冒頭、黒田総裁は金融政策は「現状維持とすることを全員一致で決定した」と述べました。
18日公表した最新の物価の見通しでは、食品などの値上げが相次いでいる2022年度の物価上昇率はプラス3.0%。そして新年度・2023年度はプラス1.6%としました。 今の物価高について黒田総裁は「来年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想している」と述べました。
冒頭発言が終わり、このあと記者からの質問が始まりました。
「それにはなお時間がかかるとみている。物価安定の目標を持続的、安定的に達成できる状況が見通せるようになったとは考えていない」と述べました。
これについて黒田総裁は「金融政策については常に効果と副作用を十分に検証しつつ、適切な金融政策運営を行う必要があることはそのとおりだが、現状国債の買い入れが増えたこと自体は特に問題があるとは考えておりません」と述べました。
黒田総裁は「前回の決定会合以降、一部の金融機関で国債金利の動向を踏まえて引き上げる動きが見られる。この間、大半を占める変動金利型については適用金利に変化は生じていない。住宅ローン金利の動向や影響は今後も丹念に点検していきたいと思っている」と述べました。
操作対象を2年ものや5年ものなどのより短い国債金利に切り替える考えがあるのか問われました。 黒田総裁は「短期の政策金利と最も代表的な指標である10年債の金利の2つをターゲットにして、イールドカーブ全体を適切な形にすることが最も適切ではないかと思っている。もちろん一切いかなる変更も検討しないってことではないが、今はそういった考え方にもとづいて政策を行っている」と述べました。
黒田総裁は4月でいまの任期が満了となります。次回3月9日、10日の金融政策決定会合が、任期中最後の会合となります。 このあと次の日銀のかじとりを担う総裁人事も本格化します。 2013年の就任時に目標にかかげた2%の物価目標。達成できないまま時間が過ぎましたが、任期の終盤になって想定していなかった歴史的な円安とエネルギー価格高騰で、あらゆるモノが値上がりし消費者物価は4%にせまる水準に上昇しています。 金利を低く抑え続けることで市場にゆがみも見え始め、先月、政策修正に踏み切りました。 黒田総裁は18日も物価高を上回る賃金上昇が確認できるまでは金融緩和を続けることを強調しましたが、総裁の任期という大きな節目も含め、日銀の金融政策は転換点にさしかかっています。
“景気は持ち直し”
物価 “2023年度半ばにプラス幅縮小”
“必要な時点まで金融緩和続ける”
“物価目標達成できる状況 まだ”
“変動幅 拡大必要ない”
“市場機能評価 なお時間要する”
“緩和策(YCC)は持続可能”
“国債買い入れ増加は問題ない”
“物価目標 達成できておらず残念”
“国債保有増加に特別リスクない”
“市場の修正期待 是正された”
“市場と見方が違ってもいい”
“ローン金利の動向や影響 今後も丹念に点検”
“後任のためにというのはせん越”
“金利操作は今の形が適切”
会見終了
黒田総裁の記者会見での発言です。
会見開始