「抗原検査キット」需要増で不足の現場もメーカーは増産体制 - Easy News

新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんの急きゅう拡大かくだいで需要じゅようが高たかまる抗原こうげん検査けんさ。薬局やっきょくや診療しんりょう所しょの中なかには、短時間たんじかんで結果けっかが分わかる「抗原こうげん検査けんさキット」が不足ふそくするところも出でてきています。

こうした中なか、検査けんさキットのメーカーは、国くにからの増産ぞうさんの要請ようせいを受うけて、夜間やかんも操業そうぎょうするなど生産せいさん体制たいせいを強化きょうかしています。

検査けんさキットの不足ふそくに直面ちょくめんしている現場げんばはどのような状況じょうきょうに置おかれているのか。そして政府せいふやメーカーの対応たいおうは。

東京とうきょう中央ちゅうおう区くにある薬局やっきょくでは、去年きょねんの秋あき以降いこう、医療いりょう用ようの抗原こうげん検査けんさキットを販売はんばいしています。

抗原こうげん検査けんさキットはその場ばで15分ふんから30分ふんほどで結果けっかが分わかるのが特徴とくちょうで、この薬局やっきょくでは、感染かんせんが拡大かくだいした今月こんげつ中旬ちゅうじゅんごろから買い求かいもとめる人ひとが増ふえ始はじめ、ことしに入はいってからおよそ30回分かいぶんを販売はんばいしたということです。

しかし、先週せんしゅう半なかば以降いこう、業者ぎょうしゃに追加ついかの注文ちゅうもんをしても確保かくほできない状態じょうたいになっていて、24日にちの時点じてんでも今後こんごの入荷にゅうかの見通みとおしは立たっていないということです。

薬局やっきょくでは24日にちも朝あさから抗原こうげん検査けんさキットの購入こうにゅうを求もとめる電話でんわが相次あいついでいて、対応たいおうしたスタッフが現状げんじょうを説明せつめいしていました。

越前えちぜん堀ほり薬局やっきょくの薬剤師やくざいしの犬伏いぬぶし洋夫ひろおさんは「自分じぶんも感染かんせんしているのではないかという不安ふあんがかなり強つよいのではないかと思おもいます。不安ふあんを払拭ふっしょく（ふっしょく）するための検査けんさもしてもらいたいという思おもいもありますが、この状況じょうきょうでは本当ほんとうに必要ひつような人ひとのところに検査けんさキットが回まわらないのではないかと不安ふあんに思おもっています。私わたしたちも適切てきせつに説明せつめいをして、本当ほんとうに必要ひつような方ほうに行き渡いきわたるようにしたいです」と話はなしています。

診療しんりょう所しょでも底そこをつく状況じょうきょうが

千葉ちば市しの診療しんりょう所しょでも、キットが底そこをつく状況じょうきょうが起おきています。

千葉ちば市し稲毛いなげ区くにある診療しんりょう所しょの発熱はつねつ外来がいらいでは抗原こうげん検査けんさを行おこなって、患者かんじゃの治療ちりょう方針ほうしんなどを決きめています。

この診療しんりょう所しょでは、先週せんしゅうはじめの時点じてんで400人にん分ぶんの抗原こうげん検査けんさキットを用意よういしていましたが、先週せんしゅう半なかばから患者かんじゃが急増きゅうぞうし、23日にちは100人にん余あまりの患者かんじゃが訪おとずれたため、患者かんじゃが70人にんを超こえたところで検査けんさキットがなくなったということです。

残のこりの30人にん余あまりについては採取さいしゅした検体けんたいを民間みんかんのPCR検査けんさに回まわし、1日にちから2日にちの間ま、結果けっかを待まってもらっています。

24日にち朝あさ、以前いぜんから注文ちゅうもんしていた200人にん分ぶんの抗原こうげん検査けんさキットが届とどきましたが、今後こんごの供給きょうきゅうのめどは立たっておらず、このままのペースだと2日にちで足たりなくなる見込みこみだということです。

24日にちも午前ごぜん中ちゅうだけで59人にんに検査けんさし、20人にんが陽性ようせいだったということで、診療しんりょう所しょの河内かわうち文雄ふみお医師いしは「PCR検査けんさでは結果けっかが出でるのに時間じかんがかかり、その間そのかんに感染かんせんを拡散かくさんさせるおそれがあるし、治療ちりょうが難むずかしくなることもある。正直しょうじきとても不安ふあんですが多おおくの患者かんじゃが来くるので対応たいおうせざるをえない」と話はなしていました。

自治体じちたいの検査けんさにも影響えいきょうが

名古屋なごや市しは新型しんがたコロナウイルスへの対応たいおうについて24日にち午後ごご、緊急きんきゅうの記者きしゃ会見かいけんを開ひらき、PCR検査けんさの試薬しやくや抗原こうげん検査けんさキットが不足ふそくし始はじめているとして、学校がっこうや事業じぎょう所しょなどで感染かんせん者しゃが出でた場合ばあいに行いっていた濃厚のうこう接触せっしょく者しゃのスクリーニング検査けんさを当面とうめん見合みあわせると発表はっぴょうしました。

このなかで名古屋なごや市し健康けんこう福祉ふくし局きょくの浅井あさい清文きよふみ医い監は「検査けんさ試薬しやくがしっかりあれば濃厚のうこう接触せっしょく者しゃで無む症状しょうじょうの人ひとも検査けんさするのが理想りそうだが、現実げんじつはそうはいかない。無む症状しょうじょうの人ひとはなるべく自宅じたくで待機たいきし、資源しげんを症状しょうじょうがある人ひとに振り向ふりむけてほしい」と述のべ、濃厚のうこう接触せっしょく者しゃと疑うたがわれる場合ばあいでも症状しょうじょうが出でていなければ検査けんさを控ひかえるよう協力きょうりょくを求もとめました。

