
航空機が許可なく他国の領空に侵入するのは国際法に違反し、領空侵犯にあたるとされています。
領空侵犯した航空機には退去を警告したり、最寄りの飛行場へ強制着陸させたりするのが一般的で、国際法上、命令に従わない軍用機については必要な措置がとれるとされています。
自衛隊機が領空侵犯に際して武器を使用できるのは、正当防衛や緊急避難の要件に該当する場合とされています。 気球を含めた航空機については、全国のレーダーサイトで領空侵犯のおそれがないか警戒監視を行っているとしていてこれまでに外国の気球による領空侵犯を公表したケースはないとしています。
国土交通省によりますと、外国のものも含めて日本で気球を飛ばす場合は、国土交通省への通報や許可が原則として必要だということです。
このうち東西冷戦期の1960年には、アメリカのU2偵察機が旧ソビエトの領空を飛行中に地対空ミサイルで撃墜されました。 これによって両国が激しく対立し、予定されていた米ソ首脳会談が中止されただけでなく、その後、ベルリンの壁の建設や、世界が核戦争の危機に直面した「キューバ危機」が起きて、国際社会全体の緊張が高まりました。 また、1983年には、大韓航空機が本来のコースを外れて旧ソビエトの領空を飛行し、戦闘機に撃墜されて乗客乗員269人全員が死亡しました。 アメリカなどが撃墜を強く非難した一方、旧ソビエトは激しく反発し、米ソ関係が後退しました。
今回のアメリカの対応については「主権の及ぶ範囲なので、侵入してきたものに対しては当該国が必要に応じて対処することになる。高い高度を飛行する気球を捕獲することはほぼ不可能なので、今回、撃墜をしたのだろう。今後は、回収した機材が気象観測用のものなのか、それとも軍事目的に使える電波や画像を収集できる機能がついているのかどうかが焦点になる」と指摘しています。 その上で「これを機会にアメリカと中国の対立が激化することは避けないといけない。誤った認識に基づいて不要なエスカレーションを避けることは大事なので、対話のチャネルを開きつついろいろな情報のやり取りをしていく必要がある」と話しています。
領空侵入で緊張高まりも
航空自衛隊 元空将「対話のチャネルを」