※一※ (代)
(1)反照代名詞。 その人自身, またはその物自体をさす。 自分。 自分自身。
「~の分を心得る」「白き花ぞ~ひとりゑみの眉開けたる/源氏(夕顔)」
(2)一人称。 卑下の意を込めて用いることが多い。
「~は五条西洞院のほとりに候ふ翁に候ふ/宇治拾遺 1」
(3)二人称。 目下の人に対して, または相手を見下し, ののしっていう時に用いる。 お前。 きさま。
「かく賤しき~がもとにしばしおはしつるなり/竹取」
※二※ (副)
ひとりでに。 自然に。
「松の木の~起きかへりて/源氏(末摘花)」
※三※ (感)
怒りや悔しさを表す語。
「~, よくも裏切ったな」
<i>~と (副)</i>
自分で。 ひとりでに。 自然に。
「~枯るるだにこそあるを/徒然 138」
<i>~達せんと欲して人を達せしむ</i>
〔論語(雍也)〕
自分が事を成し遂げようとすれば, まず人を助けて目的を遂げさせる。 仁者にはよい事を行うのに自他の区別がない。
<i>~に克(カ)ち礼に復(カエ)る</i>
〔論語(顔淵)〕
私欲をおさえて, 天理のあらわれである礼にたちかえる。 克己復礼(コツキフクレイ)。
<i>~に如(シ)かざる者を友とするなかれ</i>
〔論語(学而)〕
自分より劣った者は, 善を求め道を修める助けにならないから, 友人として交わってはならない。
<i>~の欲(ホツ)せざる所は人に施す勿(ナカ)れ</i>
〔論語(顔淵・衛霊公)〕
自分の好まないことは, 他人も好まないのだから, 他人にもしてはならない。
<i>~を枉(マ)・ぐ</i>
〔孟子(万章上)〕
自分の信念や主義を捨てる。
<i>~を虚(ムナ)しゅう・する</i>
〔漢書(五行志上)〕
私情を捨て去り, 心を謙虚にして他人の説を聞く。 私心を捨てる。
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