〔「分け」と同源〕
(1)なぜそういう状態になったかという理由。 その事柄が成立する根拠。
「逃げた~を聞く」「~もなく泣けてくる」
(2)そういう結果に至ったいきさつ。 事の次第。
「そんな~で今はこちらにいる」
(3)言葉の意味。 内容。
「~もわからずに暗唱する」「諺の~を調べる」
(4)物事の道理。 条理。 常識。
「~のわかった人」
(5)ある事の結果として, 当然そうなるはずであること。 また, あらかじめそうなるように仕組んだこと。
「これで安心して眠れるという~だ」「ここで仲裁役が出て来る~だったのだ」
(6)深い事情。 特に男女間の隠れた事情。 いわく。
「断ったのには~がある」「お作と~があるのと/塩原多助一代記(円朝)」
(7)(「わけではない」「わけにはいかない」などの言い方で)物事・状態を, それに含まれている理由・事情などをも含めて漠然とさす。 …ということ。
「絶対に嫌だという~ではない」「休む~にはいかない」
<i>~有・る</i>
(1)恋愛関係にある。 情交関係にある。
「こなたと清七と~・る事知つてゐる/浄瑠璃・夏祭」
(2)身分が高い。
「あれは都の~・る大臣と聞くに/浮世草子・一代女 5」
<i>~が違・う</i>
事情が異なっていて, 同じ考え方を適用できない。 比べられない。
「十年前とは~・う」
<i>~が無・い</i>
(1)たやすい。 容易だ。
「予選の通過は~・い」
(2)理由がない。 筋が通らない。
「こんな時間に来る~・い」
(3)たわいない。 正体がない。
「さてもさても酒に酔うて~・い/狂言記・素襖落」
<i>~にはいかない</i>
理由・事情による不可能の意味を表す。
「多忙で, とても引き受ける~ない」
<i>~は無・い</i>
「訳が無い{(1)(2)}」に同じ。
<i>~も無・い</i>
(1)たやすい。 容易だ。 訳はない。
「これくらいは~・いことだ」
(2)理由がない。
「~・く涙がこぼれた」
<i>~を立・てる</i>
(1)事を処理する。 始末をつける。
「小さんが身請, さつぱりと~・ててしまはつしやれ/歌舞伎・隅田春」
(2)支払いをすませる。
「家賃の~・てい/歌舞伎・韓人漢文」
(3)男女が情を通ずる。
「元舟に乗りうつり, 分たててのち/浮世草子・一代女 3」
(4)理由を説明する。
「其の~・てなされにや, これ科ないお前に疵が付くぞえ/浄瑠璃・一谷嫩軍記」
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