国家安全保障や経済の面などで「異例かつ重大な脅威」がある場合、大統領が緊急事態を宣言すれば、輸入や輸出などに規制をかけることができる「IEEPA=国際緊急経済権限法」にもとづく措置だとしています。
トランプ大統領 SNSで「カナダ メキシコ 中国に関税実行」
また、トランプ大統領は1日、自身のSNSに投稿し、
▽カナダとメキシコからの輸入品に対する25%の関税と
▽中国への10%の追加関税について、実行に移したと明らかにしました。
トランプ大統領 カナダ メキシコ 中国に関税で署名 米メディア
アメリカのトランプ大統領が1日、
▽カナダとメキシコからの輸入品に対して25%の関税と
▽中国には10%の追加関税を課す、大統領令に署名したと欧米メディアが一斉に報じました。
《詳しく》関税措置には3つの狙い
トランプ大統領が掲げる関税措置には、
▽貿易赤字の解消
▽国の歳入を増やすこと
▽あらゆる問題の解決に向けた“交渉のカード”にする
という3つの狙いがあると言われています。
【貿易赤字の解消】
貿易赤字の解消は、トランプ大統領が1期目から強く訴えてきたテーマです。トランプ氏は、外国がアメリカとの貿易で多額の利益を得ている一方、アメリカは“損をしている”という考えが根強く、“貿易の不均衡を是正”し、貿易赤字を解消する手段として関税を位置づけています。
【アメリカの歳入を増やす】
関税を徴収することはアメリカの歳入を増やすことになります。アメリカの議会予算局は去年12月、トランプ氏が掲げる関税の引き上げがアメリカの財政や経済に与える影響についての試算を公表。仮にすべての国からの輸入品に一律で10%の関税を課す場合には歳入が増加し、財政赤字が2兆1000億ドル減少するとしています。
歳入の増加は、企業などへの「減税」とも密接に関わります。トランプ大統領はアメリカで製品を生産する企業の法人税率を21%から15%に引き下げる考えを示していますが、これに伴う税収のマイナスを関税による歳入の増加が補う形となります。
【“交渉のカード”に】
そして、トランプ大統領は関税をあらゆる問題の解決に向けた“交渉のカード”にする姿勢を鮮明にしています。
トランプ政権はメキシコやカナダにはアメリカに流入する薬物や犯罪を食い止める措置を、中国にはアメリカで社会問題になっている薬物「フェンタニル」の原料が中国で製造されないような対策を求めていて、各国が対応するまで措置を続けるとしています。
また、不法移民の強制送還をめぐっては南米のコロンビア政府が軍用機の着陸を拒否したことを受けて、コロンビアからの輸入品すべてに25%の関税を課すと表明しました。
その後、アメリカ政府はコロンビア側が軍用機での送還も含めて無条件で受け入れることに合意したとして、関税措置などの導入を当面、見送ると発表。関税が“交渉のカード”として早速使われた形になりました。
トランプ政権ではこうした3つの狙いのもとで今後も関税が広く使われるという見方が強く、トランプ氏の発言や投稿に世界が神経質になり、振り回される状況が続くことになりそうです。