オミクロン株かぶでは、これまでのワクチンで感染かんせんや発症はっしょうを防ふせぐ効果こうかは下さがっているため、オミクロン株かぶの遺伝いでん情報じょうほうを使つかって対応たいおうするワクチンが作つくられました。

国内こくないで使用しようが認みとめられたオミクロン株かぶ対応たいおうのワクチンは2種類しゅるい。

これまでも接種せっしゅが行おこなわれてきたのと同様どうよう、ファイザーとモデルナのメッセンジャーRNAワクチンです。

今回こんかいのワクチン、ワクチンによって体からだの中なかで作つくられる、ウイルスの働はたらきを抑おさえる「中和ちゅうわ抗体こうたい」がどれだけ増ふえたかで効果こうかが見込みこまれるかどうか比くらべられます。

ファイザーのワクチンの添付てんぷ文書ぶんしょによりますと、56歳さい以上いじょうを対象たいしょうにした臨床りんしょう試験しけんで、4回かい目めの接種せっしゅとして使つかった場合ばあい、「BA.1」に対にたいする中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねは、従来じゅうらい型がたのワクチンを使つかった場合ばあいと比くらべて1.56倍ばいに上昇じょうしょうしたということです。

また、モデルナが9月つき16日にちに医学いがく雑誌ざっし「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表はっぴょうした論文ろんぶんによりますと、アメリカで行おこなった臨床りんしょう試験しけんの結果けっか、4回かい目めの接種せっしゅとして使つかった場合ばあい、「BA.1」に対にたいする中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねが、従来じゅうらい型がたのワクチンを使つかった場合ばあいと比くらべて1.75倍ばいに上昇じょうしょうしたとしています。

主おもな副ふく反応はんのうは、▽接種せっしゅした場所ばしょの痛いたみが77.3％、▽けん怠けんたい感かんが54.9％、▽頭痛ずつうが43.9％、▽38度ど以上いじょうの発熱はつねつが4.4％などと、これまでのワクチンと変かわらず、大だい部分ぶぶんは軽度けいどから中なか程度ていどだったとしています。

また、モデルナの臨床りんしょう試験しけんでは、「BA.5」に対にたいする中和ちゅうわ抗体こうたいの値ねは、従来じゅうらい型がたのワクチンの1.69倍ばいに上昇じょうしょうしたとしています。

2回かいの接種せっしゅを終おえた人ひとは3回かい目めとして、3回かいの接種せっしゅを終おえた日ひとは4回かい目めとして、4回かいの接種せっしゅを終おえた人ひとは5回かい目めとして、接種せっしゅすることができます。

前回ぜんかいの接種せっしゅからの間隔かんかくは5か月かげつ間かんです。

まずは高齢こうれい者しゃや医療いりょう従事じゅうじ者しゃなどから開始かいしされ、自治体じちたいは接種せっしゅの進捗しんちょく（しんちょく）状況じょうきょうを見みながら、対象たいしょう者しゃを拡大かくだいしていくことになります。

そして、最後さいごの接種せっしゅから4か月かげつほどの早はやい時期じきに追加ついか接種せっしゅすることや、変異へんいウイルスに対応たいおうしたワクチンを導入どうにゅうするといった対応たいおうが必要ひつようだと示しめされたとしています。

中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは「私わたしたちの研究けんきゅうでも、これまでのワクチンを接種せっしゅした人ひとの血液けつえきを検査けんさすると3か月かげつくらいたつと抗体こうたいなど免疫めんえきの機能きのうが落おちてきて、5か月かげつ、6か月かげつまで待まつと、再さい感染かんせんのリスクが高たかくなる。海外かいがいでは、3か月かげつから6か月かげつなど、接種せっしゅ間隔かんかくに幅はばを持もたせて臨床りんしょう試験しけんが行おこなわれている。もう少もうすこし短みじかい間隔かんかくで接種せっしゅできるようにすることも考かんがえてもらいたい」と話はなしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうの専門せんもん家かによる部会ぶかいでも、接種せっしゅの間隔かんかくを5か月かげつから短縮たんしゅくすべきだとする意見いけんが出だされ、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今後こんご、検討けんとうしていくことになりました。

「BA.5」対応たいおうのワクチンを待まつべきなのでしょうか。

「BA.5」対応たいおうのワクチンは、いま主流しゅりゅうの「BA.5」に対にたいする効果こうかは高たかい可能かのう性せいがありますが、日本にっぽん国内こくないではまだいつ承認しょうにんされるかは分わかりません。

イギリスやカナダでも日本にっぽんと同様どうよう、「BA.1」対応たいおうのワクチンの接種せっしゅを決きめています。

専門せんもん家かは、「BA.5」対応たいおうのワクチンを待まつより、国内こくないで新あらたに接種せっしゅが始はじまったオミクロン株かぶ「BA.1」対応たいおうのワクチン、もしくは従来じゅうらい型がたワクチンを接種せっしゅすべきとしています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、「BA.1」対応たいおうのワクチンは▽オミクロン株かぶに対にたいして従来じゅうらいのワクチンを上回うわまわる効果こうかがあることに加くわえて、▽ウイルスが変異へんいする可能かのう性せいがある中なかで、今後こんごの変異へんい株かぶに対にたいしても有効ゆうこうである可能かのう性せいが高たかいことが期待きたいされるとしています。

