光が届かない太平洋の深海の底で、酸素を生成しているらしい金属岩が見つかりました――。昨年7月のその発表は、学会を揺るがしました。
金属を豊富に含むジャガイモほどの大きさの岩石塊は、主にクラリオン・クリッパートン海域の深さ4000メートルの海底で見つかりました。当初の研究では、この岩石塊が電荷を放出して電気分解によって海水を酸素と水素に分解していると推定。前代未聞のこの自然現象は、酸素が太陽光からの光合成によってのみ作られるという概念を覆すものでした。
この発見にかかわった英スコットランド海洋科学協会のアンドルー・スウィートマン教授は、「暗黒酸素」の生成について解明する3年がかりの研究プロジェクトに着手しました。研究チームは水深1万1000メートルまで届くセンサーを装備した特注の装置を使用。日本財団は17日、この研究プロジェクトに約4億4000万円を拠出すると発表しました。