※一※ (名)
(1)物事の様子や状態。 ありさま。
「彼女の寂しげな~」「蝶の群れ飛ぶ~」「~変わり」
(2)すがた。 かたち。
「この君の十ばかりになり給へる~の, ゆゆしきまでをかしげなるを/源氏(玉鬘)」
(3)やり方。 方法。 また, 形式。
「もの言ふ~も知らず/源氏(常夏)」「僧正遍昭は, 歌の~はえたれども, まことすくなし/古今(仮名序)」
(4)品格。 人柄。
「この度はいかでかいなび申さむ。 ~もよき人におはす/竹取」
※二※ (代)
近世, 多く遊里で用いられた。
(1)二人称。 親愛の気持ちをもっていう。
「大事の物ながら~になに惜しかるべし/浮世草子・一代男 1」
(2)三人称。 あのかた。
「是はととの手焼きの金槌煎餅, ~に進ぜて下さりませ/浄瑠璃・氷の朔日(上)」
※三※ (接尾)
※一※
(1)(ア)人を表す名詞または身分・居所などに付いて, 尊敬の意を表す。
「中村~」「お母~」「殿~」「仏~」「公方(クボウ)~」(イ)接頭語「お」「ご(御)」を冠した名詞または形容動詞に付いて, 丁寧にいう場合に用いる。 「御馳走(ゴチソウ)~」「お粗末~」「御苦労(ゴクロウ)~」
(2)現代では普通「ざま」の形をとる。 動詞連用形に付く。 (ア)…するようすの意を表す。
「続け~」「生き~」「起居挙動(タチイフルマイ)から物の言い~まで/浮雲(四迷)」(イ)…する瞬間, …すると同時の意を表す。 「すれ違い~」「振り向き~」
※二※
(1)〔後世「ざま」という〕
体言に付いて, 方向・方面を表す。
「雨が横~に降る」「眉は額~に生ひあがり, 鼻は横~なりとも/枕草子 49」「いととく京~に上りければ/古本説話 58」
(2)動詞に付いて, その時, その折の意を表す。
「したはれてきにし心の身にしあればかへる~には道も知られず/古今(離別)」
(3)体言またはこれに「お」「ご(御)」を冠した語に付いて, 「こと」の意の丁寧語として用いる。
「これははばかり~」「御無事なお顔おうれし~や/浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(上)」
<i>~にな・る</i>
それらしい体裁になる。 格好がつく。
「和服姿が~・ってきた」
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