異例いれいの呼よびかけ 台風たいふう10号ごうに “特別とくべつ警報けいほう級きゅう” 早はやめの行動こうどうを

台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうとは

台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうは、暴風ぼうふう、高潮こうちょう、波浪はろうの3つの現象げんしょうが対象たいしょうです。

数すう十じゅう年ねんに1度どしかないような勢力せいりょくで接近せっきんすると予測よそくされる際さいに、中心ちゅうしん気圧きあつや最大さいだい風速ふうそくの予想よそうをもとに、台風たいふうが接近せっきんする前まえに発表はっぴょうされます。

発表はっぴょう基準きじゅんは、中心ちゅうしん気圧きあつが930ヘクトパスカル以下いか、または、最大さいだい風速ふうそくが50メートル以上いじょうに達たっすると予想よそうされる場合ばあいです。

沖縄おきなわや奄美あまみ、それに小笠原おがさわら諸島しょとうでは、中心ちゅうしん気圧きあつが910ヘクトパスカル以下いか、または、最大さいだい風速ふうそくが60メートル以上いじょうとなっています。

台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうは6年ねん前まえと4年ねん前まえに、いずれも沖縄おきなわ県けんで発表はっぴょうされました。

日曜日にちようびには “特別とくべつ警報けいほう級きゅう”に

2日にち午前ごぜんの段階だんかいの予想よそうで、台風たいふう10号ごうは6日にちの日曜日にちようびには中心ちゅうしん気圧きあつが930ヘクトパスカル、中心ちゅうしん付近ふきんの最大さいだい風速ふうそくが50メートル、最大さいだい瞬間しゅんかん風速ふうそくは70メートルとなり、台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうの基準きじゅんに合致がっちしています。

気象庁きしょうちょうは「これだけの勢力せいりょくの台風たいふうが西日本にしにほんや東日本ひがしにっぽんに接近せっきんすることは、そうあることではない」として『特別とくべつ警報けいほう級きゅう』という強つよい表現ひょうげんで呼よびかけに踏み切ふみきりました。

台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうは “事前じぜんに出でる”

ことしも、すでに発表はっぴょうされている「大雨おおあめの特別とくべつ警報けいほう」は、大雨おおあめが降ふり、状況じょうきょうが極きわめて悪化あっかしてから発表はっぴょうされます。

これに対にたいし、台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうは、台風たいふうの中心ちゅうしんが対象たいしょう地域ちいきに最もっとも近ちかづく、およそ12時間じかん前まえに発表はっぴょうされます。

災害さいがいの危険きけん性せいが高たかい場所ばしょにいる場合ばあいは、身みの安全あんぜんを守まもる最後さいごのチャンスととらえて、いち早いちはやい避難ひなん行動こうどうをとる必要ひつようがあります。

暴風ぼうふうによって建物たてものが倒壊とうかいするおそれもあるほか、大雨おおあめや高潮こうちょうで建物たてものが浸水しんすいする被害ひがいが出でるおそれもあります。

崖がけや川かわ、海岸かいがんの近ちかくから離はなれ、頑丈がんじょうな建物たてものに避難ひなんすることも重要じゅうようです。

さらに、自転車じてんしゃや植木鉢うえきばち、傘かさなど、身近みぢかなものが凶器きょうきとなるおそれもあり、家いえの中なかなど、飛とばされない場所ばしょにしまってください。

気象庁きしょうちょう予報よほう課かの杉本すぎもと悟史さとし主任しゅにん予報よほう官かんは「暴風ぼうふうが吹き出ふきだしてからでは、逃にげることができなくなってしまう。台風たいふうの特別とくべつ警報けいほうが出でたら、風かぜが強つよくなる前まえに避難ひなん行動こうどうをとれるかどうかが重要じゅうようだ。これだけの勢力せいりょくになると降水こうすい量りょうも多おおくなることが見込みこまれ、雨あめに関にかんしても十分じゅうぶんな警戒けいかいを持もってほしい」と話はなしています。

