東京とうきょう都庁とちょうのなかにある東京とうきょうオリンピック・パラリンピックの組織そしき委員いいん会かいの清算せいさん法人ほうじんは、7月つきに東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶの捜索そうさくを受うけていました。

また、別べつの元もと幹部かんぶの都庁とちょう職員しょくいんは、NHKの取材しゅざいに対にたいし「入札にゅうさつしたのが『AOKI』だけだったので、少すこしおかしいと思おもっていた。事実じじつが、捜査そうさによって明あきらかになってほしい」と話はなしていました。

電通でんつうではスポーツ局長きょくちょうも務つとめ、日本にっぽんのスポーツビジネスの第だい一いち人にん者しゃとして広ひろく知しられ、FIFA＝国際こくさいサッカー連盟れんめいなど、国際こくさい的てきな競技きょうぎ団体だんたいにも幅広はばひろい人脈じんみゃくがあります。

2002年ねんのサッカーワールドカップ日にち韓かん大会たいかいの誘致ゆうちに関かかわったほか、

東京とうきょうオリンピック・パラリンピックの招致しょうちでは、招致しょうち委員いいん会かいのスペシャルアドバイザーを務つとめ、IOC＝国際こくさいオリンピック委員いいん会かいの委員いいんに対にたいするロビー活動かつどうの中心ちゅうしんを担にない、招致しょうちのキーマンとも言いわれる存在そんざいでした。

2014年ねん6月つきに東京とうきょう大会たいかいの組織そしき委員いいん会かいの理事りじに就任しゅうにん。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、大会たいかいの1年ねん延期えんきが決きまる直前ちょくぜんの2020年ねん3月つきには、アメリカの有力ゆうりょく紙し、ウォール・ストリート・ジャーナルに、いち早いちはやく延期えんきの選択肢せんたくしがあると語かたるなど、組織そしき委員いいん会かいの中なかでも影響えいきょう力りょくを持もっていました。

会社かいしゃのホームページによりますと、1958年ねんに出身しゅっしん地ちの長野ながの県けんで創業そうぎょうし、事業じぎょうを拡大かくだいしたのち、1976年ねんに現在げんざいのAOKIホールディングスを設立せつりつしました。

ことし3月末げつまつ時点じてんで、全国ぜんこくで600を超こえる店舗てんぽを展開てんかいしています。

ファッション以外いがいにもブライダル事業じぎょうなどを手てがけ、グループ全体ぜんたいのことし3月つき期きの売上うりあげ高だかは1549億おく円えんに上のぼっています。

2018年ねんに東京とうきょうオリンピック・パラリンピックのオフィシャルサポーターとなってからは、

大会たいかいに出場しゅつじょうした日本にっぽん選手せんしゅ団だんが開会かいかい式しきなどで着用ちゃくようする公式こうしきウエアを手てがけたほか、

大会たいかいのエンブレムが付ついたジャケットなどの、公式こうしきライセンス商品しょうひんも販売はんばいしていました。

青木あおき前ぜん会長かいちょうは去年きょねん4月つき、地元じもとの長野ながの県内けんないで聖火せいかリレーのランナーも務つとめ、故郷こきょうに錦にしきをかざりました。

青木あおき前ぜん会長かいちょうは、2013年ねんに出版しゅっぱんした著書ちょしょの中なかで、解決かいけつが難むずかしいことは、その道そのみちの超ちょう一流いちりゅうのプロやコンサルタント会社かいしゃを活用かつようすべきだと強調きょうちょうし、「値段ねだんが高たかいなど、いろいろ言いわれることもあるが、かけた金額きんがく以上いじょうの大おおきな成果せいかが得えられる」などと述のべています。

青木あおき前ぜん会長かいちょうは、ことし6月つき、若返わかがえりやガバナンス体制たいせいのさらなる強化きょうかを図はかるとして、会長かいちょうを退任たいにんしていました。

大会たいかい組織そしき委員いいん会かいは、2014年ねん、スポンサーを募集ぼしゅうする「マーケティング専任せんにん代理だいり店てん」に大手おおて広告こうこく会社かいしゃの電通でんつうを指名しめい。

組織そしき委員いいん会かいの清算せいさん法人ほうじんによりますと、国内こくないのスポンサー企業きぎょうは電通でんつうを窓口まどぐちに、組織そしき委員いいん会かいの「マーケティング局きょく」で検討けんとうされ、IOC＝国際こくさいオリンピック委員いいん会かいの承認しょうにんを得えたうえで組織そしき委員いいん会かいが決定けっていしていました。

「マーケティング局きょく」には局長きょくちょうや次長じちょうなどの幹部かんぶを含ふくめ、電通でんつうから多おおくの社員しゃいんが出向しゅっこうし、スポンサー企業きぎょうとの契約けいやくのほか、公式こうしきライセンス商品しょうひんの審査しんさなどを担当たんとうしていました。

