Japanese News: 日中国交正常化50年世界2位と3位の経済大国経済関係の歩み

1972年ねんに日本にっぽんと中国ちゅうごくが国交こっこうを正常せいじょう化かして29日にちで50年ねんとなります。

経済けいざい力りょくや技術ぎじゅつ力りょくで大おおきくリードしていた日本にっぽんが、中国ちゅうごくを支援しえんする形かたちで始はじまった両国りょうこくの経済けいざい関係かんけいは、この50年ねんで大おおきく変化へんかし、日本にっぽんは世界せかい2位いの経済けいざい大国たいこくとして存在そんざい感かんを高たかめている中国ちゅうごくと向き合むきあうことになりました。

日にち中ちゅうの経済けいざい関係かんけいの歩あゆみをたどります。

中国ちゅうごくの“改革かいかく開放かいほう”支ささえた日本にっぽん

日にち中ちゅうの国交こっこうが正常せいじょう化かした1972年ねん。

当時とうじの両国りょうこくのGDP＝国内こくない総そう生産せいさんは中国ちゅうごくが1136億おくドルだったのに対にたいし、日本にっぽんは3180億おくドル。

文化ぶんか大だい革命かくめいで経済けいざい・社会しゃかいが大おおきく混乱こんらんした中国ちゅうごくと、高度こうど成長せいちょう期きを経へてアメリカに次つぐ世界せかい2位いの経済けいざい大国たいこくとなっていた日本にっぽんとの経済けいざい力りょくの差さは歴然れきぜんとしていました。

両国りょうこくの経済けいざい関係かんけいが深ふかまるきっかけとなったのが、1978年ねん10月つき、当時とうじ、副ふく首相しゅしょうだった※トウ小平しょうへい氏しの来日らいにちです。

日本にっぽん企業きぎょうの工場こうじょうを視察しさつし、松下まつした幸之助こうのすけ氏しら経済けいざい人じんとも面会めんかいして協力きょうりょくを求もとめたトウ氏しは、帰国きこくから2か月かげつ後ご、「改革かいかく開放かいほう」を国家こっか目標もくひょうに掲かかげ、市場しじょう経済けいざい化かに大おおきくかじを切きりました。

※トウ＝登とう＋おおざと

日本にっぽん企業きぎょうによる進出しんしゅつも進すすみ、1988年ねんには日本にっぽんによる対たい中ちゅう直接ちょくせつ投資とうしの実行じっこう額がくは5億おくドルを超こえました。

中国ちゅうごくのGDPは4078億おくドルと10年間ねんかんで2倍ばい近ちかくに伸のびました。

天安門てんあんもん事件じけん後ごも“経済けいざい協力きょうりょく”

しかし、1989年ねんに中国ちゅうごくの経済けいざい発展はってんを大おおきくつまずかせる事態じたいが発生はっせいします。

民主みんしゅ化かを求もとめる学生がくせいたちの運動うんどうを武力ぶりょくで鎮圧ちんあつした天安門てんあんもん事件じけんです。

欧米おうべい各国かっこくが制裁せいさいに動うごき、積極せっきょく的てきな外資がいしの誘致ゆうちを目指めざす「改革かいかく開放かいほう」路線ろせんにも影かげを落おとす形かたちとなりました。

こうした状況じょうきょうの中なか、日本にっぽんはいち早いちはやく中国ちゅうごくへの円えん借款しゃっかんの再開さいかいを宣言せんげん。

1991年ねんの海部かいふ総理そうり大臣だいじんの訪中ほうちゅうを経へて、再ふたたび中国ちゅうごくへの投資とうし熱ねつが高たかまり、1997年ねんの対たい中ちゅう直接ちょくせつ投資とうしの実行じっこう額がくは43億おくドルと、天安門てんあんもん事件じけん以前いぜんの8倍ばい余あまりまで伸のびました。

