日本新聞: 鬼の嫁さん - Todaii: Easy Japanese

鬼おにの嫁よめさん

Feb 2, 2025 07:02

Furigana

昔むかし、ある所ところに百姓一家ひゃくしょういっかがいた。日照ひでりが続つづき、困こまっていた父親ちちおやが「雨あめを降ふらせてくれたら娘むすめを嫁よめにやるがなぁ」とつぶやくと、それを鬼おにが聞きいていた。

鬼おには翌日よくじつに雨あめを降ふらせ、百姓一家ひゃくしょういっかの末娘すえむすめのお福ふくを嫁よめにもらって意気揚いきようよう々と山やまへ帰かえっていった。お福ふくは母親ははおやから手渡てわたしされた菜さいの花はなの種たねを、道みちすがら一粒一粒落いちつぶいちつぶおとしていった。

鬼おにはなかなか親切しんせつだったが、お福ふくは家いえに帰かえりたくて心細こころぼそくて仕方しかたがなかった。春はるになり、お福ふくの落おとした種たねから菜さいの花はなが咲さき、実家じっかまでの道みちがわかるようになると、お福ふくはまるで飛とぶように家いえに帰かえっていった。必死ひっしに追おいかけた鬼おにがお福ふくの実家じっかにたどり着つくと、母親ははおやから「この豆まめから芽めが出でた頃ころに迎むかえに来こなさい」と、よく炒いった豆まめを渡わたされた。

鬼おには豆まめから芽めが出でることを楽たのしみにしていたが、一年いちねんたっても芽めが出でてこないので怒いかってお福ふくの実家じっかに怒鳴どなり込こんだ。すると父親ちちおやから「鬼おには外そとー」と言いいながら豆まめをぶつけられて、自分じぶんの豆まからまだ芽めが出でていなかった事ことを思おもい出だした。鬼おにはトボトボと山やまへ戻もどっていった。

節分せつぶんの時ときには、良よく炒いった豆まめを撒まかないと、鬼おにが拾ひろって芽めを出だすかもしれません。