4人のうち藤田容疑者と今村容疑者の2人は、別の事件の裁判が棄却され、日本に引き渡すための法的な条件が整っています。
一方、渡邉容疑者と小島容疑者の裁判については7日に次の審理が行われる予定でしたが、検察側が要請した結果、6日に前倒しされ、フィリピン政府は、この2人に関しても、裁判が棄却されしだい日本に引き渡す方針です。
フィリピンのマルコス大統領は就任後初めて、8日から日本を訪問する予定で、フィリピン政府は大統領の来日前に4人全員を引き渡したい意向を示しています。
関係者によりますと、渡邉容疑者は北海道中標津町の高校を卒業後、札幌の繁華街・ススキノで客引きのほか、複数の飲食店の経営や不動産業など、さまざまな事業を行っていたみられています。 渡邉容疑者が当時使っていたマンションの関係者がNHKの取材に応じ、2008年から2013年までの賃貸に関わる記録が残っていることを明かしました。 複数の関係者によりますと、マンションの部屋では、渡邉容疑者がオンラインを通して、女性と会話ができるサービスを行っていたとみられるということです。 マンションの関係者は当時、部屋に住んでいない複数の女性が繰り返し出入りするのを見たことがあるとして「部屋の中でお客さんを案内するのか女性と会わせてたのか分からなかったが、女性の待機場所のように使っていたので退去してもらった。それが今回の事件の渡邉容疑者だと知り、驚いている」と話していました。
男性によりますと、北海道中標津町の高校を卒業したあと札幌市内に住み始めた渡邉容疑者は、当時18歳から20歳前後で、学生だと言いながら繁華街のススキノで客引きとして週に5日以上出勤していたということです。 通りすがりの人に声をかけてガールズバーに誘い、1日で20~30人ほどの客を店舗に引き入れていたということです。 当時の渡邉容疑者について「人当たりがよく、お客さんをどんどん連れて来ていて、席が満席の時には30~40分は当たり前のようにお客さんと会話して引き止めていた。出身地やおいしい飲食店の話題などで会話を盛り上げてお客さんを帰らせない。口がうまく、優秀な客引きだった」と振り返りました。 当時、値切りをされずに高い価格で客を引き入れれば高い賃金が得られる仕組みだったということで「渡邉容疑者は値段交渉がうまく、あまり値下げされずに客を連れてきていて、多くのバックを得ていた」と話していました。 その後、渡邉容疑者は20歳前後で、ススキノで女性の接待を伴う飲食店を開いたということで「ススキノで20歳くらいで自分の店をポンと出すというのは、かなりの野心家だと思った。客引きをしながらノウハウを学び、自分で経営してやろうという気持ちがあったのではないか」と話しました。 男性は渡邉容疑者からの誘いを受けてこの飲食店を何回か訪ねたことがあったということですが、小さな店舗で繁盛している様子はなく、長続きせず閉店したということです。 一方で、その後、街で渡邉容疑者を見かけると高級外車に乗って高級なスーツや腕時計を身に着けるようになっていたため違和感があったと語ります。 男性は「店を畳んだのに明らかに羽振りがよかった。どんな仕事してもうけているのか聞いても、いつも『いやいや』とはぐらかしていたので、悪いことをしているのではないかと疑っていた」と述べました。 その後、街で会えばあいさつを交わしていたものの、数年後、渡邉容疑者が25歳前後になった2009年ごろから会うことは無くなったということで、フィリピンにいることは知らなかったということです。 事件を知った男性は「驚いたが、渡邉容疑者は暴力をするようなタイプではなく、まさに指示役としてしゃべりがうまく、人を使い、巻き込むのがうまかったのだと思う。知り合いがこんなことになり、ショックを受けている」と話していました。
店の従業員は渡邉容疑者について「数年前にたびたび店を訪れていたので顔を覚えている。いいお客さんという印象だった」と話していました。
渡邉容疑者 札幌の繁華街・ススキノで複数の事業か
「指示役としてしゃべりうまい」渡邉容疑者を知る人
渡邉容疑者が訪れていた飲食店の従業員「いいお客さん」