「政せい冷ひや経けい熱ねつ」の時代じだい日にち中ちゅう貿易ぼうえきは拡大かくだい

日本にっぽんが手てを差し伸さしのべる形かたちで再ふたたび成長せいちょう軌道きどうに乗のった中国ちゅうごく経済けいざい。

2001年ねんにはWTO＝世界せかい貿易ぼうえき機関きかんに加盟かめいし、「世界せかいの工場こうじょう」としてめざましいを発展はってんを続つづけます。

中国ちゅうごくが急速きゅうそくな経済けいざい発展はってんを続つづける中なか、外交がいこうでは両国りょうこく関係かんけいに変化へんかが訪おとずれます。

中国ちゅうごくでは、当時とうじの江沢民こうたくみん国家こっか主席しゅせきが「愛国あいこく主義しゅぎ教育きょういく」を推進すいしん。

小泉こいずみ総理そうり大臣だいじんが毎年まいとし行おこなった靖国やすくに神社じんじゃ参拝さんぱいにも強つよく反発はんぱつし、両国りょうこくの外交がいこう関係かんけいは冷え込ひえこみました。

しかし、経済けいざい面めんでは、上海しゃんはい、広州こうしゅうといった沿海えんかい部ぶを中心ちゅうしんに安やすくて豊富ほうふな労働ろうどう力りょくを求もとめる日本にっぽん企業きぎょうの進出しんしゅつが続つづき、こうした状況じょうきょうは「政せい冷ひや経けい熱ねつ」とも言いわれました。

冷え込ひえこむ外交がいこう関係かんけいを横目よこめに関係かんけいを深ふかめる日にち中ちゅう経済けいざい。

輸出入ゆしゅつにゅうをあわせた貿易ぼうえき額がくは2000年ねんの857億おくドルから2010年ねんには3018億おくドルと10年間ねんかんで3倍ばい以上いじょうに拡大かくだいします。

この間このかん、日本にっぽんの対たい中国ちゅうごく貿易ぼうえき額がくは、対たいアメリカを上回うわまわり、日本にっぽんにとって中国ちゅうごくが世界せかい最大さいだいの貿易ぼうえき相手あいて国こくとなりました。

停滞ていたいの日本にっぽんGDP 世界せかい2位いは中国ちゅうごくに

反面はんめん、この時期じきは、高こう成長せいちょうを続つづける中国ちゅうごくと、バブル崩壊ほうかい後ごの長期ちょうき停滞ていたいから抜け出ぬけだせない日本にっぽんとの違ちがいが際立きわだった時期じきでもありました。

2008年ねんのリーマンショックの際さいには、中国ちゅうごく政府せいふが打ち出うちだした4兆ちょう人民元じんみんげん、当時とうじのレートで50兆ちょう円えん余あまりの経済けいざい対策たいさくが各国かっこくから大おおきな期待きたいを集あつめ、中国ちゅうごく経済けいざいは一段いちだんとその地位ちいを高たかめました。

そして、2010年ねんには象徴しょうちょう的てきな出来事できごとが訪おとずれます。

この年としの日本にっぽんのGDPは5兆ちょう7590億おくドル。

これに対にたいして中国ちゅうごくは6兆ちょう871億おくドルと逆転ぎゃくてんし、日本にっぽんは中国ちゅうごくに「世界せかい2位いの経済けいざい大国たいこく」の地位ちいを明け渡あけわたすことになったのです。

その後そのごも日本にっぽんが低てい成長せいちょうを続つづける中なか、中国ちゅうごくのGDPは伸のび続つづけ、日本にっぽんとの差さはさらに広ひろがっていきます。

「世界せかいの工場こうじょう」から「世界せかいの市場しじょう」に

中国ちゅうごく経済けいざいが日本にっぽんを追い抜おいぬく規模きぼに成長せいちょうし、世界せかい経済けいざいにおける中国ちゅうごくの役割やくわりも変化へんかします。

経済けいざい発展はってんに伴ともなって中間ちゅうかん所得しょとく層そうが増加ぞうかしたことで、「世界せかいの工場こうじょう」としてだけでなく、「消費しょうひ市場しじょう」としても重要じゅうような位置いちを占しめるようになりました。

それは日本にっぽんにとっても例外れいがいではなく、日本にっぽんの主要しゅよう産業さんぎょうである自動車じどうしゃを見みれば、一目いちもく瞭然りょうぜんです。

日系にっけいメーカーが去年きょねん、中国ちゅうごくで販売はんばいした乗用車じょうようしゃの台数だいすうは442万まん台だいにのぼり、日本にっぽん国内こくないの販売はんばい台数だいすうに匹敵ひってきする規模きぼとなっています。

