※一※ (名)
話し手が話をしている時点。 過去と未来の間。
(1)過去と未来の境をなす瞬間。
「~ちょうど九時だ」「~だ, それ行け」「~のうちに」
(2){(1)}の瞬間に非常に近い時。 近い過去, また近い未来。
「~の話は本当か」「~行くからちょっと待ってね」
(3)過去または未来に対比させてとらえた, {(1)}の瞬間を含む時間帯。 今日(コンニチ)。 このごろ。 最近。 現代。
「~の若い者は何を考えているのか」「~はよいがあとで困る」
→ 今に
※二※ (副)
すでにある上に付け加えて。 さらに。 もう。
「~しばらくお待ち下さい」「~一度確かめる」
※三※ (接頭)
(1)名詞に付いて, 最近の, 新しい, 今度の, の意を表す。
「~出来」「~道心」
(2)固有名詞に付いて, 現代の, …の再来, の意を添える。
「~浦島」「~小町」「~太閤」「~業平(ナリヒラ)」
<i>~が今</i>
現在のこの瞬間。
「~まで気がつかなかった」
<i>~か今かと</i>
今…するか, 今…するか, と心待ちにするさまをいう語。
「~待ち受ける」
<i>~でこそ</i>
現在と過去の状態に差があるさま。
「~大画伯だが昔は売れない画家だった」
<i>~となっては</i>
すでに時機を失しているさま。
「~もう手の施しようがない」
<i>~泣いた烏(カラス)がもう笑う</i>
泣いていても, すぐ機嫌を直して笑う。 子供の感情の変わりやすいこと。
<i>~に始まった事ではない</i>
従来からあったことで, これが初めてのことではない。
<i>~の今まで</i>
「今まで」を強めた言い方。
「~知らなかった」
<i>~の内(ウチ)</i>
あと回しにせずに今。
「断るんなら~だよ」「宿題は~にやっておこう」
<i>~の現(オツツ)に</i>
〔「おつつ」は現在の意〕
ただ今現在も。
「奇(ク)しみたま~尊きろかむ/万葉 813」
<i>~の所(トコロ)</i>
現段階では。 当面。
「~不自由はない」
<i>~は限り</i>
(1)もはやこれかぎり。
「住みわびぬ~と山里に身をかくすべき宿求めてむ/伊勢 59」
(2)臨終の時。
「~と思ひし程は/源氏(手習)」
→ 今わ
<i>~は斯(コ)う</i>
もはやこれまで。 もう最後だ。 あきらめる場合が多いが, 勝って喜ぶ側が使うこともある。
「~とや思はれけん, しばし退け, 十念となへん, とて/平家 9」「~ぞ, と悦び合へる事斜ならず/太平記 14」
<i>~は是(コレ)まで</i>
こうなってはもはやどうしようもない。 もうこれが最後だ。
<i>~は昔</i>
今ではもう昔のことだが。 説話や物語の冒頭の決まり文句。 むかしむかし。
「~, 竹取の翁といふもの有りけり/竹取」
<i>~もかも</i>
(普通, 下に推量表現を伴って)ちょうど今頃は。
「~さきにほふらむたち花の/古今(春下)」
<i>~や今や</i>
今…するか, 今…するか。 今か今か。
「風のたよりのことつても, ~とこそ待たんずらめ/平家 10」
<i>~や遅し</i>
今か今かといらいらしながら待つさま。
<i>~を時め・く</i>
今が盛りと世にもてはやされている。