通信つうしん機器きき爆発ばくはつ 20人にん死亡しぼう “民生みんせい品ひんを兵器へいきにしないルールに”国連こくれん

レバノンでは18日にち、首都しゅとベイルート近郊きんこうなど各地かくちでトランシーバーなどの通信つうしん機器ききが爆発ばくはつし、保健ほけん省しょうによりますと20人にんが死亡しぼうし、450人にん以上いじょうがけがをしました。

レバノンでは17日にちにも各地かくちで「ポケットベル」タイプの通信つうしん機器ききが爆発ばくはつし、12人にんが死亡しぼう、2700人にん以上いじょうがけがをしました。

18日にちに爆発ばくはつしたトランシーバーについて、ロイター通信ろいた-つうしんなどは日本にっぽん企業きぎょうが製造せいぞうした可能かのう性せいを伝つたえています。

このトランシーバーの製造元せいぞうもとと伝つたえられた日本にっぽん企業きぎょうは、19日にち午前ごぜん、NHKの取材しゅざいに対にたいし、「使つかわれたと報ほうじられている機器ききを含ふくめて、現在げんざい、情報じょうほう収集しゅうしゅうに努つとめている。事実じじつ確認かくにんができたものから会社かいしゃのホームページで発表はっぴょうする」と話はなしています。

レバノンで通信つうしん機器ききを使つかった爆発ばくはつが相次あいついでいることについて、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうは18日にちに「民生みんせい品ひんを兵器へいきにしないことをルールにすべきだ。各国かっこく政府せいふは、それを実施じっしすることができるはずだ」と述のべて強つよい懸念けねんを示しめしました。

一方いっぽう、イスラエル政府せいふは、レバノンでの一連いちれんの爆発ばくはつについて今いまのところ公式こうしきな反応はんのうを示しめしていませんが、18日にちにガラント国防こくぼう相しょうは、軍事ぐんじ作戦さくせんは新あらたな局面きょくめんに入はいったとして、レバノンとの国境こっきょう地帯ちたいで部隊ぶたいを増強ぞうきょうする考かんがえを明あきらかにしました。

ヒズボラ側がわは相次あいつぐ爆発ばくはつを受うけて、イスラエルへの報復ほうふくを示唆しさしていて、現地げんちでは一段いちだんと緊張きんちょうが高たかまっています。

米べい国務こくむ長官ちょうかん「誰だれにとっても得策とくさくではない」

アメリカのブリンケン国務こくむ長官ちょうかんは訪問ほうもん先さきのエジプトで18日にちに記者きしゃ会見かいけんし、レバノン各地かくちでの爆発ばくはつについて「アメリカは知しらなかったし、関与かんよもしていない。依然いぜんとして情報じょうほうを集あつめているところだ」と述のべました。

その上うえで「ガザ地区ちくでの戦闘せんとうを激化げきかさせ、戦闘せんとうを拡大かくだいさせるような措置そちを避さけることが重要じゅうようだとわれわれは明確めいかくにしている。誰だれにとっても得策とくさくではない」と述のべ、地域ちいきの緊張きんちょうを高たかめる行動こうどうは避さけるべきだと強調きょうちょうしました。

一方いっぽう、イスラエルとイスラム組織そしきハマスの間まで続つづく停戦ていせんと人質ひとじちの解放かいほうに向むけた協議きょうぎについて、ブリンケン長官ちょうかんは「この1か月かげつ半はんの間まで非常ひじょうに大おおきく進展しんてんした。取り決とりきめは18の項目こうもくから成なるが、そのうち15の項目こうもくについては合意ごういされている」と成果せいかを強調きょうちょうしました。

そして「双方そうほうが合意ごういを成立せいりつさせるために政治せいじ的てきな意思いしを示しめすことが重要じゅうようなのだ」と述のべ、双方そうほうに対にたいして提案ていあんに応おうじるよう強つよく求もとめました。

米べい国防こくぼう長官ちょうかん「外交がいこう的てきな解決かいけつを」

アメリカ国防こくぼう総省そうしょうはオースティン国防こくぼう長官ちょうかんとイスラエルのガラント国防こくぼう相しょうが18日にち、電話でんわで会談かいだんしたと発表はっぴょうしました。

