※一※ (動カ五[四])
※一※(自動詞)
(1)さえぎっていた物が移動して, そこを通ったり見通したりできるようになる。
⇔ しまる
⇔ とじる
「風で戸が~・く」「窓が~・いて子供が顔を出す」
(2)閉じているものが, 一点を支点として広がる。
⇔ とじる
「傘が~・かない」
(3)先の方が広がる。
⇔ とじる
「裾(スソ)の~・いたズボン」
(4)つぼみの状態だった花が咲く。
「桜の花が~・く」
(5)隔たりが大きくなる。
「差が~・く」「年の~・いた兄弟」
(6)体を引く。 体を引いて構える。 また, 身をかわす。
「体を~・く」「相手の刃物を押へんと前にふさがり後に~・き/浄瑠璃・博多小女郎(中)」
(7)(戦陣・慶事などでの忌み詞として)(ア)退散する。 解散する。 閉会する。 お開きにする。
「いづ方へも御~・き候べし/保元(中・古活字本)」(イ)去る。 「十箇年以前に鈴鹿山を~・いた御方が御座るが/狂言・岩太郎(三百番集本)」
※二※(他動詞)
(1)さえぎっていた物を移動させて, そこを通ったり見通したりできるようにする。 あける。
⇔ しめる
⇔ とじる
「扉を~・く」「窓を~・く」「外国に対して門戸(モンコ)を~・く」
→ ひらかれた
(2)閉じているものを, 一点を支点として広げる。
⇔ とじる
「扇子(センス)を~・く」「教科書の三〇ページを~・きなさい」
(3)口や目をあける。
⇔ とじる
(ア)人や動物が自分の口や目をあける。
「大きく口を~・く」「私が『はい』と言ったら目を~・いて下さい」(イ)(「口を開く」の形で)話し始める。 「最初に口を~・いた人」(ウ)(「目を開く」の形で)関心・興味を抱くようにする。 「先生が仏教美術について私の目を~・いてくれた」
(4)袋状・箱状のものや紙・布などで包まれていたものを, あけて中身を出す。
「風呂敷包みを~・く」
(5)(「披く」「展く」とも書く)たたんであるものやはってあるものを広げる。
「手紙を~・く」
(6)(「花を開く」の形で)花が咲く。
「つつじは五月の中ごろ花を~・く」
(7)開店する。 業務を始める。
⇔ しめる
⇔ とじる
(ア)店・事務所などがその日の営業・業務を始める。 開店する。 あける。
「毎朝九時に店を~・く」(イ)店・事務所などを作って業務を始める。 開店する。 また, 預金の口座を設ける。 「駅前に喫茶店を~・いた」「銀行に口座を~・く」
(8)会を催す。 開催する。
「個展を~・く」「同窓会を~・く」
(9)(「拓く」とも書く)土地に手を加えて, 人間生活により便利なようにする。 (ア)新たに道を作る。 比喩的にも用いる。
「ジャングルに道を~・く」「血路を~・く」「物理学発展の道を~・く」(イ)荒れた土地に手を加えて農耕や住居に適したものにする。 開墾する。 開拓する。 「原野を~・く」「この町は屯田兵が~・いた」
(10)新たに物事を興す。 創業する。 また, 新しい流派を樹立する。
「源頼朝は鎌倉に幕府を~・いた」「真言宗を~・いた空海」
(11)自分の考え, 心の内面を他人に見せる。
⇔ とじる
「よそ者にはなかなか心を~・かない」
(12)(「啓く」とも書く)暗愚を解消する。
「蒙(モウ)を~・く」「悟りを~・く」
(13)〔数〕(ア)平方根・立方根などを求める。
「平方に~・く」(イ)括弧の付いた式を括弧のない形に変える。 「a(x+b)の括弧を~・くと ax+ab となる」
(14)木版印刷で, 開版する。 出版する。
「版を~・く」
〔本来は「開ける」に対する他動詞〕
‖可能‖ ひらける
※二※ (動カ下二)
⇒ ひらける
︱慣用︱ 胸襟(キヨウキン)を~・小間物屋を~・愁眉(シユウビ)を~・眉(マユ)を~