そのうえで「これまでと同おなじ台風たいふうと思おもっていると、想像そうぞう以上いじょうの被害ひがいにあうおそれがある。早はやめの行動こうどうをお願おねがいしたい」と呼よびかけています。

上陸じょうりく時じ中心ちゅうしん気圧きあつが低ひくかった台風たいふうは

気象庁きしょうちょうによりますと、統計とうけいを取とり始はじめた1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）以降いこう、日本にっぽんに上陸じょうりくした際さいやその直前ちょくぜんの中心ちゅうしん気圧きあつが最もっとも低ひくかった台風たいふうは、1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）9月つきの台風たいふう18号ごう「第だい2室しつ戸と台風たいふう」で、925ヘクトパスカルでした。

このとき、高知こうち県けんの室戸岬むろとみさきでは最大さいだい瞬間しゅんかん風速ふうそく84.5メートル以上いじょうを観測かんそくしたほか、大阪おおさか市しで50.6メートルの最大さいだい瞬間しゅんかん風速ふうそくを観測かんそくし、暴風ぼうふうや高潮こうちょうによって甚大じんだいな被害ひがいが出でました。

2番目ばんめは、1959年ねん（昭和しょうわ34年ねん）9月つきの台風たいふう15号ごう「伊勢湾いせわん台風たいふう」で929ヘクトパスカルです。

和歌山わかやま県けんの潮岬しおのみさきに上陸じょうりくし、伊勢いせ湾わんでは大だい規模きぼな高潮こうちょうが発生はっせいし、死者ししゃ・行方ゆくえ不明ふめい者しゃは3300人にん以上いじょうに上のぼりました。さらに、九州きゅうしゅうから北海道ほっかいどうにかけての広ひろい範囲はんいで30メートル以上いじょうの最大さいだい瞬間しゅんかん風速ふうそくを観測かんそくし、全国ぜんこくの死者ししゃ4697人にん、行方ゆくえ不明ふめい者しゃ401人にんと、台風たいふうによる被害ひがいとしては最悪さいあくとなっています。

3番目ばんめは、1993年ねん（平成へいせい5年ねん）9月つきの台風たいふう13号ごうで930ヘクトパスカルです。

鹿児島かごしま県けんの薩摩さつま半島はんとう南部なんぶに上陸じょうりくし、現在げんざいの鹿児島かごしま県けん南みなみさつま市しの金峰きんぽう町まちでは高齢こうれい者しゃや中学ちゅうがく生せいなどが避難ひなんしていた住宅じゅうたくに土石流どせきりゅうが流れ込ながれこみ、避難ひなんしていた20人にん全員ぜんいんが犠牲ぎせいになるなど、鹿児島かごしま県内けんないに大おおきな被害ひがいをもたらしました。

4番目ばんめは、1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）10月つきの台風たいふう15号ごうで935ヘクトパスカル。

この台風たいふうも鹿児島かごしま県けんに上陸じょうりくしました。

5番目ばんめは、いずれも940ヘクトパスカルで、

▽1991年ねん（平成へいせい3年ねん）9月つきの台風たいふう19号ごう、

▽1971年ねん（昭和しょうわ46年ねん）8月つきの台風たいふう23号ごう、

▽1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）9月つきの台風たいふう23号ごう、

▽1964年ねん（昭和しょうわ39年ねん）9月つきの台風たいふう20号ごう、

▽1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）9月つきの台風たいふう22号ごう、

▽1954年ねん（昭和しょうわ29年ねん）8月つきの台風たいふう5号ごうとなっています。

統計とうけい開始かいし前まえの参考さんこう記録きろくとして、

1934年ねん9月つきの「室戸むろと台風たいふう」が、室戸岬むろとみさきで911ヘクトパスカルを観測かんそくしたほか、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）9月つきの「枕崎まくらざき台風たいふう」が鹿児島かごしま県けんの枕崎まくらざき市しで916ヘクトパスカルを観測かんそくしています。