほど、デルタ株かぶの感染かんせん力りょくは強つよい。お盆おぼんに県境けんきょうを越こえる移動いどうや、いつも会あわない人ひとと集あつまっての会食かいしょくなどは避さけてほしい」と述のべました。

一方いっぽう、田村たむら大臣だいじんは「2回かい目めのワクチン接種せっしゅをした人ひとも3分ぶんの1を超こえたが、『40代だいや50代だいの接種せっしゅが進すすむまでの間ま、今後こんご2週間しゅうかんくらいは行動こうどう抑制よくせいをしてほしい』という専門せんもん家かの評価ひょうかになると思おもう。ワクチンの接種せっしゅが国民こくみん全般ぜんぱんに広ひろがった後のちに、どのような行動こうどうに留意りゅういすべきか評価ひょうかしてほしい」と述のべました。

その上うえで、「東京とうきょう都内とないの夜間やかんの滞留たいりゅう人口じんこうのデータ分析ぶんせきによると若わかい世代せだいだけでなく、比較的ひかくてき、重症じゅうしょう化かのリスクが高たかい40代だいや50代だいの人ひと流りゅうが多おおくなっている。新型しんがたコロナウイルスはインフルエンザとは違ちがって感染かんせんした人ひとの数すう％が死亡しぼうするような感染かんせん症しょうで、致死ちし率りつが低ひくい病気びょうきではない。自分じぶんや大切たいせつな家族かぞくを守まもるために感染かんせんリスクを避さける行動こうどうをとってほしい」と呼よびかけました。