アメリカのトランプ大統領は4日午後、日本時間の5日朝、ホワイトハウスでイスラエルのネタニヤフ首相と会談しました。
その後の共同記者会見で、トランプ大統領は、パレスチナのガザ地区について「アメリカはガザ地区を引き継ぎ、われわれが仕事をする。ガザ地区を所有する。雇用と住居を無制限に供給する経済開発を行う」と述べました。
そして、所有は長期間になるとの考えを示した上で「私は世界の人々がそこに住むことを思い描いている。国際的で信じられないような場所になる。ガザ地区の可能性は信じられないほど大きい」と述べて、パレスチナの人々を含めて世界中から人が集まる場所にすると説明しました。
また、記者団から治安維持のためにアメリカ軍をガザ地区に派遣する可能性があるのか問われたのに対しては「必要であれば派遣する」と答えました。
一方、ガザ地区の住民の今後についてトランプ大統領は「ガザ地区は何十年もの間、死と破壊の象徴であり、その近くに住む人々にとって最悪だった。ガザ地区に住む180万のパレスチナ人が最終的に住むことになるさまざまな場所を建設する。死と破壊、そして、不運を終わらせる」と述べて、別の場所への再定住を進めるべきだとしています。
再定住の場所については「複数の場所になるかもしれないし、1つの大きな場所になるかもしれない」と述べるとともに、必要な費用は、近隣諸国が負担することに期待を示しました。
トランプ大統領の今回の発言は、アメリカの中東地域への関与のあり方を大きく変える可能性があるとして、波紋を呼んでいます。
ネタニヤフ首相「注目に値する」支持する考え示す
これに対して、ネタニヤフ首相は共同記者会見で「注目に値すると考え、協議している。歴史を変える可能性があり、追求する価値があると思う」と述べ、支持する考えを示しました。
サウジアラビア“パレスチナの権利侵害に反対”
サウジアラビア外務省は5日、声明を発表し「パレスチナ国家の樹立に向けたサウジアラビアの立場が確固たる揺るぎないものであることを確認する」と強調しました。
そのうえで「サウジアラビアはこれまでもイスラエルの入植地の政策や、土地の併合、そしてパレスチナ人を住んでいる土地から追い出す試みなど、パレスチナの人々の権利が侵害されていることに反対してきた。公平で恒久的な平和はパレスチナの人々が国際的な決議に基づき権利を獲得しないかぎり実現しないという、サウジアラビアの揺るぎない立場はアメリカの前政権にも、現政権にも説明済みだ」などとしています。
トランプ大統領は先月下旬にもパレスチナと境界を接するヨルダンとエジプトに対し、ガザ地区の住民の受け入れを求める発言をしていて、両国を含むアラブ諸国やパレスチナ暫定自治政府などが強く反発していました。
林官房長官“日本は人道支援など積極的な役割果たす”
林官房長官は午前の記者会見で「トランプ大統領の発言は承知している。日本としては、ガザ地区で人道危機が継続していることを深刻に懸念しており、停戦合意の着実な履行を通じた人道状況の改善と事態の沈静化に向けて、当事者に対する働きかけを行っていく。関係国、機関とも連携しながら喫緊の人道支援に加え、中長期的な復旧・復興支援でも積極的な役割を果たす決意だ」と述べました。