この方式では、1世帯分の所得を合算したうえで、子どもなど扶養家族も含めた人数で総所得を割り、その数字を元に所得税の納税額が決まる仕組みです。
例えば、この方式を採用しているフランスでは、子どもは2人目までは0.5人、3人目からは1人として計算します。このため、共働き夫婦と子ども2人の4人家族の場合「N」にあたる数字は3となります。
夫婦の合算した所得をこの「3」で割った金額に税率をかけて、仮の所得税額を決めたあと、再び「3」をかけて、納税額が決まります。
フランスでも、所得が多いほど税率が高い累進課税が導入されていますが、この方式だと、所得が多い世帯でも子どもの数が多ければ課税の基準となる所得が少なくなるため、結果として税の負担が軽くなります。
政府の税制調査会では過去のリポートで、世帯単位の課税の導入の是非について
▽共働き世帯よりも夫婦のどちらか1人が働くいわゆる「片働き世帯」が有利になることや
▽高所得者に大きな利益を与えることになるなどとして否定的な見解をまとめています。
鈴木財務大臣も31日の衆議院予算委員会で、N分N乗方式の導入の是非を問われたのに対して「いろいろと課題があると承知している」と述べ、慎重な考えを示しています。