アゼルバイジャン軍ぐんの軍事ぐんじ行動こうどう アルメニア側がわは武装ぶそう解除かいじょか

一方いっぽう、現地げんちのアルメニア系けい住民じゅうみんは食料しょくりょう不足ふそくなどに直面ちょくめんしているほか、アルメニア国内こくないでも政府せいふに抗議こうぎするデモが起おきるなど、不安定ふあんていな情勢じょうせいが続つづいています。

アゼルバイジャン軍ぐんが隣国りんごくアルメニアとの係争けいそう地ち、ナゴルノカラバフで19日にちに開始かいしした軍事ぐんじ行動こうどうで、アルメニア側がわは武装ぶそう解除かいじょなどを受け入うけいれ、事実じじつ上じょう敗北はいぼくしました。

ロイター通信ろいた-つうしんによりますと、現地げんちではアルメニア系けいの軍ぐんが戦車せんしゃなどの兵器へいきの撤去てっきょを始はじめていて、アゼルバイジャンの大統領だいとうりょう補佐ほさ官かんは22日にち、アルメニア側がわで戦闘せんとうに関かかわった人々ひとびとに恩赦おんしゃを与あたえる可能かのう性せいも示しめし、円滑えんかつな武装ぶそう解除かいじょを進すすめるねらいがあるものとみられます。

一方いっぽう、アゼルバイジャン政府せいふと現地げんちのアルメニア側がわの代表だいひょう者しゃは、およそ12万まん人にんいるとされるアルメニア系けいの住民じゅうみんの帰属きぞくなどについて協議きょうぎを行おこなっていますが、合意ごういにはいたっていません。

現地げんちでは市民しみん生活せいかつの混乱こんらんも続つづいていて、双方そうほうの仲介ちゅうかい役やくのロシアの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいは、食料しょくりょうや医薬品いやくひんなどの支援しえん物資ぶっしを供給きょうきゅうしたとしていますが、人権じんけん監視かんし団体だんたいは住民じゅうみんの多おおくが食料しょくりょうや電気でんきなどの不足ふそくに直面ちょくめんしていると指摘してきしています。

また、アルメニアの首都しゅとエレバンでは、パシニャン首相しゅしょうの責任せきにんを問とい辞任じにんを要求ようきゅうする大だい規模きぼな抗議こうぎデモも起おきていて、不安定ふあんていな情勢じょうせいが続つづいています。

ナゴルノカラバフの住民じゅうみん「とても怖こわい思おもいをした」

ナゴルノカラバフの中心ちゅうしん都市とし、ステパナケルトに住すむアルメニア系けいで会社かいしゃ員いんのエレン・アバネシヤンさん（48）が21日にち、NHKの取材しゅざいに応おうじる形かたちで動画どうがを寄よせました。

アゼルバイジャン軍ぐんが軍事ぐんじ行動こうどうを開始かいしした19日にち、ステパナケルトの市内しないでは昼ひるごろから複数ふくすうの方向ほうこうで爆発ばくはつ音おんが聞きこえたため、近ちかくのシェルターに避難ひなんし、翌朝よくあさまで過すごしたということです。

アバネシヤンさんは「以前いぜんの紛争ふんそうを思い出おもいだし、とても怖こわい思おもいをした。シェルターには電気でんきもなく、家族かぞくと連絡れんらくが取とれなかった」と振り返ふりかえりました。

20日にちに双方そうほうが停戦ていせんを発表はっぴょうしてからも時折ときおり、銃声じゅうせいが聞きこえたということで、「市民しみんが多数たすう殺害さつがいされたという話はなしも出回でまわるなどしてパニックに襲おそわれ、どうすべきか誰だれにも分わからなかった」と話はなしていました。

停戦ていせんに応おうじたナゴルノカラバフ当局とうきょくの対応たいおうについて評価ひょうかを下くだすのは難むずかしいとした上うえで、「ロシアの平和へいわ維持いじ部隊ぶたいはいったい何なにのために来きていたのか」と非難ひなんし、「私わたしたちの問題もんだいに全ぜん世界せかいが目めをつぶっていた」と国際こくさい社会しゃかいの対応たいおうにも不満ふまんを示しめしました。

アバネシヤンさんはステパナケルトも近ちかくアゼルバイジャン側がわに掌握しょうあくされるとみて、ヨーロッパへの脱出だっしゅつを考かんがえているということですが、交通こうつうが封鎖ふうさされどこにも移動いどうできないと訴うったえていました。

両国りょうこくの外相がいしょう 国連こくれん総会そうかいで演説えんぜつ みずからの立場たちば主張しゅちょう

ニューヨークで開ひらかれている国連こくれん総会そうかいでは23日にち、両国りょうこくの外相がいしょうが演説えんぜつを行おこない、ナゴルノカラバフをめぐるみずからの立場たちばをそれぞれ主張しゅちょうしました。

この中なかで、アゼルバイジャンのバイラモフ外相がいしょうは「アルメニアが軍事ぐんじ的てき挑発ちょうはつに出でた」と非難ひなんし、対たいテロ作戦さくせんだとする軍事ぐんじ行動こうどうを正当せいとう化かした上うえで「テロ対策たいさくは所期しょきの目標もくひょうを達成たっせいした」と述のべ、アルメニア側がわが武装ぶそう解除かいじょを進すすめていると強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、このあと演説えんぜつしたアルメニアのミルゾヤン外相がいしょうは「200人にん以上いじょうの死者ししゃと400人にん以上いじょうのけが人けがにんが確認かくにんされている。軍事ぐんじ攻撃こうげきは地域ちいきの平和へいわと安定あんていを破壊はかいし人権じんけんを著いちじるしく侵害しんがいしており、それはアルメニア人じんにとって存亡そんぼうの危機ききを意味いみする」と強つよく非難ひなんしました。

そして「国連こくれんは世界中せかいじゅうの集団しゅうだん的てきな残虐ざんぎゃく行為こういの被害ひがい者しゃに寄り添よりそうべきだ」とした上うえで、国連こくれんに対にたいし、現地げんち調査ちょうさ団だんの派遣はけんなど速すみやかな対応たいおうを求もとめました。