SNSなどで行われる闇バイトの募集をめぐって、警察はこれまで捜査員であることを隠して闇バイトに応募する捜査を試みてきましたが、指示役から本人確認のためだとして運転免許証などの証明書の提示を求められることが多く、捜査が行き詰まって検挙につながるケースはほとんどありませんでした。
こうした中、警察庁は捜査員が架空の人物の運転免許証などを使って闇バイトに応募する「仮装身分捜査」の運用のガイドラインを策定し全国の警察に通達を出しました。
それによりますと、捜査の対象となる犯罪はSNSなどで実行者が募集されている強盗、詐欺、それに窃盗など、闇バイトによる犯罪に限定するとしています。
また捜査員が闇バイトを募集している「X」などの投稿から応募し、科学技術を応用してつくった架空の人物の顔写真と、実際の捜査員とは異なる氏名の運転免許証や学生証などを作成して、提示するということです。
そして、指示された場所に集まった闇バイトに、捜査員が職務質問をするなどして検挙や犯行の抑止につなげるということです。
実施にあたっては、各警察本部長の指揮で、事件ごとに「実施計画書」を作成し捜査を始めることにしていて、警察庁は犯人を検挙し、新たな犯罪を防ぐ手段にしていきたいとしています。
露木長官 “雇われたふり作戦”をより効果的に実施できる
「仮装身分捜査」の運用のガイドラインが策定されたことについて、警察庁の露木康浩長官は「仮装身分捜査の実施環境が整ったことで、闇バイトによる事件に対する『雇われたふり作戦』をより効果的に実施できることになった。実行犯の身柄を早期に確保し、被害の未然防止を図るとともに、指示役や首謀者の特定、実行役の募集そのものの抑止につながるものと期待している」と述べました。
そのうえで、「一連の事件の根本的な解決のためには、指示役や首謀者の検挙が何よりも重要だ。引き続き、突き上げ捜査に全力を傾注したい」と述べ、事件の全容解明に向け、全力を尽くす考えを示しました。