1968年にアポロ8号に搭乗して月を周回した米航空宇宙局(NASA)の飛行士、ウィリアム・アンダースさんがワシントン州での航空機墜落事故で死亡した。息子のグレゴリーさんが明らかにした。90歳だった。
グレゴリーさんは7日夜、CNNの取材に「父はサンフアン諸島での航空機事故で亡くなった」と語った。
サンフアン郡保安官事務所は声明で、ジョーンズ島沿岸で航空機が墜落したと明らかにした。
保安官事務所によると、派遣所に最初の通報が入ったのは太平洋時間午前11時40分ごろ。「古いモデルの飛行機が北から南へ飛行中、ジョーンズ島の北端付近で着水し、沈んだ」との内容だった。
サンフアン諸島はシアトルの北約140キロに位置する。
米海軍兵学校のウェブサイトによると、アンダースさんは1933年10月17日、香港生まれ。55年に米海軍兵学校を卒業した後、米空軍に任官され、翌年にパイロット徽章(きしょう)を取得した。
NASAと米海軍学校によると、アンダースさんは防空コマンドの全天候型迎撃部隊に所属する戦闘機パイロットとして、カリフォルニアやアイスランドで任務に就いた。
64年にNASAの宇宙飛行士に選ばれると、66年にジェミニ11号、69年にアポロ11号の予備搭乗員を務めた。NASAによると、飛行時間は6000時間を超える。
68年12月には、初の月周回ミッションでアポロ8号に搭乗。この歴史的なフライトで、アンダースさんは月モジュールのパイロットを務めた。
アンダースさんは宇宙船から、地球を捉えた象徴的な写真を撮影。前景に月面を捉えたこの写真は「アースライズ(地球の出)」と名付けられた。