大相撲初場所で12勝3敗で並んだ3人による優勝決定戦を制し2回目の優勝を果たした大関・豊昇龍について、日本相撲協会は横綱昇進に向けた臨時理事会の開催を決めました。
相撲協会は、今月29日の理事会に先立ち、27日横綱審議委員会に豊昇龍の横綱昇進を諮問しますが、横綱審議委員会の議論の行方が注目されます。
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初場所の優勝争いは14日目を終えて、2敗の金峰山、3敗の豊昇龍、王鵬との3人に絞られていました。
千秋楽の26日、先に取組があった金峰山が王鵬に敗れました。豊昇龍は結びの一番で琴櫻に勝ち、12勝3敗で並んだ3人による優勝決定戦が行われました。
優勝決定戦は2連勝した力士が優勝となる「ともえ戦」で行われ、くじ引きで最初に豊昇龍と金峰山が対戦し、豊昇龍が勝ちました。
豊昇龍はこのあと、王鵬にも「寄り倒し」で勝って優勝を決めました。豊昇龍の優勝はおととしの名古屋場所以来2回目で、大関に昇進してからは初めてです。
豊昇龍は先場所、千秋楽で大関・琴櫻との相星決戦に敗れ、優勝を逃しましたが、13勝2敗の好成績が認められ、今場所は横綱昇進「綱とり」に挑んでいました。
初日から磨いてきた鋭い出足の立ち合いを武器に4連勝しましたが、中日から連敗するなど9日までに平幕を相手に3敗を喫しました。
それでも、10日目からは勝負どころで力を見せて6連勝と気を吐きました。
横綱の照ノ富士が引退し三役以上の上位陣も星を伸ばせず、平幕が優勝争いをリードする波乱となった今場所は、最終盤に大関が役割を果たして逆転し、千秋楽の土俵を締めました。
豊昇龍とは
豊昇龍はモンゴル出身の25歳。
優勝25回の元横綱・朝青龍のおいです。
留学先の日本の高校で相撲を始め、卒業後に立浪部屋に入門して平成30年の初場所で初土俵を踏みました。
身長1メートル88センチ、体重148キロの体格を持ち、激しい闘争心と高い身体能力から生み出す多彩な技を持ち味に、初土俵から2年あまりで新入幕を果たし、3年前にに新三役となる小結昇進を果たしました。
三役となってからは9場所連続で勝ち越すなど安定した成績を残し、大関昇進に挑んだおととしの名古屋場所では12勝3敗の成績で優勝決定戦の末、初優勝し場所後には大関昇進も果たしました。
大関昇進以降は優勝はありませんが、去年の九州場所では鋭い出足の立ち合いを磨いた成果が少しずつ発揮され、千秋楽で相星決戦の末敗れたものの13勝2敗の好成績を残し、今場所は横綱昇進、「綱とり」に挑んでいました。
優勝争いは金峰山王鵬豊昇龍の「ともえ戦」に
大相撲初場所は2敗で単独トップだった平幕の金峰山が同じく平幕で3敗の王鵬に敗れました。
結びの一番で3敗の大関・豊昇龍が勝ったため、3人が12勝3敗で並びました。
3人による優勝決定戦が「ともえ戦」で行われます。
優勝決定戦が3人で行われるのは令和4年の九州場所以来です。
「ともえ戦」はくじ引きで対戦順を決め、2連勝した力士が優勝となります。
金峰山が敢闘賞 王鵬が技能賞 優勝力士 殊勲賞も
初場所の三賞選考委員会は26日、東京 両国の国技館で開かれました。
その結果、今場所、優勝を争っている2敗の金峰山が敢闘賞を、3敗の王鵬が技能賞をそれぞれ受賞することが決まりました。
このうち、金峰山は今場所、初日から9連勝とするなど、優勝争いで単独トップに立ち続けた活躍が評価され、2回目の敢闘賞を受賞することになりました。
また、王鵬は5日目に大関・大の里を破るなど序盤から白星を重ね、ここまで11勝3敗の好成績で優勝を争っていて、真っ向勝負の押しの技術が評価されて、初めての三賞となる技能賞を受賞することになりました。
2人のうち優勝した力士は殊勲賞も受賞することになります。
このほか、ここまで10勝4敗で千秋楽の26日直接対決が組まれている霧島と尊富士のうち勝った力士と、40歳でここまで9勝5敗と好成績の玉鷲が、26日、勝てば敢闘賞を受賞することになりました。
十両はウクライナ出身 獅司が優勝
大相撲初場所の十両はウクライナ出身で幕内経験者の獅司が初めての優勝を果たしました。
初場所の十両は14日目を終えて、雷部屋の獅司が2敗でトップ、3敗で幕内経験者の竜電など3人が追う展開となっていました。
千秋楽の26日、獅司は勝てば優勝が決まる一番で友風と対戦し、立ち合いから休まず前に攻めて「押し倒し」で勝ち、13勝2敗で初めての十両優勝を決めました。
獅子はウクライナ出身の28歳。
令和2年の春場所で初土俵を踏み、身長1メートル90センチを超える体格を生かした四つ相撲などで番付を上げ、去年の九州場所で新入幕を果たしました。
その九州場所では、5勝10敗で負け越して1場所で十両に陥落しました。
西の十両4枚目で臨んだ今場所は4日目から9連勝するなど力強い相撲で白星を重ねました。
獅司は「優勝できてよかった。とにかく前に前に出て自分の相撲で勝ちたいと思って臨んだ」と振り返りました。
その上で、今後の目標については「幕内で勝ち越せるように頑張っていきたい」と力強く語りました。