恒久的な停戦協議の行方は?
先月19日に始まったイスラエルとハマスとの間の6週間の停戦合意では、ハマスがイスラエル人の人質のうち、33人を段階的に解放することになっていて、これまでに19人が解放されています。
停戦期間に入って1か月になるのを前にハマスは18日、今後、20日に人質4人の遺体を返還し、22日には新たに人質6人を解放すると発表しました。
ただ、恒久的な停戦と残る人質の解放を目指す停戦の第2段階に向けた協議は本格的に始まっておらず、ハマスは「イスラエルが協議を先延ばしにしている」と非難し、ただちに協議を始めるよう求めています。
仲介国カタールの外務省報道官は18日の会見で「協議はまだ始まっていないができるだけ早く開始するよう働きかけている」と述べました。
イスラエル側は協議は近く始まるとしているものの、合意した停戦期間は残り1週間あまりとなっていて、恒久的な停戦が実現するかは予断を許さない状況が続いています。
ガザ住民 テント生活続く
先月19日に6週間の停戦期間に入ったパレスチナのガザ地区では、人道支援物資の搬入が増え、深刻な食料不足は改善する傾向にあります。
イスラエル当局の発表では、今月15日時点で停戦が始まってからおよそ1万7000台のトラックがガザ地区に入ったということです。
一方で、イスラム組織ハマスは住民のための仮設住宅や、建設用大型機械の搬入をイスラエル側が認めず、合意に違反しているとして、反発してきました。
仮設住宅の搬入などは近く始まる見通しですが、国連によりますとガザ地区では92%の住宅が戦闘による被害を受けていて、自宅を失った多くの住民はいまもテントなどでの生活を強いられています。
このうちアフメド・ハビルさん(33)は戦闘が始まったおととし10月以降、ガザ地区の中部や南部を転々としながら避難生活を続け、先月、停戦が実現したことでもともと住んでいた北部に戻りました。
しかし、住んでいた地域はイスラエル軍の激しい攻撃を受け、ハビルさんの自宅も跡形もなく破壊されていました。
このため、ハビルさんは自宅から離れた住宅街のはずれにテントを張って妻と2人の娘と避難生活を送っています。
ハビルさんはテントでの生活について「強風の日はテントが飛ばされそうで心配です。2人の娘を両手で抱えるほどです。厳しい寒さから子どもたちを守るためにも身を守る場所が必要です」と話していました。
また自宅やその周辺は、がれきの山となっていて「がれきを撤去し自宅に戻るためにブルドーザーが必要です。路上や人の土地で避難生活を続けることはできません」と訴えていました。
さらに、第1段階の6週間の停戦が来月1日に期限を迎えることについて「戦闘が再開されないかとても不安です。これだけつらい思いをしてきたのに、再び同じことに耐えられる気がしません」と述べて、第2段階となる恒久的な停戦の実現を訴えていました。
ガザ住民「復興のため恒久的な停戦を」
パレスチナのガザ地区では先月19日以降、搬入される人道支援物資が増えています。
北部のガザ市で18日にNHKが撮影した映像では、食料を配る場所に大勢の住民が押し寄せるようなことはなく、住民たちは落ち着いた様子で順番に小麦粉などを受け取っていました。
また露店には、卵や野菜など生鮮食品も並んでいて、このうち、ガザ市での卵の価格は停戦前の15分の1ほどに下がったということです。
ただ、住民からはガザ地区の復興には恒久的な停戦が欠かせないという声が相次ぎました。
30歳の男性は「がれきの撤去には少なくとも10年はかかるでしょう。復興のために恒久的な停戦が必要です」と話していました。
50歳の男性は「住民はテントや路上で生活しています。いますぐに復興が必要です」と訴えていました。