サウジアラビアの首都リヤドで開かれる米ロ両国の会合には、アメリカ側から、ルビオ国務長官のほか、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官や、ウィトコフ中東担当特使が出席します。
また、ロシア側からは、ラブロフ外相と、大統領府で外交政策を担当するウシャコフ補佐官が出席する予定で、17日夜、リヤドに到着しました。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は17日、会合では米ロ首脳会談の開催に向けた準備や、ウクライナ情勢に関する今後の交渉の準備などについて協議すると明らかにしたほか、ウシャコフ補佐官は「ウクライナに関する交渉をどのように始めるかで合意できるかが問題だ」と述べました。
また、アメリカのルビオ国務長官は16日に出演したCBSテレビの番組の中で、「ロシアが真剣かどうか判断する」としたうえで、「平和へのプロセスは一度の会談で実現するものではない。この戦争は長い間続いていて難しく、複雑だ」と述べており、協議の行方が注目されます。
ロシア ラブロフ外相 “ウクライナ領土 譲渡する考えない”
ロシアのラブロフ外相はサウジアラビアで行われるアメリカの代表団との会合を前に17日、記者会見し、ロシアが掌握したウクライナの領土について交渉で譲渡する考えはないと強調しました。
ロシアは現在、ウクライナ全体のおよそ20%にあたる領土を掌握していて、アメリカ・トランプ政権でウクライナ特使を務めるケロッグ氏はロシアに対しても領土を含めて譲歩を迫る考えを示しています。
また、ラブロフ外相は、アメリカ・トランプ政権とヨーロッパ各国との立場の隔たりが浮き彫りになる中、停戦交渉にヨーロッパが参加する意味はないと主張しました。
ゼレンスキー大統領「ウクライナ抜きの合意 認められない」
ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、訪問先の中東のUAE=アラブ首長国連邦からオンラインで記者会見を開きました。
この中でゼレンスキー大統領は、18日にサウジアラビアで行われるアメリカとロシアの高官の会合について、「ウクライナは参加しない。これらのことについて何も知らなかった。ウクライナ抜きのいかなる合意も認められない」と述べ、強く反発しました。
また、鉱物資源の権益をめぐるトランプ政権との協議に関連して、「覚え書きには何らかの形で安全の保証が反映されなければならない。私たちは単なる原料の供給者ではない」と述べ、ロシアによる軍事侵攻が二度と起きないような強力な安全の保証が必要だと改めて強調しました。
そして、ゼレンスキー大統領は、アメリカ・トランプ政権のケロッグ特使が今月20日からウクライナを訪問すると明らかにし、一緒に前線を訪れる可能性にも触れました。
一方、トルコ政府は、ゼレンスキー大統領が18日、トルコを訪れ、エルドアン大統領と会談すると発表しました。
ウクライナの最新情勢などについて意見を交わす予定だとしています。
ゼレンスキー大統領は一連の中東歴訪でサウジアラビアも訪問することにしています。
ウクライナ 市民からは懸念の声
米ロ両国の会合にウクライナが参加しないことから、首都キーウの市民からは懸念の声が聞かれました。
20歳の男性は、ウクライナが参加しないことについて、「絶対に間違っている。ウクライナ抜きでの交渉は間違いなく不当なものとなるだろう」と懸念をあらわにしました。
別の22歳の男性は「ウクライナの外交が弱いように感じる。私たちを抜きにしてすでにすべてが決まっているような気がする。そしてそれは受け入れられないことだ」と話していました。
一方で、アメリカのトランプ大統領について触れ、「変化をもたらした政治家として歴史に名を残そうとしていると思うので、サウジアラビアでの会合で何かは変わるかもしれない」と述べました。
25歳の女性は「当事者のウクライナがいないところで会合をするのはよくない。怒りを感じ理解できない」と話していました。
そして今後、ロシアとの間で停戦となるかどうかについては「疑問に思う」と述べて、懐疑的な見方を示しました。
ルビオ国務長官 ムハンマド皇太子と会談
アメリカのルビオ国務長官は17日、サウジアラビアの首都リヤドに到着し、ムハンマド皇太子と会談しました。
現地からの映像では、ホワイトハウスで安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官や、ウィトコフ中東担当特使が同席したことがわかります。
国務省の発表によりますと、会談でルビオ長官は両国が経済と防衛の分野で協力を拡大することに期待を示し、2国間関係をさらに強化することを約束したということです。
また、ガザ地区での停戦の着実な履行や、アメリカ国民を含むすべての人質をハマスが解放することを確実にするために、両国が取り組むことを確認したとしています。
ルビオ長官は、サウジアラビアで18日、ロシアのラブロフ外相らとウクライナでの戦闘終結に向けて協議する予定です。
トランプ大統領 マクロン大統領と電話会談
アメリカ・ホワイトハウスの当局者は17日、トランプ大統領がフランスのマクロン大統領と電話会談をしたと明らかにしました。
両首脳はウクライナでの戦闘や、サウジアラビアで予定されている米ロ両国の会合などについて話し合ったということで、「電話会談は友好的でおよそ30分間行われた」としています。