会談かいだんでは中東ちゅうとう情勢じょうせいについて意見いけんが交かわされたとした上うえで、オースティン長官ちょうかんは、レバノンのヒズボラなどの脅威きょういに直面ちょくめんするイスラエルへの揺ゆるぎない支援しえんを表明ひょうめいしたということです。

さらに、オースティン長官ちょうかんは、地域ちいきの緊張きんちょう緩和かんわに向むけて取り組とりくむと強調きょうちょうしたほか、イスラエルとレバノンの国境こっきょう地帯ちたいでの対立たいりつを外交がいこう的てきに解決かいけつすることの重要じゅうよう性せいを確認かくにんしたということです。

イラン大統領だいとうりょう府ふが声明せいめい

ヒズボラの後うしろ盾たてで、今回こんかいの爆発ばくはつはイスラエルによる犯行はんこうだとしているイランの大統領だいとうりょう府ふは18日にち、声明せいめいを出だしました。

それによりますと、ペゼシュキアン大統領だいとうりょうは犯行はんこうに通信つうしん機器ききが使つかわれたことについて「人類じんるいを快適かいてきにするために作つくられたものが、自分じぶんたちと意見いけんの異ことなる者ものに対にたいするテロの道具どうぐとして使つかわれたことは、残虐ざんぎゃくさを証明しょうめいしている」などと述のべ、一連いちれんの爆発ばくはつを改あらためて非難ひなんしたということです。

その上うえで、アメリカがパレスチナのガザ地区ちくでの停戦ていせんに向むけた協議きょうぎをエジプトなどと進すすめる一方いっぽう、イスラエルへの軍事ぐんじ支援しえんを続つづけていることについて「停戦ていせんを追求ついきゅうしていると主張しゅちょうしながら、実際じっさいにはイスラエルによる殺人さつじんを完全かんぜんに支援しえんしている」として非難ひなんしました。

イラン 国連こくれんに非難ひなんを求もとめる

一連いちれんの爆発ばくはつを受うけて、イランのイラバニ国連こくれん大使たいしは18日にち、国連こくれんの安全あんぜん保障ほしょう理事りじ会かいに送おくった書簡しょかんを発表はっぴょうしました。

この中なかで国連こくれん大使たいしは「イスラエルのあやまった行為こういは地域ちいきの緊張きんちょうを高たかめ、平和へいわと安全あんぜんを脅おびやかすことを狙ねらったものだ。こうしたテロ行為こういは国際こくさい法ほうの基本きほん原則げんそくに対にたいする重大じゅうだいな違反いはんだ」と強つよく非難ひなんしました。

その上うえで、国連こくれんのグテーレス事務じむ総長そうちょうと安保理あんぽりに対にたいして、イスラエルがレバノンの主権しゅけんを侵害しんがいして市民しみんを攻撃こうげきしたことに加くわえ、レバノンに駐在ちゅうざいするイラン大使たいしにもけがを負おわせたことを明確めいかくに非難ひなんするよう求もとめました。

治療ちりょうにあたった医師いし「けがの多おおくが特とくに腕うでや顔かおに集中しゅうちゅう」

レバノンで17日にち、「ポケットベル」タイプの通信つうしん機器ききが爆発ばくはつしたあと、南部なんぶナバティエの病院びょういんでけが人けがにんの治療ちりょうにあたったラフィク・サルム医師いしがNHKの取材しゅざいに応おうじました。

この中なかで、サルム医師いしは「同おなじ時間じかん帯たいに10人にん程度ていどのけが人けがにんが一気いっきに搬送はんそうされてきた。当初とうしょけがの原因げんいんは分わからなかったが、患者かんじゃたちが教おしえてくれた。けがの多おおくが上半身じょうはんしん、特とくに腕うでや顔かおに集中しゅうちゅうしていた。けが人けがにんの中なかには、子こどもや女性じょせいもいて、攻撃こうげきは無む差別さべつに行おこなわれた」と話はなしていました。

また、爆発ばくはつした通信つうしん機器ききを持もっていた人ひとの近ちかくにいた男性だんせいは「午後ごご3時じくらいに仲間なかまたちと昼食ちゅうしょくをとっていると、隣となりにいた友人ゆうじんがいきなり叫さけび始はじめた。最初さいしょは空爆くうばくかと思おもったが、近ちかくでポケベルが爆発ばくはつしていた。彼かれは右手みぎてと右足みぎあしを負傷ふしょうした」と話はなしていました。