さらに、観光かんこうの分野ぶんやでも中国ちゅうごくはお得意とくい様さまとなりました。

日本にっぽん政府せいふが2010年ねんに中国ちゅうごくの個人こじん観光かんこう客きゃく向むけのビザの発給はっきゅう要件ようけんを大幅おおはばに緩和かんわすると、中国ちゅうごくで日本にっぽん旅行りょこうブームが訪おとずれ、中国人ちゅうごくじんの旺盛おうせいな消費しょうひを表あらわす「爆買かい」ということばも生うまれました。

コロナ前まえの2019年ねんには959万まん人にんの中国人ちゅうごくじんが日本にっぽんを訪おとずれ、その年としの訪日ほうにち外国がいこく人じんの3割わりを占しめました。

日本にっぽんを訪おとずれる中国人ちゅうごくじんの増加ぞうかは、もともと漫画まんがやアニメといった日本にっぽんのカルチャーに親したしみを持もっていた若者わかものを中心ちゅうしんに対たい日にち感情かんじょうの改善かいぜんにもつながったとも言いわれています。

米べい中ちゅう覇権はけん争あらそい新あらたな日にち中ちゅう関係かんけいは

一方いっぽうで、中国ちゅうごくの台頭たいとうは、米べい中ちゅうの覇権はけん争あらそいとも言いうべき政治せいじ環境かんきょうの大おおきな変化へんかをもたらしました。

習近平ちから体制たいせいで権威けんい主義しゅぎ的てきな側面そくめんを強つよめる中国ちゅうごくとアメリカとの政治せいじ的てき対立たいりつが深ふかまる中なかで、米べい中ちゅうの経済けいざい的てきな切り離きりはなし、「デカップリング」が取り沙汰とりざたされているほか、新疆ウイグルしんきょうういぐる自治じち区くなどで人権じんけん状況じょうきょうをめぐって、中国ちゅうごくに厳きびしい視線しせんが注そそがれる中なか、日本にっぽん企業きぎょうが対応たいおうを問とわれる事態じたいも起おきています。

さらに新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいも日にち中ちゅうの経済けいざい関係かんけいに変化へんかを及およぼしています。

世界せかいでも最初さいしょに感染かんせんが広ひろがった中国ちゅうごくは、2年ねん以上いじょうがたった今たったいまも「ゼロコロナ」政策せいさくを堅持けんじしています。

ことし3月つきには、最大さいだいの経済けいざい都市とし・上海しゃんはいで2か月かげつ余あまりにわたって厳きびしい外出がいしゅつ制限せいげんを行おこなったことで中国ちゅうごくからの部品ぶひんの供給きょうきゅうが滞とどこおり、日本にっぽんの自動車じどうしゃや家電かでんメーカーの生産せいさん・販売はんばいに大おおきな影響えいきょうが出でました。

また、中国ちゅうごくの沿岸えんがん部ぶを中心ちゅうしんに人件じんけん費ひが上昇じょうしょうしたことで、「世界せかいの工場こうじょう」としてのメリットも減少げんしょうし、日本にっぽん企業きぎょうの間までは中国ちゅうごくの生産せいさん拠点きょてんからの撤退てったいや縮小しゅくしょうに踏み切ふみきり、東南アジアとうなんあじあや国内こくないに移うつす動うごきも広ひろがっています。

一方いっぽうで、50年ねんの経済けいざい関係かんけいの中なかで築きずいてきた日にち中ちゅうのサプライチェーンは、一朝いっちょう一夕いっせきで解消かいしょうできるものではないうえ、世界せかい2位いの経済けいざい大国たいこくである中国ちゅうごく市場しじょうの重要じゅうよう性せいも当面とうめん、変かわることはありません。

中国ちゅうごくの国際こくさい社会しゃかいでの台頭たいとうや米べい中ちゅうの対立たいりつで、「新しん冷戦れいせん」や「台湾たいわん有事ゆうじ」といったことばも盛さかんに言いわれる今いまだからこそ、日本にっぽんの政府せいふや企業きぎょうが中国ちゅうごくとどう向き合むきあっていくのか、冷静れいせいな考察こうさつが求もとめられています。