千秋楽せんしゅうらくの25日にち、玉たま鷲わしと高安たかやすが直接ちょくせつ対戦たいせんし、玉たま鷲わしが立ち合たちあいから激はげしい突つきとのど輪のどわで優位ゆういに立たち、高安たかやすを土俵際どひょうぎわに押し込おしこんで押し出おしだしで勝かちました。

玉たま鷲わしは13勝しょう2敗はいで3年ねん前まえの初はつ場所ばしょ以来いらい、2回かい目めの優勝ゆうしょうを果はたしました。

今こん場所ばしょは、一いち横綱よこづな三さん大関おおぜきがそろって敗やぶれる日ひが2回かいあるなど、上位じょうい陣じんが相次あいついで星ほしを落おとす中なか、玉たま鷲わしは横綱よこづな 照あきらノ富士ふじから金星きんぼしを挙あげたほか、三さん大関おおぜきもすべて破やぶって場所ばしょを引っ張ひっぱりました。

37歳さい10か月かげつでの幕内まくうち優勝ゆうしょうは、年とし6場所ばしょ制せいが定着ていちゃくした昭和しょうわ33年ねん以降いこう、旭天鵬きょくてんほうの37歳さい8か月かげつを抜ぬいて最年長さいねんちょうの記録きろくとなりました。

片男波かたおなみ部屋へやに入門にゅうもんし、平成へいせい16年ねん初場所はつばしょで初はつ土俵どひょうを踏ふみました。

入門にゅうもん前まえに相撲すもうの経験けいけんはありませんでしたが、徹底てっていして突つき押おし相撲すもうを鍛きたえ、平成へいせい20年ねんの秋場所あきばしょで新しん入幕にゅうまくを果はたしました。

その後そのご、数すう年間ねんかんは幕内まくうちと十じゅう両りょうを行き来いききしましたが、のど輪のどわや突っ張つっぱり、はず押おしといった多彩たさいな技わざを用もちいた激はげしい突つき押おし相撲すもうを磨みがいて、平成へいせい27年ねんの春場所はるばしょで新しん三さん役やく、小結こむすびに昇進しょうしんしました。

初はつ土俵どひょうから所要しょよう66場所ばしょでの新しん三さん役やくは、外国がいこく出身しゅっしん力士りきしとして歴代れきだい1位いのスロー昇進しょうしんでした。

そして3年ねん前まえの平成へいせい31年ねんの初はつ場所ばしょ、関脇せきわけで初はつ優勝ゆうしょうしました。

34歳さい2か月かげつでの初はつ優勝ゆうしょうは年とし6場所ばしょ制せいが定着ていちゃくした昭和しょうわ33年ねん以降いこう2番目ばんめの年長ねんちょう記録きろくでした。

その年としの名古屋なごや場所ばしょ以降いこうは三さん役やくに座すわっていませんが、幕内まくうちで安定あんていした成績せいせきを残のこしています。

また、初はつ土俵どひょうから18年ねんにわたる連続れんぞく出場しゅつじょうは今こん場所ばしょ9日にち目めに元もと関脇せきわけ 貴闘力たかとうりきを抜ぬいて歴代れきだい3位いとなり、25日にち時点じてんで1463回かいとなっています。

「鉄人てつじん」と呼よばれる玉たま鷲わしは、けがの少すくない丈夫じょうぶな体からだで30代だい後半こうはんになっても成長せいちょうを続つづけています。

平幕ひらまくの力士りきしが優勝ゆうしょうするのは先さき場所ばしょの逸いっノ城しろに続つづいて2場所ばしょ連続れんぞくで、平幕ひらまくの2場所ばしょ連続れんぞく優勝ゆうしょうは平成へいせい3年ねんの名古屋なごや場所ばしょで琴富士ことふじ、続つづく秋場所あきばしょで琴錦ことにしきが優勝ゆうしょうして以来いらい31年ねんぶりです。

また、モンゴル出身しゅっしん力士りきしの優勝ゆうしょうは3場所ばしょ連続れんぞくとなりました。

師匠ししょうで元もと関脇せきわけ 玉たま春日しゅんじつの片男波かたおなみ親方おやかたは「右みぎを差さすのは今いままで見みたことがない。これで攻せめることができるというのを今いま場所ばしょ覚おぼえたのだろう」と驚おどろいていました。

一気いっきの攻せめに巧たくみな技術ぎじゅつが加くわわった玉たま鷲わしは1横綱よこづな3大関おおぜきすべてを破やぶり、場所ばしょを引っ張ひっぱり続つづけました。

横綱よこづな、大関おおぜきが全員ぜんいん出場しゅつじょうした場所ばしょで平幕ひらまく力士りきしがすべての横綱よこづな、大関おおぜきを破やぶるのは昭和しょうわ60年ねん名古屋なごや場所ばしょの北尾きたお以来いらい、実じつに37年ねんぶりでした。

ベテランになっても成長せいちょうを続つづける玉たま鷲わしの原げん動力どうりょくについて、片男波かたおなみ親方おやかたは初はつ土俵どひょうからの連続れんぞく出場しゅつじょうの回数かいすうを伸のばすことにあると見みています。

本人ほんにんは「意識いしきしていない」と言いいますが、片男波かたおなみ親方おやかたは「目立めだちたいほうなので『鉄人てつじん』とか『連続れんぞく出場しゅつじょう』と言いわれることで士気しきを高たかめている」と明あかしました。

玉たま鷲わしは先さき場所ばしょ新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで途中とちゅう休場きゅうじょうしたものの、みずからの意思いしでの休場きゅうじょうではないとして記録きろくは継続けいぞくとなり、今こん場所ばしょに向むけて意欲いよくを高たかめて稽古けいこに打ち込うちこんできました。

出稽古でげいこができないなどの制限せいげんがある中なか、部屋へやで同時どうじに2人にんの力士りきしを相手あいてに相撲すもうを取とるなどみずからを追い込おいこんできました。

連続れんぞく出場しゅつじょうの記録きろくとともに成長せいちょうを遂とげてきた玉たま鷲わし。

「自分じぶんの相撲すもうを見みせたい」と臨のぞんだ今こん場所ばしょで3年ねんぶりの賜杯しはいという最高さいこうの結果けっかを手てにしました。