「徴用ちょうよう」めぐる問題もんだい 日本にっぽん製鉄せいてつが差し押さしおさえに「即時そくじ抗告こうこく」へ

これについて日本にっぽん製鉄せいてつの宮本みやもと勝弘かつひろ副ふく社長しゃちょうは4日にち、電話でんわによる決算けっさん会見かいけんで「徴用ちょうようをめぐる問題もんだいは、国家こっか間かんの正式せいしきな合意ごういである日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていにより、『完全かんぜんかつ最終さいしゅう的てきに解決かいけつされた』ものと理解りかいしている」と述のべました。

そのうえで「差し押さしおさえ命令めいれいに対にたいしては、即時そくじ抗告こうこくを行おこなう予定よていだ」と述のべ、手続てつづきを差し止さしとめるための即時そくじ抗告こうこくを行おこなう方針ほうしんを明あきらかにしました。

差し押さしおさえの対象たいしょうとなるのは、日本にっぽん製鉄せいてつが持もつ韓国かんこくの鉄鋼てっこうメーカーとの合弁ごうべん会社かいしゃの株式かぶしきですが、日本にっぽん製鉄せいてつによりますと、今月こんげつ11日にちまでに即時そくじ抗告こうこくをしない場合ばあいは、差し押さしおさえが確定かくていする見通みとおしで、会社かいしゃ側がわはすみやかに手続てつづきを進すすめるものと見みられます。

韓国かんこく外務省がいむしょう 日本にっぽん政府せいふに対応たいおう求もとめる

「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいで、韓国かんこくの裁判所さいばんしょが日本にっぽん企業きぎょうの資産しさん売却ばいきゃくに向むけた手続てつづきに入はいる見通みとおしとなったことについて、韓国かんこく外務省がいむしょうの報道ほうどう官かんは４よん日にち午後ごごの定例ていれい会見かいけんで「司法しほう手続てつづきの一部いちぶであり、行政ぎょうせい府ふが言及げんきゅうする事案じあんではない」としたうえで、「韓国かんこく政府せいふは外交がいこうを通つうじた問題もんだい解決かいけつに向むけて努力どりょくを続つづけていく。日本にっぽん政府せいふがより積極せっきょく的てきに誠意せいいを持もって応おうじることを期待きたいする」と述のべ、日本にっぽん政府せいふに対応たいおうを求もとめました。

一方いっぽう、記者きしゃ団だんが「現金げんきん化かが行おこなわれた場合ばあいの日本にっぽん政府せいふの対抗たいこう措置そちが報道ほうどうされているが、韓国かんこく政府せいふはどう対応たいおうするのか」と質問しつもんすると、報道ほうどう官かんは「関連かんれん事項じこうを鋭意えいい注視ちゅうしし、対応たいおうを検討けんとうしている」と述のべました。

日本にっぽんの専門せんもん家か「両国りょうこくの基本きほん的てき枠組わくぐみ否定ひていに直結ちょっけつ」

韓国かんこく政治せいじに詳くわしい静岡しずおか県立けんりつ大学だいがくの奥おく薗その秀樹ひでき教授きょうじゅは、「日本にっぽん企業きぎょうの資産しさんが現金げんきん化かされれば、日にち韓かん関係かんけいを破綻はたんに追おいやる」と指摘してきしました。

その理由りゆうとして奥おく薗その教授きょうじゅは「現金げんきん化かされると、日にち韓かん請求せいきゅう権けん協定きょうていに基もとづいた両国りょうこくの基本きほん的てきな枠組わくぐみが否定ひていされることに直結ちょっけつする。『慰安いあん婦ふ問題もんだい』など特定とくていの問題もんだいの認識にんしきの違ちがいに基もとづく摩擦まさつとは次元じげんが違ちがう」と述のべ、日にち韓かん関係かんけいに与あたえる影響えいきょうは極きわめて大おおきいと分析ぶんせきしました。

また、韓国かんこく政府せいふの対応たいおうについて、奥おく薗その教授きょうじゅは「破綻はたんに向むけて動き出うごきだした歯車はぐるまを止とめなければならないという切実せつじつさや深刻しんこくさが感かんじられない」と述のべ、その背景はいけいについては、「司法しほうが判断はんだんを下くだした以上いじょう、政府せいふは何なにもできないという硬直こうちょくした考え方かんがえかたに陥おちいってしまっている」と指摘してきしました。

そして、問題もんだい解決かいけつに向むけた両国りょうこく政府せいふの交渉こうしょうについては「この問題もんだいの特効薬とっこうやくはない。現金げんきん化かの手続てつづきにあと数すうか月かげつかかると言いわれる中なか、解決かいけつの糸口いとぐちを何なんとかつかむ努力どりょくをして、双方そうほうが誠実せいじつに交渉こうしょうに臨のぞまないと、本当ほんとうに破綻はたんしかねない」と述のべ、危機きき感かんを示しめしました。

さらに、今後こんごの日にち韓かん関係かんけいについては、韓国かんこくでは今月こんげつ15日にち、日本にっぽんの植民しょくみん地ち支配しはいの解放かいほうから75年ねんを迎むかえるほか、日にち韓かんの軍事ぐんじ情報じょうほう包括ほうかつ保護ほご協定きょうてい＝ＧＳＯＭＩＡをめぐる対立たいりつが続つづいていることを指摘してきし「国民こくみん感情かんじょうを刺激しげきする言動げんどうが繰り返くりかえされれば、相手あいてへの強硬きょうこうな意見いけんが出だされ、政府せいふが今後こんごの交渉こうしょうで動うごける幅はばが狭せばまってしまう。両りょう政府せいふは、無用むように国民こくみん感情かんじょうを刺激しげきする言動げんどうを避さけてほしい」と述のべ、慎重しんちょうに対応たいおうすべきだと指摘してきしました。