終戦しゅうせんから75年ねん 全国ぜんこく戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しき 約やく310万まん人にんの戦没せんぼつ者しゃを慰霊いれい

参列さんれつ者しゃの数かずはおよそ550人にんと去年きょねんの1割わり以下いかとなり、過去かこ最もっとも少すくなくなりました。

式典しきてんでは、天皇てんのう陛下へいかが、皇后こうごうさまとともに菊きくの花はなで飾かざられた式しき壇だんに着つかれたあと、国歌こっかが演奏えんそうされました。

ことしは、感染かんせん防止ぼうしのため、斉唱せいしょうはせず、演奏えんそうのみとなりました。

そして、安倍あべ総理そうり大臣だいじんが「戦争せんそうの惨禍さんかを、2度どと繰り返くりかえさない。この決然けつぜんたる誓ちかいをこれからも貫つらぬいてまいります。我が国わがくには、積極せっきょく的てき平和へいわ主義しゅぎの旗はたの下した、国際こくさい社会しゃかいと手てを携たずさえながら、世界せかいが直面ちょくめんしている様々さまざまな課題かだいの解決かいけつに、これまで以上いじょうに役割やくわりを果はたす決意けついです」と式辞しきじを述のべ、参列さんれつ者しゃ全員ぜんいんで1分間ふんかんの黙もくとうをささげました。

続つづいて天皇てんのう陛下へいかが「戦後せんごの長ながきにわたる平和へいわな歳月さいげつに思おもいを致いたしつつ、過去かこを顧かえりみ、深ふかい反省はんせいの上うえに立たって、再ふたたび戦争せんそうの惨禍さんかが繰り返くりかえされぬことを切せつに願ねがい、戦陣せんじんに散ちり戦禍せんかに倒たおれた人々ひとびとに対にたいし、全ぜん国民こくみんと共とともに、心こころから追悼ついとうの意いを表あらわし、世界せかいの平和へいわと我が国わがくにの一層いっそうの発展はってんを祈いのります」とおことばを述のべられました。

このあと遺族いぞくを代表だいひょうして昭和しょうわ20年ねん6月つきにフィリピン・ルソン島とうで父親ちちおやを亡なくした静岡しずおか市しの杉山すぎやま英夫ひでおさん（82）が「戦争せんそうのない平和へいわな時代じだいとして75年ねん、2度どと我々われわれの様ような戦没せんぼつ者しゃ遺族いぞくを出ださないために、大戦たいせんを知しる遺族いぞくとして、罪つみのない一般いっぱん市民しみんまで巻き込まきこまれる戦争せんそうの悲惨ひさんさと恐怖きょうふ、平和へいわの尊とうとさありがたさを万世ばんせいにわたり語かたり続つづけ継承けいしょうしてまいらなければならないと思おもいます」と追悼ついとうの辞じを述のべました。

参列さんれつ者しゃは式しき壇だんに菊きくの花はなを手向たむけて、戦争せんそうで亡なくなったおよそ310万まん人にんの霊れいを慰なぐさめました。

会場かいじょうを訪おとずれることができない遺族いぞくなどが多おおかったことから、ことしの式典しきてんの様子ようすはインターネット上じょうの「YouTube」でも同時どうじ配信はいしんされました。

終戦しゅうせんから75年ねんを迎むかえて参列さんれつ者しゃの高齢こうれい化かも進すすみ、およそ8割わりが70歳さい以上いじょうとなっています。

このうち最年長さいねんちょうの参列さんれつ者しゃで北海道ほっかいどうに住すむ93歳さいの長屋ながや昭次しょうじさんは兄あにの保ほさん（当時とうじ26）が昭和しょうわ20年ねん、戦地せんちだった中国ちゅうごくで肺結核はいけっかくのため亡なくなりました。

長屋ながやさんは、「コロナの関係かんけいで参加さんかすることにちゅうちょはありましたが、この年齢ねんれいなのでこれが最後さいごだと思おもってしっかり慰霊いれいしたいと思おもっています。75年ねんになりましたが、いま思おもえば、戦争せんそうは絶対ぜったいやってはいけないと思おもいます。いま政治せいじに携たずさわる人ひとたちは、私わたしたちの考かんがえとは異質いしつの考かんがえを持もっているような気きがします。間違まちがった方向ほうこうにいかないように常つねに念願ねんがんしています」と話はなしていました。

また、戦争せんそうの記憶きおくを受け継うけついでいこうと、最年少さいねんしょうの遺族いぞくとして参列さんれつした群馬ぐんま県けんの中学ちゅうがく1年生ねんせい、井田いだ雪ゆき花はなさん（12）は、曽そ祖父そふの井田いだ正雄まさおさんが昭和しょうわ20年ねん5月つきにソロモン諸島しょとうで戦死せんししています。

井田いださんは、「曽そ祖父そふが平和へいわな世界せかいを望のぞんでいると感かんじたので参加さんかしようと思おもいました。私わたしは戦争せんそうを知しらない世代せだいですが戦争せんそうについてもっと勉強べんきょうし、争あらそいのない平和へいわな世界せかいの願ねがいを次つぎの世代せだいに引き継ひきついでいけるように努つとめていきたいです」と話はなしていました。

上皇じょうこうご夫妻ふさい 愛子あいこさま 正午しょうごの時報じほうとともに黙もくとう

宮内庁くないちょうによりますと、上皇じょうこうご夫妻ふさいは、東京とうきょう 港みなと区くにある仮住かりずまい先さきの仙洞せんとう仮かり御所ごしょで、テレビの中継ちゅうけい番組ばんぐみを通をつうじて戦没せんぼつ者しゃ追悼ついとう式しきをご覧ごらんになりました。

そして、正午しょうごの時報じほうとともに黙もくとうをささげられました。

また、天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかの長女ちょうじょの愛子あいこさまも、お住すまいの赤坂あかさか御所ごしょで、正午しょうごの時報じほうに合あわせて黙もくとうをささげられたということです。