衆議院予算委員会では、自民党の政治とカネの問題を受けて、20日に旧安倍派の会計責任者から参考人として聴取する予定でしたが、本人が公開の形は望まないとしていることを踏まえ与野党が対応を検討してきました。
19日朝の理事会では、自民党が聴取の実施方法などをめぐって会計責任者側から時間と場所も公開しないよう要望が出されたことを報告し、与野党の協議が折り合わず、理事会はいったん休憩となりました。
このため、午前9時から石破総理大臣と関係閣僚が出席して集中審議が行われる予定だった予算委員会は、午前の審議が行われませんでした。
こうした中、自民党の坂本国会対策委員長と立憲民主党の笠国会対策委員長が断続的に協議し、坂本氏は会計責任者側と連絡を取った結果、20日に聴取に応じることは難しいという意向が示されたことを伝え、聴取の延期を要請しました。
これに対し、笠氏は20日に聴取を行えないのであれば、新年度予算案の採決までに実施するよう求め、坂本氏は応じる考えを示しました。
これを受けて野党5党の国会対策委員長らが会談し、会計責任者への聴取にあたって条件をつけてくる場合には、証人喚問の要求も検討することで一致しました。
《速報中》参考人招致めぐる発言や動き
立民 笠国対委員長「閉鎖的な形なら白紙に戻した方がいい」
立憲民主党の笠国会対策委員長は記者団に対し「閉鎖的な形で行うということならば、白紙に戻した方がいい。その時には、遺憾ながら、強制力を持った証人喚問にも、臨まざるをえない。国民にきちんとした形で責任を果たしていくことを考えた時に、あたり前のことをあたり前にやってほしいということだ」と述べました。
立民 笠国対委員長「しっかりと採決の前に参考人質疑を」
立憲民主党の笠国会対策委員長は記者団に対し「自民党からはあすの参考人質疑を延期してもらえないかという申し出があった。私からはまずはしっかりと予算案の採決の前に参考人質疑をやり、そしてそれを受けて政治とカネの問題をめぐる集中審議をやることを確約してほしいと伝えた」と述べました。そのうえで「この間、予算委員会の現場でも、最大限の配慮をしながらあすの参考人質疑を進めてきたので、直前になって急ブレーキがかかるというのは甚だ疑問だ」と述べました。
国民 古川代表代行「看過できない問題 厳しく対応する」
国民民主党の古川代表代行は記者会見で「旧安倍派の会計責任者が『この質問をするな』と言ってきたというのは、あり得ない話だ。聞いた上で答えられないというなら、まだわかるが、それを認めてしまえば議論にならない。看過できない問題で、厳しく対応していきたい」と述べました。
自民幹部 “会計責任者 あすの聴取は難しい意向”
自民党幹部は記者団に対し、会計責任者の弁護士に理事会での与野党の協議内容など、現在の状況を伝えたところ、会計責任者側から20日は聴取に応じることは難しいという意向が示されたことを明らかにしました。そして、こうした内容を先ほど、自民党の坂本国会対策委員長が立憲民主党の笠国会対策委員長に伝えたということです。
自民 立民の国対委員長が会談
自民党の坂本国会対策委員長と立憲民主党の笠国会対策委員長は、午前9時半から10分あまり、会談しました。衆議院予算委員会の理事会で、参考人招致をめぐる与野党の協議が折り合わなかったことから、委員会の開会に向けて、対応を協議したものとみられます。
立民 安住予算委員長「態度が改まらなければ集中審議できず」
立憲民主党の安住予算委員長は記者団に対し、委員会に先立つ理事会をいったん休憩にしたと明らかにしたうえで「参考人側の言っていることが、昨夜から、合意できないような内容になっている。『日時や場所を一切明らかにするな』とか、『この質問はふさわしくないからやめろ』とか考えられないような内容だ」と述べました。
そして、「国民に隠れたところで行うことは、とても容認できない。態度が改まるのか改まらないのかを自民党にもう1回、確認してくれと伝えた。態度が改まらなければ、集中審議はできない」と述べました。
立民 山井氏「国会に対する冒とく」
野党側の筆頭理事を務める立憲民主党の山井和則氏は記者団に対し「あすの参考人招致の場所と時間を公表しないと言ってきたが、そんなことできるはずがない。さらに『この質問はふさわしくない』といった事前検閲のようなこともしてきた。国会に対する冒とくだし、参考人招致が成り立たない」と述べました。
参考人招致めぐる経緯
衆議院予算委員会は、先月、旧安倍派の会計責任者の参考人招致を野党側の賛成多数で議決しましたが、本人が「出席を控えたい」と回答するなどしたため、安住予算委員長や自民党が文書で招致に応じるよう働きかけていました。
その後、今週になって会計責任者は参考人としての聴取に応じるとする一方、公開の形は望まない意向を示したことから、与野党が対応を協議しました。
そして18日、安住委員長は、20日、与野党の理事とともに東京都内のホテルに出向き、非公開の形で本人に対する聴取を行うことになるという見通しを示していました。
衆議院の事務局によりますと、国会以外の場所で衆議院の委員会の参考人招致が行われることになれば、1988年に「リクルート事件」をめぐり、リクルートの創業者が招致対象となったとき以来、2例目だということです。