(助動)
〔「にてあり」から出た「である」が「であ」を経て「だ」となったもの。 中世末に東国方言として用いられるようになったという〕
名詞・副詞, ある種の助詞, および体言に準ずるものに接続する。 また「だ」の未然形「だろ(う)」と仮定形「なら」とは, 動詞・形容詞, 助動詞「れる・られる」「せる・させる」「ない」「ぬ」「たい」「た」などの終止・連体形にも付く。 さらに, 仮定形「なら」だけは助動詞「ます」の終止形にも付く。
(1)断定または指定の意を表す。 判断したり強く断定したりする。
「彼は学生〈だ〉」「一足す二は三〈だ〉」
(2)事柄を提示するのに用いる。
「それは去年の暮れのこと〈だ〉」「話はずっとさかのぼった昔の事〈だ〉が, …」
(3)(「活用語+のだ(んだ)」の形で)(ア)原因・理由・根拠などの説明をする。
「校内暴力は, 教師と生徒との不信から起こるの〈だ〉」(イ)決意を表す。 「絶対ぼくはやめないん〈だ〉」(ウ)相手の行動を指図することを表す。 「さあ, 早く歩くん〈だ〉」
(4)(終止形を用いて)強く感情をこめた文をつくる。
「さあ, 勉強〈だ〉」「酒〈だ〉, 酒〈だ〉。 じゃんじゃん飲もう」
(5)(「お+動詞の連用形+だ」の形で)軽い尊敬の意を表す。
「よく聞いておくれ〈だ〉」「口ではそうお言い〈だ〉けれど, 内心ではどう思っているか」
(6)終止形は間投助詞的にも用いられる。 この場合, 助詞「な」「ね」を伴って用いることもある。
「われわれは〈だ〉, もっと慎重に〈だ〉, 行動すべきなのだ」「この問題は〈だ〉な(=〈だ〉ね), こういうように解くんだ」
〔(1)連体形「な」は一部の形式名詞や「の(ん)」「ので(んで)」「のに」などに連なる時だけに用いられる。 「これは悪い事〈な〉のだ」(2)仮定形「なら」は, 接続助詞「ば」を伴わないでそれだけで用いられることがある。 (ア)文の題目を取り上げる。 「山〈なら〉富士の山」「見るだけ〈なら〉かまわない」(イ)仮定の条件を表す。 「月曜が休日で連休〈なら〉, 泊まりがけで旅行ができる」「君が行く〈なら〉僕も行く」〕