(1)(ア)(垂直方向に)基準になる面から底までの距離が長い。
「~・い海」「~・い谷」「~・い井戸」「~・い雪」(イ)(水平方向に)基準になる面から奥までの距離が長い。 「~・い洞窟」「~・い森」「~・い山の中」
(2)(ア)物事の程度が大きい。 度合が強い。
「~・い味わい」「~・い静寂」「罪が~・い」(イ)濃度が大きい。 濃い。 「~・い緑」「~・い霧」「~・い香り」(ウ)(時間的な推移の中で)今が盛りである。 たけなわである。 「秋も~・くなった」「夜が~・い」
(3)表面的には見えにくいが重大な意味をもっている。 またいわくありげである。 深遠だ。
「~・い意味」「~・い事情がありそうだ」「益(マスマス)怪(アヤシ)げな笑味(エミ)を~・くする/運命論者(独歩)」
(4)関係が密接である。 関(カカ)わりが強い。
「~・い縁」「~・い仲」「不図した縁で此のお隅と~・くなりました事で/真景累ヶ淵(円朝)」
(5)身体の奥にまで達している。 また, 体の深部から発している。
「~・い傷」「~・い呼吸」「~・いため息」「~・い眠り」
(6)心の底から強く感じている。 気持ちが強くて変わりにくい。
「~・い悲しみ」「~・い愛情」「情が~・い」「~・い印象」「~・い興味」「欲が~・い」「猜疑(サイギ)は次第に~・くなり/魚玄機(鴎外)」
(7)考えを十分にめぐらしている。 物事をよく見極めている。
「~・く考える」「~・い思慮」「学識が~・い」
(8)(「ぶかい」の形で)名詞, 動詞の連用形の下に付いて, 複合語をつくる。 (ア)表面から底までの距離が大きい。
「奥~・い」「根~・い」(イ)奥まっていて正体がつかみにくい。 「考え~・い」「意味~・い」(ウ)多く密生している。 「毛~・い」「草~・い」(エ)程度がはなはだしい。 「遠慮~・い」「うたぐり~・い」「用心~・い」「嫉妬(シツト)~・い」
(9)時間が大分経過している。 長くたっている。
「磯の上のつまま(=樹木名)を見れば根を延(ハ)へて年~・からし神さびにけり/万葉 4159」
(10)密度が高い。 繁くある。
「露~・き浅間の野べに小萱(オガヤ)刈る/千載(恋四)」
﹛派生﹜~げ(形動)~さ(名)~み(名)
︱慣用︱ 懐が~