組織そしき委員いいん会かいと契約けいやくを結むすんだ国内こくないスポンサー企業きぎょうは協賛きょうさん金きんの額がくに応おうじて、ゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーターの3つのランクに分わかれ、ロゴやエンブレムなどを使つかった商品しょうひんの販売はんばいや広告こうこく・宣伝せんでんを国内こくない向むけに行おこなう権利けんりを得えることができました。

2018年ねんにオフィシャルサポーター契約けいやくを結むすんだAOKIホールディングスは、公式こうしきライセンス商品しょうひんとしてエンブレムが付ついたスーツなどを販売はんばい。

3万まん着ちゃく以上いじょうを売り上うりあげたほか、競技きょうぎの審判しんぱんなどが着きるユニフォームの作製さくせいも受注じゅちゅうしていました。

東京とうきょう大会たいかいでは1兆ちょう4200億おく円えんに上のぼる開催かいさい経費けいひの半分はんぶん以上いじょうの7800億おく円えん余あまりを東京とうきょう都とと国くにが負担ふたんしましたが、組織そしき委員いいん会かいは、大会たいかいスポンサーが決きまるまでの過程かていや協賛きょうさん金きんの額がくなどの契約けいやく内容ないようは「企業きぎょうの事業じぎょう活動かつどうに関かかわる」としてほとんど公表こうひょうしておらず、募集ぼしゅうと決定けっていのプロセスが外部がいぶから見みえにくいことが事件じけんの背景はいけいにあるという指摘してきも出でています。

本ほんや印刷物いんさつぶつなどで使つかわれる文字もじのデザイン＝フォントの開発かいはつ・販売はんばいを手てがける企業きぎょう「モリサワ」は、AOKIと同おなじ国内こくないで3番目ばんめのランクの「オフィシャルサポーター」として東京とうきょう大会たいかいのスポンサーを務つとめました。

大会たいかいのエンブレムやチケットなどに使つかわれた特製とくせいのフォントもこの企業きぎょうが開発かいはつし、提供ていきょうしたということです。

スポンサー契約けいやくを担当たんとうした社長しゃちょう室長しつちょうの白石しらいし歩あゆみさんは、スポンサーになった目的もくてきについて「国際こくさい的てきな大だい規模きぼイベントで自社じしゃが開発かいはつしたフォントが使つかわれることは社員しゃいんの励はげみになり、企業きぎょうの成長せいちょうにつながる重要じゅうようなチャンスだと思おもいました。オフィシャルサポーターになることは会社かいしゃの信用しんようのうえでも役立やくだったと思おもいます」と述のべました。

そのうえで、今回こんかいの事件じけんについては「コロナ禍かの開催かいさいに賛否さんぴはあったものの、スポンサーは多おおくの感動かんどうを与あたえるアスリートを支ささえてきました。スポンサー1社しゃ1社しゃは、大会たいかいの成功せいこうに向むけて真摯しんしに取り組とりくんできたので、ゴタゴタしたイメージを持もたれてしまうことはつらいし、残念ざんねんです」と話はなしています。

NHKは2015年ねんにIOC＝国際こくさいオリンピック委員いいん会かいが作成さくせいし、東京とうきょう大会たいかいの組織そしき委員いいん会かいで使つかわれていたスポンサー契約けいやくについての内部ないぶ資料しりょうを独自どくじに入手にゅうしゅしました。

このなかではスポンサー契約けいやくを結むすぶ企業きぎょう側がわのメリットとして「ブランドイメージの向上こうじょう」や「世界せかい的てきな舞台ぶたいへの貢献こうけん」のほか、五輪ごりんのシンボルを販売はんばい促進そくしんに役立やくだてることによる「収益しゅうえきの増大ぞうだい」などが掲かかげられています。

大会たいかいスポンサーはロゴやエンブレムなどを使つかった商品しょうひんの販売はんばいや広告こうこく・宣伝せんでんなどを行おこなうことができますが、内部ないぶ資料しりょうには、このほかにも組織そしき委員いいん会かいが物品ぶっぴんなどを調達ちょうたつする際さいにスポンサーが優先ゆうせん的てきに供給きょうきゅうできる権利けんりや、観戦かんせんチケットや聖火せいかランナーの枠わくの割り当わりあてなどスポンサーに提供ていきょうされるさまざまなサービスが記載きさいされています。

東京とうきょう大会たいかいの国内こくないスポンサーはあわせて68社しゃで、協賛きょうさん金きんの額がくに応おうじて「ゴールドパートナー」、「オフィシャルパートナー」、「オフィシャルサポーター」の3つのランクに分わかれていて、関係かんけい者しゃによりますと実際じっさいに提供ていきょうされるサービスの内容ないようは、スポンサーのランクや個別こべつの契約けいやく内容ないようによって大おおきく異ことなっていたということです。

AOKIホールディングスは、このうち3つ目めのランクの「オフィシャルサポーター」でした。