そのうえで、そうした人ひとに対にたいし感染かんせん者しゃと最後さいごに接触せっしょくした日ひから10日間にちかんは自宅じたくに待機たいきして外出がいしゅつを自粛じしゅくし、症状しょうじょうが出でた場合ばあいには医療いりょう機関きかんに連絡れんらくして受診じゅしんするよう呼よびかけました。

市しではこうした措置そちにより、重症じゅうしょう化かのリスクが高たかい基礎きそ疾患しっかんのある人ひとや高齢こうれい者しゃなどへの検査けんさ態勢たいせいを確保かくほしたいとしています。

メーカーは生産せいさん体制たいせいを強化きょうか

検査けんさキットのメーカーは、国くにからの増産ぞうさんの要請ようせいを受うけて、夜間やかんも操業そうぎょうするなど生産せいさん体制たいせいを強化きょうかしています。

感染かんせんの急きゅう拡大かくだいを受うけて厚生こうせい労働ろうどう省しょうは今月こんげつ、抗原こうげん検査けんさキットのメーカーなどに増産ぞうさんを要請ようせいしました。

大分おおいた県けん宇佐うさ市しの医療いりょう用ようの抗原こうげん検査けんさキットのメーカーも、注文ちゅうもんが急増きゅうぞうしていたということで、国くにの要請ようせいも踏ふまえて先週せんしゅうから増産ぞうさん体制たいせいに入はいりました。

これまで午後ごご5時じまでだった工場こうじょうの稼働かどう時間じかんを午後ごご11時じまで延長えんちょうするとともに、休日きゅうじつも操業そうぎょうすることで、1日にち最大さいだいで2万まん回分かいぶんだった検査けんさキットの製造せいぞう量りょうを2万まん5000回分かいぶんに増ふやすことを目標もくひょうとしているということです。

さらに今後こんごは、工場こうじょうで働はたらく人数にんずうを現在げんざいの1.5倍ばいの75人にんに増ふやし、24時間じかん体制たいせいとすることも計画けいかくしているということです。

アドテック株式かぶしき会社かいしゃ製造せいぞう部ぶの幡はた手しゅ真しん二に部長ぶちょうは、「毎日まいにちすごい量りょうの出荷しゅっかがあり備蓄びちくが底そこをつきつつある状況じょうきょうです。従業じゅうぎょう員いんには負担ふたんがかかりますが、できるだけ増産ぞうさんしようと着手ちゃくしゅしたところです。安心あんしん安全あんぜんのために1日にちに1つでも多おおくのキットを作つくって届とどけたいという使命しめい感かんを持もって生産せいさんしています」と話はなしていました。

岸田きしだ首相しゅしょう「メーカーに供給きょうきゅう量りょうの引き上ひきあげを要請ようせい」

検査けんさキットが不足ふそくしている状況じょうきょうに対にたいして、岸田きしだ総理そうり大臣だいじんは記者きしゃ団だんに対にたいし「感染かんせんが拡大かくだいしている地域ちいきでは診療しんりょう所しょの外来がいらいが混こみ合あって不便ふべんをおかけし、検査けんさキットが手てに入はいりづらくなっているとの声こえも聞きいている」と述のべました。

そのうえで外来がいらい受診じゅしんについて、現場げんばの声こえや科学かがく的てき知見ちけんを踏ふまえ、遠隔えんかく診療しんりょうの活用かつようや症状しょうじょうのある人ひとにあらかじめ検査けんさキットを渡わたすなど、円滑えんかつな受診じゅしんが進すすむよう改善かいぜんしていく考かんがえを示しめしました。

また検査けんさ体制たいせいの確保かくほについて「検査けんさキットは460万まん回分かいぶんを確保かくほしており、さらにメーカーに対にたいし国くにが買い取かいとり保証ほしょうをして、当面とうめん、1日にち80万まん回分かいぶんまで供給きょうきゅう量りょうの引き上ひきあげを要請ようせいしている」と述のべました。

松野まつの官房かんぼう長官ちょうかん「自治体じちたいメーカー卸売おろしうり業者ぎょうしゃと連携れんけい体制たいせい確保かくほを」

また、松野まつの官房かんぼう長官ちょうかんは記者きしゃ会見かいけんで「感染かんせんの急きゅう拡大かくだいで検査けんさ需要じゅようの増加ぞうかスピードが速はやく、地域ちいきによって一時いちじ的てきに検査けんさ能力のうりょくの不足ふそくが生しょうじている。政府せいふとしては、不足ふそくの懸念けねんがある地域ちいきは自治体じちたいと連携れんけいして抗原こうげん検査けんさキットの供給きょうきゅう量りょうを増ふやすなどの調整ちょうせいを行おこなうほか、メーカーに最大限さいだいげんの増産ぞうさんを要請ようせいし、必要ひつよう量りょうの確保かくほに努つとめている。また、卸売おろしうり業者ぎょうしゃにPCR検査けんさの試薬しやくや抗原こうげん検査けんさキットの安定あんてい供給きょうきゅうを依頼いらいしている。自治体じちたいやメーカー、卸売おろしうり業者ぎょうしゃとも連携れんけいして、検査けんさ体制たいせいの確保かくほに努つとめたい」と述のべました。