日本新聞: 薬が効きにくい耐性菌の働き止める化学物質を発見名古屋大

薬くすりが効ききにくい耐性たいせい菌きんの働はたらき止とめる化学かがく物質ぶっしつを発見はっけん名古屋なごや大だい

Jun 27, 2020 05:06

Furigana

細菌さいきんによる感染かんせん症しょうを治療ちりょうする際さいの、最後さいごの切り札きりふだとされる抗菌こうきん薬やくさえ効ききにくい耐性たいせい菌きんの働はたらきを止とめる化学かがく物質ぶっしつを、名古屋なごや大学だいがくの研究けんきゅうグループが発見はっけんしました。耐性たいせい菌きんによる肺炎はいえんなどで死亡しぼうするケースは世界中せかいじゅうで増ふえていて、研究けんきゅうグループは、新あらたな抗菌こうきん薬やくの開発かいはつにつなげたいとしています。抗菌こうきん薬やくがほとんど効きかない耐性たいせい菌きんは世界中せかいじゅうに広ひろがり、イギリスの研究けんきゅう機関きかんの調査ちょうさでは、2013年ねんの段階だんかいで、耐性たいせい菌きんによる肺炎はいえんなどで世界せかい全体ぜんたいで70万まん人にんが死亡しぼうしていて、対策たいさくを取とらなければ、2050年ねんには年間ねんかん1000万まん人にんが死亡しぼうすると推定すいていされています。

名古屋なごや大学だいがくの荒川あらかわ宜むべ親おや名誉めいよ教授きょうじゅの研究けんきゅうグループは、耐性たいせい菌きんが抗菌こうきん薬やくの「カルバペネム」を効きかなくする際さいに発現はつげんしている、特殊とくしゅなたんぱく質たんぱくしつの働はたらきを止とめる化学かがく物質ぶっしつを見みつけたということです。

「カルバペネム」と共とともに、この化学かがく物質ぶっしつを作用さようさせると耐性たいせい菌きんの増殖ぞうしょくが止とまり、マウスを使つかった実験じっけんでも効果こうかが確認かくにんできたとしています。

「カルバペネム」は、医療いりょう現場げんばでほかの抗菌こうきん薬やくが効きかない際さいに、最後さいごの切り札きりふだとして使つかわれてきましたが、近年きんねんはこの抗菌こうきん薬やくさえ効きかない耐性たいせい菌きんが広ひろがり、世界せかい各国かっこくで深刻しんこくな問題もんだいになっています。

さらに抗菌こうきん薬やくの開発かいはつは、有効ゆうこうな化学かがく物質ぶっしつが見みつからないことなどから20年ねん以上いじょう滞とどこおっているということで、荒川あらかわ教授きょうじゅは「患者かんじゃの命いのちを救すくうため、化学かがく物質ぶっしつをさらに改良かいりょうして、新あらたな抗菌こうきん薬やくの開発かいはつにつなげたい」と話はなしています。