(1)鉱物質の塊。 岩より小さく, 砂より大きいもの。 礫(レキ)。
「~につまずく」
(2)岩石・鉱石, また, 石材などの総称。
「~を切り出す」
(3)各種の宝石や鉱物の加工品。 宝石・碁石・硯(スズリ)石・墓石やライターの発火合金など。 また, 時計の軸受けに用いる宝石。
(4)結石(ケツセキ)のこと。
(5)トランジスターや IC などの俗称。
(6)じゃんけんの手の一。 握り拳(コブシ)で示す。 ぐう。
(7)冷たいもの, 硬いもの, 寡黙なもの, 非情なものをたとえていう。
「~のようにおしだまる」
(8)〔「石御器(イシゴキ)」の略〕
茶碗。
「この~できゆつとやらんせ/浄瑠璃・妹背山」
<i>~が流れて木の葉が沈む</i>
〔新語(弁惑)〕
物事が道理と逆であることのたとえ。
<i>~で手を詰・める</i>
進退窮まる。 動きがとれない。
<i>~に齧(カジ)りついても</i>
どんな苦労をしても。 どんな困難があっても耐えて。
「~やり抜く覚悟です」
<i>~に灸(キユウ)</i>
効き目のない事のたとえ。 石に針。 糠(ヌカ)に釘。
<i>~に漱(クチスス)ぎ流れに枕(マクラ)す</i>
屁理屈を並べ負け惜しみの強いことのたとえ。 漱石枕流(ソウセキチンリユウ)。
〔「世説新語(排調)」にある故事から出た句。 晋(シン)の孫楚(ソンソ)が, 「石に枕し流れに漱ぐ」と言うべきところを誤って「石に漱ぎ流れに枕す」と言ってしまい, とがめられると, 石に漱ぐのは歯を磨くため, 流れに枕するのは耳を洗うためだ, と言ってごまかしたという〕
<i>~に立つ矢</i>
〔「韓詩外伝」の楚の熊渠子(ユウキヨシ)の話や, 「史記(李広伝)」の, 虎と見誤って石を射たところ矢は石を射通した, という故事から〕
心をこめて事にあたれば, どんな難事でも成就するというたとえ。 念力岩を通す。
<i>~に針</i>
「石に灸(キユウ)」に同じ。
<i>~に布団(フトン)は着せられず</i>
墓石に布団をかけてもむだである。 親の生きているうちに孝行をしておかなければ, その死後に後悔をしてもまにあわない。 孝行をしたいときには親はなし。
<i>~に枕(マクラ)し流れに漱(クチスス)ぐ</i>
〔蜀書(彭羕伝)「枕石漱流」〕
山水の間にかくれ住んで, 自由な生活をすることのたとえ。
<i>~の上にも三年</i>
〔冷たい石の上でも三年も居れば暖かになるという意から〕
辛抱していれば, やがては成功するものだ。 忍耐力が大切なことのたとえ。
<i>~を抱(イダ)きて淵(フチ)に入る</i>
〔韓詩外伝〕
危険が大きいこと, みずから進んで危難を招くことのたとえ。