そのまま終盤まで、立ったままパンチを狙うアリさんに対して、寝転がったままの猪木さんが足元への蹴りを狙うという展開が続き、互いに決め手を欠いたまま判定で引き分けとなりました。
最終の第15ラウンドまで、両者が立ったまま拳を交えたり技を掛けあったりすることはほとんどなく、こう着状態が続いたこともあり、一部では「世紀の凡戦」とも言われましたが、この試合は猪木さんの名前が海外に広く知れ渡るきっかけにもなりました。
この試合をきっかけに二人の親交も深まり「イノキ、ボンバイエ」の掛け声で知られる猪木さんの試合での登場曲は、アリさんの伝記映画の音楽がベースになっているということです。 また、猪木さんが1995年4月に北朝鮮で行ったプロレスのイベントや、1998年4月の猪木さんの引退試合には、いずれもアリさんが姿を見せました。 アリさんは、2016年6月に亡くなりましたが、格闘技ファンなどは、猪木さんとアリさんの戦い方になぞらえて、1人の選手が立った状態で、もう1人の選手があおむけに寝た状態で対じする様子を「猪木アリ状態」と表現するなど、45年ほどたった今でも当時の記憶が受け継がれています。