プーチン大統領が一方的な併合に踏み切ったことで、国際社会から一層非難が強まるのは確実です。
ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアのプーチン大統領は、日本時間の30日の夜9時すぎからモスクワのクレムリンで行われた式典で演説しました。
この中でプーチン大統領は、▽ウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、▽南東部ザポリージャ州、▽南部ヘルソン州の合わせて4つの州で強行された「住民投票」だとする活動について「住民は、自分たちの選択を行った。この地域に住む人々は永遠にロシア国民だ」などと述べ、ロシアがウクライナの4つの州を併合することを一方的に宣言しました。
そして、演説のあと、4つの州にいる親ロシア派勢力の幹部とともに、ロシアが併合すると定めた「条約」だとする文書に署名しました。
一方、プーチン大統領は演説の中で、併合の正当性を強調したうえで、「われわれはウクライナに即時停戦し、交渉のテーブルに戻ることを求める。われわれの準備はできている。しかし、4つの州の人々による選択について議論の余地はない。ウクライナは、この地域の住民の選択を尊重すべきで、これが唯一の平和への道となり得る」と述べ、ウクライナ政府に対して交渉に応じるよう迫りました。
また、「われわれは、あらゆる力と手段を講じてロシアの領土を守る」とも述べ、核戦力を念頭にウクライナや欧米をけん制したものとみられます。
アメリカやEU=ヨーロッパ連合は、追加の経済制裁を科す方針を明らかにしていますが、強硬な姿勢を崩さないプーチン大統領は、8年前、ウクライナ南部のクリミアを併合したのに続いて、再び力による一方的な現状変更に踏み切ったもので、国際社会からいっそう非難が強まるのは確実です。