そのうえで、その時点じてんで接種せっしゅができるオミクロン株かぶ対応たいおうのワクチン、つまり「BA.1」対応たいおうのワクチンを接種せっしゅしてほしいとしています。

一方いっぽう、今後こんごは検討けんとうすべきという意見いけんもあります。

新潟にいがた大学だいがくの齋藤さいとう教授きょうじゅは「オミクロン株かぶ対応たいおうのワクチンには、従来じゅうらい型がたのワクチンの成分せいぶんも含ふくまれているので、これを最初さいしょから接種せっしゅするというのも戦略せんりゃくの1つだ。これから接種せっしゅを始はじめる子こどもなどで、今後こんご、検討けんとうされるべきだ」と話はなしています。

ただ、齋藤さいとう教授きょうじゅは「ワクチンの効果こうかや安全あんぜん性せいについてはデータが分わかってきている。まだワクチンを接種せっしゅしていない人ひとが、しっかりとした基礎きそ免疫めんえきをつけておくことは非常ひじょうに重要じゅうようだ。1回かい目め、2回かい目めの接種せっしゅは9月つき30日にちまでとされているが、延長えんちょうして接種せっしゅの機会きかいを作つくってほしい」と話はなしています。

子こどもで2回かい目めの接種せっしゅを終おえたのは20％余あまりとなっています。

その一方いっぽうで、感染かんせん力りょくの強つよいオミクロン株かぶが主流しゅりゅうになってから、重症じゅうしょう化かする子こども、亡なくなる子こどもが増ふえてきています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょが、オミクロン株かぶが広ひろがったことし1月つきから8月つきまでに発症はっしょうして亡なくなった子こどもなど、20歳さい未満みまんの41人にんのうち、詳くわしい状況じょうきょうを調査ちょうさできた29人にんについて分析ぶんせきしたところ、半数はんすうほどは基礎きそ疾患しっかんがない人ひとでした。

北里きたざと大学だいがくの中山なかやま特とく任にん教授きょうじゅは「最初さいしょのころは、子こどもは感染かんせんしても無む症状しょうじょうだったり軽症けいしょうだったりして、ワクチンはいらないのではないかという意見いけんもあったが、オミクロン株かぶで感染かんせんする人ひとが増ふえると、脳症のうしょうになったり亡なくなったりする子こどもも出でてくるようになっている。健康けんこうな子こどもでも重症じゅうしょう化かする例れいが出でてきている。ワクチンを接種せっしゅすることは重症じゅうしょう化かを予防よぼうすることにつながる」と話はなしています。

アメリカのCDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターなどは、ファイザーやモデルナの新型しんがたコロナワクチンとインフルエンザワクチンを同時どうじに接種せっしゅした9万まん2000人にん余あまりと、新型しんがたコロナのワクチンの追加ついか接種せっしゅだけを受うけた88万まん9000人にん余あまりを比くらべた結果けっかをことし7月つき、報告ほうこくしました。

同時どうじに接種せっしゅした場合ばあい、▽接種せっしゅした部位ぶいの痛いたみなど、局所きょくしょ的てきな症状しょうじょうが出でた割合わりあいはファイザーのワクチンでは新型しんがたコロナ単独たんどく接種せっしゅの場合ばあいの1.10倍ばい、モデルナのワクチンは1.05倍ばい、▽けん怠けんたい感かんや発熱はつねつなど、全身ぜんしんの症状しょうじょうが出でた割合わりあいは、ファイザーのワクチンは1.08倍ばい、モデルナのワクチンは1.11倍ばいでした。

また、イタリアの研究けんきゅうグループがことし3月つき、イギリスやアメリカで行おこなわれた3つの臨床りんしょう試験しけんをまとめた論文ろんぶんによりますと、同時どうじ接種せっしゅの場合ばあいもそれぞれを接種せっしゅした場合ばあいでも、副ふく反応はんのうの出でる頻度ひんどや新型しんがたコロナに対にたいする抗体こうたいの値ねに大おおきな違ちがいはなかったということです。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、ことしのインフルエンザワクチンの供給きょうきゅう量りょうは、成人せいじんの量りょうに換算かんさんして最大さいだいでおよそ7042万まん人にん分ぶんと、過去かこ最大さいだいとなる見通みとおしを示しめし、同時どうじ接種せっしゅも問題もんだいないとしています。

新潟にいがた大学だいがくの齋藤さいとう教授きょうじゅは「新型しんがたコロナの次つぎの流行りゅうこう時期じきがいつになるのか分わからない一方いっぽう、インフルエンザは11月つきから12月つきに流行りゅうこうが始はじまり、1月つきから2月つきにピークを迎むかえるという毎年まいとしのパターンがある。2つの感染かんせん症しょうをしっかり予防よぼうしておくことが大事だいじだ」と話はなしています。

しかし、多おおくの専門せんもん家かは次つぎの「第だい8波は」がやってくるとみています。

WHOも「パンデミックの終おわり」に近ちかづけるためにはワクチンの接種せっしゅなどの対策たいさくを続つづけることが重要じゅうようだとしています。

ワクチンを接種せっしゅするかどうかは個人こじんの判断はんだんです。

対策たいさくにあたってきた多おおくの専門せんもん家かは、感染かんせん者しゃ数すうが減少げんしょう局面きょくめんのいま、接種せっしゅについて落ち着おちついて考かんがえることが大事だいじだと話はなしています。