※一※ (名)
(1)人間や動物から, 生まれ出るもの。 特に, 生まれ出て間もないもの。
⇔ 親
「~を生む」「腹に~を持った鮭」「犬の~」
〔動物の場合「仔」とも書く〕
(2)まだ一人前になっていない人間。 年少の男女。
「都会の~は体力が劣る」「小さな女の~」
(3)両親の間に生まれた人。 また, 縁組により, その間に生まれたものと同じように養われている人。
⇔ 親
「~を思う親の心」「伯父夫婦の~になる」
(4)(親しみの気持ちで)若い女性をいう語。 芸子をさす場合もある。
「会社の女の~」「あの店はいい~がそろっている」
(5)キリスト教で, キリストのこと。 みこ。
(6)もととなるものから分かれ出たもの。 また, 従属的なもの。
「竹の~」「元も~もない」「~会社」
(7)愛する人。 また, 親しみを感ずる人。
「はしきやし逢はぬ~故にいたづらに宇治川の瀬に裳裾濡らしつ/万葉2429」「熊白檮(クマカシ)が葉を髻華(ウズ)に挿せその~/古事記(中)」
(8)鳥の卵。
「あてなるもの…かりの~/枕草子 42」
※二※ (接尾)
上の語との間に促音が入ることもある。
(1)名詞や動詞の連用形に付いて, その仕事をしている人, そのことに当たる人, そのような状態の人, そのためのものなどの意を表す。
「売り~」「売れっ~」「馬~」「振り~」「背負(シヨイ)~」
(2)特に女性のする動作や仕事に付けて, それをする人が若い娘であることを表す。
「踊り~」「お針~」
(3)名詞に付いて, そのような状態・性質の子供である意を表す。
「ひとりっ~」「いじめっ~」「だだっ~」
(4)小さなものに付けて, 愛称とする。
「ひよ~」「ひよっ~」「砂~」
(5)その場所や時代に生まれ育った人であることを表す。
「江戸っ~」「団地っ~」「大正っ~」
(6)女性の名に付けて, それが女子であることを表す。 平安時代以降, 明治の頃までは身分の高い女性の名に用いた。
「花~」「春~」
(7)人に対する親愛の気持ちを表す。 古く人名や人を表す語に付けて, 男女ともに用いた。
「小野妹~」「我妹(ワギモ)~」「背~」
<i>~で子にならぬほととぎす</i>
〔ホトトギスは卵を他の鳥の巣に産みつけてその鳥に育てさせるということから〕
養い子は結局は実の子ではないというたとえ。
<i>~は鎹(カスガイ)</i>
子に対する愛情によって, 夫婦の間が緊密になり, 夫婦の縁がつなぎとめられるということ。
<i>~は三界(サンガイ)の首枷(クビカセ)・(クビツカセ)</i>
〔「三界」はすべての世界の意〕
親は子に対する愛情に引かされて, 一生自由を束縛されてしまうということ。
<i>~養(ヤシナ)わんと欲すれども親待たず</i>
〔韓詩外伝「樹欲静而風不止, 子欲養而親不待也」による〕
子が親に孝養を尽くしたいと思う頃には, 親は死んでいて, その志を果たすことができない。 樹静かならんと欲すれども風やまず。 風樹(フウジユ)の嘆(タン)。
<i>~故(ユエ)の闇(ヤミ)</i>
我が子への愛ゆえに, ともすると親は思慮分別を失いがちであるということ。 子を思う心の闇。
<i>~を思う鶴(ツル)</i>
〔鶴は子を思う心が強いといわれることから〕
母親の我が子への強い愛のたとえ。
→ 焼け野の雉夜の鶴
<i>~を棄(ス)つる藪(ヤブ)はあれど身を棄つる藪はなし</i>
生活に困ると最愛の子供でもすてるけれども, 自分の身だけはすてることができない。
<i>~を見ること親に如(シ)かず</i>
子の性質や才能は, 親が一番よく知っている。 子を知る者は親。
<i>~を持って知る親の恩</i>
自分が親となり子育ての苦労を経験して, 初めて親のありがたさが分かるものだ。
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