男性と最後に会ったのは亡くなった母の四十九日の法要があった、ことし6月だったということで「弟は『沖縄で商売を続けて骨を埋める』と話していました。志半ばだったと思います。いろいろなお客さんにおいしい料理を食べてもらいたかったと思うと無念です」と話しました。
そして「新型コロナに感染すると思っていない人や、他人に感染させると思っていない人もいると思う。コロナが自分の人生にも関わるということを知れば、もう少し危機感を持つことができるはずだ」と話し、同じようなことを繰り返して欲しくないと訴えました。
数日後、男性の部屋に入ると、備え付けの冷蔵庫にはサラダとお茶だけが入っていたということです。 友人の比嘉篤志さんは「たぶん、買い物に行けなかったのではないかと思います。電話をくれたら家も近いので何か準備をして持って行くこともできたので、切ないです」と話していました。 来月5日には部屋を引き払う予定だということで、遺品などは大阪に暮らす男性の姉に送ったということです。 亡くなった男性は新型コロナを発症後、友人に連絡することはなかったということで、比嘉さんは「優しい人だったので、みんなに気をつかって連絡しなかったのかもしれない。コロナにかかったと人に言えない現実もあると思うので、緊急の連絡先を登録するとか誰かが見守ってあげる形をとらないと同じようなことが起きるのではないか。1回きりの命なので救える環境を作ってほしい」と話していました。
病院から報告を受け、県は6日に男性の感染を把握したということです。 その日のうちに保健所が入院を調整するため、男性に連絡しましたがつながらず、翌7日に改めて電話をかけると今度は留守番電話になったということです。 8日になって、保健所の職員が自宅を訪ねましたが反応がなかったため、警察などと再び訪問し、自宅で亡くなっているのが確認されたということです。 通常、感染者と丸1日連絡が取れない場合、保健所の職員が訪問することになっていますが、沖縄県でこれまでにない規模で感染が拡大するなか、保健所の業務がひっ迫していたため、男性の自宅訪問は2日後になったということです。 連絡が取れないまま男性が亡くなった今回の事態を受けて、沖縄県は、すべての感染者を対象に本人以外の緊急連絡先を確認する再発防止策をとっています。
ひとり部屋のベッドで
亡くなった経緯と再発防止策